蓮佛美沙子が演じる英語堪能な奥様が素敵…気後れする妻に夫のさりげない気遣いにキュンとする〈ばけばけ第105回〉

『ばけばけ』第105回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第105回(2026年2月27日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

トキ、リテラリーアシスタントに

 トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)が縁側で新聞を読んでいる。

「あれから少しだけ時間がたちました」と蛇(渡辺江里子)

 最近のトキは、日本語が読めないヘブン(トミー・バストウ)の代わりに世間の面白そうな話を探して報告している。今日は「警察官が殺された事件」に関して新聞の続報を伝えている。

「すっかり相棒」

「夫婦だけどね」

「助手っていうか先生の言うところのリテラリーアシスタントだよね」

「まるで兄貴(吉沢亮)の代わりだな」と丈(杉田雷麟)がつぶやいた。

 麗しい話ではあるが、トキに錦織の代わりが務まるとは思えない。ただ、トキなりの視点でヘブンにいい影響を与えることはできるだろう。

 熊本でも穏やかな日常が続いているようだ。呪いの話はすっかり忘れ去られている。

 主題歌明けは学校。

 作山(橋本淳)が倒れたため、ヘブンもロバート(ジョー・トレメイン)も授業をたくさん担当させられている。

「(学校が)なくなるとは思えない忙しさ」とロバートがぼやく。

 そこへロバートの妻・ラン(蓮佛美沙子)が迎えに来た。

 ランは日本人だが英語が話せる。ロバートとランは英語で話しながら仲むつまじそうに帰っていく。大人のカップルという感じ。

 帰宅したヘブンは部屋で書き物をしていて、トキはその傍らで殺しの犯人の話をまとめている。

 トキのことを「ミテラレン、アシガスクンデ」と司之介(岡部たかし)は言い間違える。

「全然違うじゃないですか」

「全然違うことはないがね」

 錦織がれっきとしたリテラリーアシスタントだとしたらトキはまだ半人前で「アシガスクンデ」でも言いえて妙かもしれない。

 そこへヘブン宛ての手紙が届く。

 差出人は――。

英語の話せる日本人妻登場

 イライザ(シャーロット・ケイト・フォックス)だった。

 手紙には『日本滞在記』にまた重版がかかっていること、そんなヘブンに講演や仕事の依頼がたくさん届いていることが記されている。

「アメリカに帰ってくるつもりはない? 今帰ってくれば売れっ子作家になれるわよ」

 重版がかかって大人気であることを司之介たちにヘブンが話すと、「そりゃすごい」「さすがね」と盛り上がる。だが傍らでトキはどこか浮かない顔。このひとはイライザの存在をいつも気にしているようだ。やっぱり引け目があるのかもしれない。

 いや、でも、トキには才能があった。

 その晩、昼間にまとめた事件の顛末(てんまつ)をヘブンに語るトキ。

「警察官の涙いうものを初めて見ました。

あの警察官にも護送されてきた犯人にもお子さんがおったのかもしれないなと」

「すばらしい考え ありがとう。いい話 書けそうです」とヘブンはトキの考えの入った語りに満足そうだ。

「きっとイライザさんもお喜びになりますね。新しい本が出るのをお待ちなのでは?」

 字面ではごくふつうの言葉だが、なぜか微妙な嫉妬が入ったような湿ったセリフに聞こえてしまう。トキはドラマの序盤から他者を妬み呪うとかいうややブラックなキャラだったので、どんなに満たされても、本質的には変わっていないに違いないと思ってしまうからか。まあそこまでのことでもなく、単に夫と親しい女性の存在は少なからず気になるものだ。

「私がんばりますけん。リテラリーアシスタント」と言うトキにヘブンは英語をまた勉強しませんかと持ちかける。

 そして、トキが英語の勉強をしやすくなる絶好の流れがやって来る。

遅れてきた呪い?

 帝国議会の審議の結果、学校が存続することが決まり、ヘブンのクビが繋がった。

 ヘブンとロバートは祝杯をあげることにして、ロバートの家にトキと夫婦でお呼ばれ。

 広くて豪華な洋間でお食事。

 ランを見て「素敵(すてき)な奥様」と気が引けるトキに、ヘブンはトキだって「素敵な奥様」だと言う。女性に気遣いがある外国人男性らしい。女性に限らずリスペクトを言葉にすることは大事。日本の企業でも行われるようになったリスペクトトレーニングが、家庭及び日常生活にもいい影響を与えるといいなと筆者は思う。

 ロバートは学校が続くので、無理に本を書かなくてよくなったな、とヘブンに言う。

「仕事と収入があり 家族を幸せにできる。もう本など書かなくていい」

 でも、ヘブンは、「金のためもあるが、書きたくて書いてるんだ トキさんがアシスタントもしてくれるしね」と返す。

 その会話をトキは聞き取れない。それに比べてランは英会話がかなりできる。でもそれをひけらかさない感じのいい人物である。

 夜、トキは英語の勉強をするが、妙に睡魔に襲われて、集中できない。ここでもヘブンは親切に座布団を敷いてトキを寝かせる。怒りっぽいけれど、家族思いのやさしい人である。

「おイセさん(芋生悠)の呪い、今頃来たんかねえ」

 呪いがすっかりなかったことになっていると思ったら、まさか呪いネタが続くかも? と不安にさせる展開に。でも、結婚した女性の体調の変化といえば、ほかにも考えられることがある。どうなる熊本生活。

フォトギャラリー

主なシーンより

第21週(2月23日~2月27日)

「カク、ノ、ヒト。」あらすじ

熊本での執筆活動に精をだすヘブン(トミー・バストウ)に安心するトキ(高石あかり)や松野家の面々。そんな中、ヘブンが働く学校が閉鎖されるうわさが広まる。仕事がなくなれば、大所帯となった松野家は生きていくことができない。教師がダメなら、執筆活動で生活費を稼ぐしかない。しかし、ヘブンは学校の仕事に追われてそれどころではなかった。トキたちはヘブンの執筆活動を手助けしようと動き出す。

連続テレビ小説『ばけばけ』

作品情報

連続テレビ小説「ばけばけ」。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描きます。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語です。

【作】 ふじきみつ彦

【音楽】 牛尾憲輔

【主題歌】 ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」

【出演】高石あかり(「高」の表記は、正確には「はしごだか」) トミー・バストウ / シャーロット・ケイト・フォックス 大西信満 芋生悠 ジョー・トレメイン 橋本淳 杉田雷麟 日高由起刀 夏目透羽 / 渡辺江里子 木村美穂 / 蓮佛美沙子 / 岡部たかし 池脇千鶴 ほか

【放送】 2025年9月29日(月)から放送開始