高市氏を支持する日本の若年層、衆院選の追い風に

高市氏は特に若年層の有権者から共感を呼んでいる

【東京】8日に投開票される日本の衆議院選挙では、高市早苗首相(64)率いる自民党が大きく勝利する見通しとなっている。各国政界のリーダーが若年層の取り込みに苦戦する中、同氏は有権者の中でもこの層からの支持に後押しされている。

情勢調査によれば、高市氏率いる連立与党は今回の選挙で議席を大幅に伸ばす見通し。この予想は、男性優位で時に堅苦しい政界の「解毒剤」として、高市氏個人が有権者から人気を集めていることを反映している。

同氏は特に若年層の有権者から共感を呼んでいる。この層は高市氏が特定のグループに属していないアウトサイダー的な存在であることや、率直で決断力があることを評価。1月下旬のある世論調査では、20代の回答者の84%、30代の78%が高市氏や政権を支持すると答えており、全体の支持率の67%を上回った。

高市氏はソーシャルメディアを駆使して若年層を引き付けることに長(た)けており、通常は退屈な外交の場も、広く拡散されるコンテンツに変えてきた。韓国の李在明大統領とはKポップ(韓国ポップス)のヒット曲に合わせてドラムをたたき、イタリアのジョルジャ・メローニ首相とは自撮りを披露している。

一方、政策面では若年層の有権者の懐事情に直接訴えかけ、ガソリン税の軽減策を打ち出した。また低所得の若い世帯を特に念頭に、税制変更を通じて手取り収入を増やす公約を掲げている。

5歳から10歳まで3人の子どもを持つ32歳の女性は「しっかりしていて頼りがいがある。ちゃんと日本を変えていってくれるのではないかと思う」と語った。若者の支持率が高い理由については「今までと違うからではないか」と述べた。

高市氏の街頭演説に集まった支持者ら(3日)

多くの有権者の中でも、特に女性が高市氏の成功を願っている

高市氏と自民党が今回の選挙で圧勝すれば、高市政権の権力基盤は強化される。これは日本経済の活性化や、停滞する所得の引き上げを目指す積極的な財政政策を推進する原動力になるとみられる。

安全保障面ではタカ派として知られる高市氏は、米国との関係強化に加え、中国の強まる強硬姿勢に対抗するための軍備増強も支持している。

高市氏は就任からわずか3カ月の間に、台湾に関する発言を巡って中国と対立し、製造業に必要な重要鉱物の供給を中国政府が規制するなどの経済報復を招いた。だが、こうした強硬姿勢は選挙戦に悪影響を及ぼしていない。むしろこれまでの政治家が示してきた慎重な対中姿勢や、他の問題に対する方針に嫌気が差していた若年層の間では、同氏の人気を高める形となった。

埼玉県の選挙集会で高市氏が登場するのを待っていたタカハシ・ユウタさん(28)は、「(日本の政界では)あまりはっきりとものを言う人が他にはいないから、いいのかなとは思っている」と話した。

保守派として知られる高市氏は、自民党総裁選に2度挑戦して敗れた経験があり、庶民的な出自から30年かけて高い地位を目指してきた。日本の政界では成功を手にした政治家のほとんどが恵まれた環境の出身で、その中には小泉純一郎元首相の息子であり、総裁選を争った小泉進次郎氏も含まれる。また、高市氏が師と仰いだ故安倍晋三元首相も親族に2人の首相経験者がいた。

コンサルティング会社ジャパン・フォーサイトの創業者であるトバイアス・ハリス氏は、高市氏が日本初の女性首相であることに触れ、多くの有権者の中でも特に女性が同氏の成功を願っていると述べた。

ハリス氏は「高市氏がここまで来るために乗り越えたものに、多くの人が感銘を受けている」とし、「彼女はこれまでとは違う種類の指導者だと感じているのだと思う。彼女なら物事を成し遂げると見ている」と語った。

高市氏はワーカホリック(仕事中毒)を自称しており、10月の就任時には「働いて、働いて、働いて、働いて、働いてまいります」と日本国民に誓った。また外交の試金石として、就任数日後には来日したドナルド・トランプ米大統領を迎えたが、これは日本国内で大成功を収めたと見なされている

その一方で高市氏は、自身の魅力を高める親しみやすい一面もうかがわせている。Xのアカウントへはトップ外交に関する内容と共に、自身の服装選びや夕食の準備についてのコメントも投稿している。

それでも日本では他国と同様に、若年層の投票率が高齢層に比べて低い傾向がある。このため、465議席が争われる8日の選挙では、接戦区で野党に追い風が吹く可能性もある。

また一部の若者が高市氏を支持する一方で、戦後のほとんどの期間にわたり日本を統治してきた自民党に関してはあまり熱心ではない点も、一つの懸念材料となっている。