ファンに猛反対されても、結果的に大正解だった配役たち
トム・クルーズ ― レスタト・ド・リオンクール

アン・ライスの原作小説『夜明けのヴァンパイア』で描かれたレスタト・ド・リオンクールは、魅惑的で情熱的なヴァンパイアとして多くの読者を魅了してきました。映画化(『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』)には巨額の予算が投じられ、主演にはスター俳優が必要とされましたが、トム・クルーズの起用には当初、原作ファンや原作者自身から不満の声が上がりました。ところが、完成した作品を観たアン・ライスは態度を一変させ、公に謝罪したうえで、クルーズこそがこの役にふさわしいと称賛しています。
ダニエル・クレイグ ― ジェームズ・ボンド

2005年、ピアース・ブロスナンに代わりダニエル・クレイグが新たなジェームズ・ボンドを演じることが発表されました。ブロスナンが非常に人気の高いボンドだったこともあり、ファンの間ではクレイグの起用に懐疑的な声が相次ぎました。特に、金髪が大きな懸念材料とされました。しかし、『007 カジノ・ロワイヤル』の成功を皮切りに、『007 慰めの報酬』『007 スカイフォール』とヒットが続き、『007 スペクター』は興行収入記録を更新。今ではクレイグ以外のボンド像は想像しにくいものとなっています。
ロバート・パティンソン ― エドワード・カレン

当時、比較的無名だったロバート・パティンソンが、10代の若者に絶大な人気を誇る『トワイライト』シリーズの主役に抜擢されたことで、原作シリーズのファンの間には強い反発が広がりました。実際に、パティンソンの起用に反対する嘆願書が提出され、7万5000人以上が署名しています。パティンソン本人も撮影中、「私がエドワード・カレン役に選ばれたことに対して、世界中から大きな反発があった」と語っています。しかし現在では、彼の演技は高く評価され、ティーン世代にとって“ヴァンパイア像”を決定づけた存在となっています。
ヒース・レジャー ― ジョーカー

ロマンティック・コメディのスターとして知られていたヒース・レジャーが、緑髪の悪役ジョーカーを演じると報じられると、インターネット上のフォーラムは騒然となりました。批評家の中には、このハンサムなオーストラリア人俳優に狂気を体現する力はないと指摘する声も。しかし、『ダークナイト』の初予告編で強烈な狂気を放つピエロ像が公開されると、批判は一転して沈黙。レジャーは2009年、死後にアカデミー助演男優賞を受賞しています。
マイケル・キートン ― バットマン

1980年代後半、キートンがバットマン役に選ばれると、ワーナー・ブラザースにはキャスティング変更を求める5万通以上の手紙が寄せられました。当時のキートンは『ビートルジュース』などの影響から、コミカルで風変わりな俳優というイメージが強かったためです。しかし、その演技は後にブルース・ウェイン/バットマンの名演の一つとして高く評価されることになります。
マット・デイモン ― ジェイソン・ボーン

今では「ジェイソン・ボーン役」といえばマット・デイモンの代名詞ですが、2002年の『ボーン・アイデンティティー』公開前、彼をアクションスターとして評価する人はほとんどいませんでした。当時は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』や『リプリー』で見せたような、繊細な演技こそが彼の持ち味だとされていたからです。 配役の検討段階では、ラッセル・クロウやシルベスター・スタローンといった大物の名前も挙がっていたため、デイモンの起用にはファンから戸惑いの声も上がりました。しかし、後にジェレミー・レナーが主演を引き継いだ際、デイモン不在のシリーズに不満が続出したことは、彼の演じたボーンがいかに唯一無二であったかを改めて証明する結果となりました。
レネー・ゼルウィガー ― ブリジット・ジョーンズ

ロンドン在住の冴えない独身女性を描いたヘレン・フィールディングの原作ファンは、アメリカ人女優のレネー・ゼルウィガーが主役に選ばれたことで、ハリウッド的に美化されてしまうのではないかと懸念しました。しかし、スクリーンに登場したのは、愛嬌に満ちたブリジット像でした。ゼルウィガーは自らを笑いものにすることもいとわず、その姿勢が高く評価され、アカデミー賞にノミネートされています。
ロバート・ダウニー・Jr. ― シャーロック・ホームズ

シャーロック・ホームズは、背が高く痩せた英国人で、常に鋭い知性を備えた人物として描かれてきました。そのため、身長173センチのアメリカ人俳優ロバート・ダウニー・Jr.が起用された際には、ファンの間で多くの疑問の声が上がりました。しかし、彼は天才探偵のダークな側面を深く掘り下げた演技で高い評価を獲得。ダウニー・Jr.のホームズ像は、今や象徴的存在となり、数々の賞に輝いています。