【猫の実話】ひもじさに震える捨て猫2匹が、幸せをつかむまでの道のり

きょうだい猫の太郎と花子, 2匹いっしょでよかった , 「同じくらいの月齢だから、きょうだいだと思うよ」 , やっぱり太郎は花子のお兄ちゃんなんだな

【猫の実話】ひもじさに震える捨て猫2匹が、幸せをつかむまでの道のり

「猫がいてくれるから」がんばれる。救われた。毎日が楽しい……。そんな猫たちとの暮らし、出会いや別れなどの実話を集めた本が話題です。その中から、エピソードをひとつ紹介しましょう。捨てられたのか母猫とはぐれたのか、ひもじさに打ち震えた2匹のきょうだい猫が、やさしい家庭で幸せをつかんだ話です。

きょうだい猫の太郎と花子

子猫同士がいっしょに遊んだり、寄り添って寝ている様子を見て、キュンとしたことがある人も多いのではないでしょうか。保護猫を引き取りに行って、きょうだいと引き離すのがかわいそうになって、つい予定外の子もいっしょに引き取ったという話もよく耳にします。 猫は多産の動物です。一度の出産で3〜5匹ほどの子猫を産み、最大で19匹を産んだという記録も残っているほどだとか。それもあって、たくさん生まれた猫の面倒を見きれず捨てる人がいたり、たくさんの子猫の中で育ちのよくない子が母猫とはぐれたりといったことも起こりがちです。きょうだい同士の関係はどうなのでしょう?マイペースで個人主義の猫ですが、きょうだいや親、子に対する愛情は深いともいわれ、互いに気づかう様子もよく見られます。 多頭飼いの場合、猫同士の相性が合わないこともしばしばありますが、小さいころからいっしょに過ごしていたきょうだい猫は大きくなっても問題なく過ごせることがほとんど。 子猫時代にきょうだいで過ごすと、力の大きさや噛み具合の加減を学べて、人間に接するときも、力いっぱい噛んだりといった問題がなくなるともいわれます。 捨てられたのか母猫とはぐれたのか、ひもじさに打ち震えた2匹のきょうだい猫が、やさしい家庭で幸せをつかんだ話をお伝えします。

(以下引用)

名前 太郎、花子

年齢 4歳

性別 太郎/オス、花子/メス

種類 ミックス(太郎/茶白、花子/三毛)

性格 太郎/やんちゃ、花子/マイペース

特技 太郎/おもちゃを真剣白刃取りすること、花子/父に甘えること

好きなもの 太郎/猫じゃらし、ちゅ〜る、花子/干したクッション、ちゅ〜る

(以上引用)

2匹いっしょでよかった

太郎と花子がうちに来たのは、4年前のゴールデンウィークでした。 私はそのとき小学5年生でした。連休中、父と母、私、柴犬のコロでドッグランに行きました。コロは歳であんまり長い間走ったりはしなくなっていたのですが、ドッグランがすごく好きでした。コロがいっぱい楽しんだあと、道路が混む前に帰ろうと父が言ったので車に乗りました。コロが酔わないよう、いっしょに乗せているとき、うちの車はゆっくりめに走ります。走って少したったころ、道路の端っこで動くものが目に入りました。「何かいる」そう伝えると、母もそちら側をじっと見つめました。「子猫だ!」 私はよく見えなかったのですが、母には子猫が鳴いているとわかったそうです。「野良猫? 捨てられたのかな?」「そうかもね。でもうちは飼えないよ、コロもいるし」 父の言葉に私は黙ってしまいました。

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しばらく走ったあと、母が急に言いました。「やっぱり気になる。猫のとこに戻って」 母の言葉に押され、父は車をさっきの場所まで戻しました。私と母は急いで車を降り、 父もコロを連れて降りてきました。

「同じくらいの月齢だから、きょうだいだと思うよ」

見回すと、少し離れた茂みでカサカサと小さな音がしました。小さな茶色い子猫が一生懸命にミャアミャア鳴いています。 母が近づくのを見て、子猫も寄ってきました。でも、いきなり後ろを向いて、今度はそっちのほうにニャアニャア鳴いたんです。 あれ?と思って見ていたら、茂みからもう1匹、子猫が出てきました。三毛の子猫でし た。茶色の子よりも少し小さく、足取りもよろよろしています。 「きょうだいかな、こっちの子のほうが弱っている!」 母はそう言って、2匹を抱き上げました。コロのリードを引いた父も近づいてきました。興奮して鼻をフンフンと猫に近づけようとしたコロに猫たちがおびえた様子だったので、母が手を遠ざけました。 コロの獣医さんに電話をしたら病院は開いていたので、そのまま車で連れていきました。 獣医さんのお話では、ちょっと栄養失調ぎみだけれど健康には問題がないそうでした。 「同じくらいの月齢だから、きょうだいだと思うよ」 診察のあと、子猫たちをうちに連れて帰りました。 父は、コロがいるからと、やはり猫たちを飼うのは反対でした。飼うにしても、せめて1匹は里親を探そうと言うのです。コロもだいぶおじいちゃんなので、急に子猫2匹がいっしょに住むようになるのはストレスじゃないか、という意見でした。父はコロが大好きなので、コロのことを第一に考えていたようです。 私は猫たちを飼いたかったけど、父が強くダメと言うなら、それに反対するのはむずか しいと思っていましたが、意外にも母が味方してくれました。 「バラバラになったらかわいそう。あんなに仲がいいんだから、2匹いっしょに育ててあ げたい」 茶色の子は、自分のきょうだいが弱っているのがわかっていたんだと思う。お母さん猫もいなかったし、私たちの車を見て一生懸命に鳴いたの。「ぼくたちを助けて」って。自分ががんばらなきゃ、きょうだいも自分も死んじゃうって理解していたんじゃないかな。自分だっておなかがすいて心細かっただろうに。きょうだいを置いて、自分だけどこかに行っちゃうこともできたのに、離れようとしなかったんだよ。そんな子たちを離れ離れにさせるなんて、ママはしたくないな。母の話を聞いて、私は泣いてしまいました。 2匹は動物病院でもうちに来てからも、ぴったりくっついて離れませんでした。部屋でくっついて眠っている子猫を、私も離したくありません。

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「私もお世話するから!」と父に頼み込んだら、泣いている私を見て却下できなかったの か、「うーん。じゃあ、コロが大丈夫ならってことで、ひとまず様子を見るか」と言って くれました。

やっぱり太郎は花子のお兄ちゃんなんだな

茶色の子はオスだったので「太郎」、三毛の子はメスだったので「花子」にしました。太郎はすぐにごはんをよく食べるようになり、家の中をウロウロするようになりました。 花子は弱っていた分、なかなかごはんを食べなかったんで、すごく心配しました。でも太郎がごはんを食べているのを見て自分も食べるようになり、だんだん元気になりました。 太郎は遊び好きで、私がおもちゃを見せると、飛びかかってずっと遊んでいました。 でも、花子がミャーミャーと鳴いた途端、太郎は遊ぶのをやめて花子のそばに戻っていきます。「こんなに面倒見のいいお兄ちゃん、人間でもなかなかいないよね」母はそんなふうに言っていました。

父が心配していたコロですが、猫たちとの暮らしに最初は落ち着かず、しきりに様子を 見に来ていました。でも、そのうちなんと、花子がコロになついたんです。コロが横になっていると花子がピョコピョコとやってきて、腕の中で寝るようになりました。それを見た太郎も寄ってきて、3匹が仲良く寄り添って寝るんです。

きょうだい猫の太郎と花子, 2匹いっしょでよかった , 「同じくらいの月齢だから、きょうだいだと思うよ」 , やっぱり太郎は花子のお兄ちゃんなんだな

初めて花子が腕の中に来たとき、コロは「え?」みたいな顔で私の顔を見て困った様子でしたが、花子をどかそうとはしませんでした。コロのやさしい面を知ったのも太郎と花子のおかげです。 ただ最近では、コロがますます年をとったのでゆっくりできるようにと、母が2匹と寝る場所を分けました。花子と太郎は最初、寝るときにコロを探していて、私もいっしょに寝ている3匹が見られないのは残念ですが、コロに無理はさせられません。こないだ父が、やっぱり太郎と花子も飼ってよかったなって言ったのがうれしかったで す。コロ一筋だった父も、今では2匹をすごくかわいがっています。 母は、父がそう言うようになるだろうと予想していたそうです。そして、2匹まとめて飼うと決めたことを、「さすが私」と、自分で自分をほめていました。 あのときもし、2匹がバラバラになっていたら、今ごろお互いのことを忘れていたのでしょうか? それともずっと覚えていて、会いたいと思っていたのでしょうか?どっちでもせつない気がします。 2匹は今はもう4歳になり、ずっとくっついていることもなくなりました。でも、びっくりしたことや怖いことがあると別です。去年の夏、エアコンが壊れたので修理の人が来ました。よその人が苦手な太郎と花子は、ほかの部屋に逃げていたんです。私が様子を見に行く と、2匹でベッドにもぐり込んでいました。太郎が花子をかばうような体勢だったので、 やっぱり太郎は花子のお兄ちゃんなんだな、と感心したのを覚えています。 そんなに怖がっていたのに、修理の人が帰ったとたん、何事もなかったような顔ですま して戻ってくるのがおもしろくて、笑ってしまいました。 コロ、太郎と花子。犬と猫はどっちもかわいいけれど、まったく違う動物です。それに、同じ猫でも太郎と花子では性格がぜんぜん違います。人間と同じだな、と思いました。もっともっと犬や猫のことが知りたいので、将来は動物関係の仕事に就けるといいなと思っています。3匹は私の世界を広げてくれた、大事な家族です。▼▼

※この記事は『猫がいてくれるから』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。※2023年3月16日に配信した記事を再編集しています。