京都産業大1年生のラグビー部マネージャー 超難関名門国立大法学部に合格するも 迷うことなく 偏差値よりワクワクを選んだ理由

 今年の全国大学ラグビー選手権でベスト4に入り、ファンを沸かせた京都産業大学ラグビー部。マネジャーの一人として活動するのが、1年生の加藤風花さん。レフリーの資格も持つ異色の存在だ。「京産ラグビー愛」はひときわ強く、受験では超難関国立大学にも合格しつつ、「迷うことなく」京産大を選んだという。どんな思いでラグビーに向き合っているのか。話を聞いた。

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「京産大ラグビーの魅力ですか? 惹かれた理由はもう、『直感』としか言いようがないです。帝京や早明などいろんな大学のラグビーを見ましたけど、ジャージーのデザインも含めて、私にとっては京産ラグビーが抜群にかっこよかった。プレーの内容で言えば、たとえばゴール前のラインアウトから、フォワードの強みを生かしてモールで一気にトライまで持っていく。そんな場面は、京産らしくていつ見てもワクワクします」

 こう話すのは、京都産業大学経済学部の1年生で、同大学のラグビー部でマネジャーも務める加藤風花さん(19)。部員85人やスタッフ、他のマネジャーとともに、今年の全国大学ラグビー選手権ベスト4を勝ち取った一員だ。

「水やスポーツドリンクを準備したり、ユニホームの整理整頓をしたり。マネジャーとしての仕事は挙げればきりがないですけど、毎日が楽しいです」

■レフリー資格(C級)を取得

 朝、8時半に学生寮を出て、キャンパスへ。授業の後にグラウンドに向かい、午後5時から始まる部活の準備をしつつ、隙間時間があればいま力を入れている公認会計士や司法試験の勉強をすることも。夜8時に部活が終わると寮に戻り、寝るまでの4時間ほど、また資格試験の勉強に取り組む毎日だ。

「部員からは『ふうか』とか『加藤ちゃん』とかいろんな呼ばれ方をしますが、中には『レフリン』と呼ぶ人もいます」

 なぜレフリンか。高校時代もラグビー部のマネジャーをしていた加藤さん、ふとしたきっかけで在学中に日本ラグビーフットボール協会のレフリー資格(C級)を取得したという、異色の存在でもあるのだ。

「ラグビーが好きになったのは高校に入ってから。『体が大きい人がするスポーツ』というイメージがあったのですが、たとえば9番のスクラムハーフなど小柄な人も活躍していたり、誰もが、その人に合ったポジションで輝けることに魅力を感じたんです。同時に、試合の中で要求される判断で常に冷静さを忘れないレフリーの存在にも惹かれ、資格を取りました」

 レフリーとしては日本ラグビーフットボール協会の「京都協会」に所属、京都で行われる女子チームの試合や、京産大ラグビー部のBチームやCチームの試合のアシスタントレフリーとしても活動しているという。

「将来は大学ラグビーの主審や、行けるならリーグワンでも笛を吹いてみたい。そのためにもラグビーIQをさらに高めて、体力もつけて、B級、A級とチャレンジしていきたい。さらに言えば、レフリー資格も持っているという個性を生かして、いろんな人に京産大ラグビーの魅力を知ってもらえるようにがんばりたいです」

 言葉からあふれ出る、京産大ラグビーへの愛。加藤さんが京都産業大学に入学したいと意識し始めたのは、愛媛県の公立高校に入学してすぐの頃。2年生の夏には「進路は京産大で確定、と何の迷いもなく決め」、3年生の11月には推薦入試で合格を勝ち取っていたという。

「京産大を志望した理由は、ラグビー部に関わりたいから。もう、そこだけです。4年間、このチームをサポートできたら幸せだろうなと思って京産大を選びました」

 思いは京産大一筋で、夢をかなえた加藤さん。実は受験のときもう1校、超難関とされる某国立大学の法学部にもチャレンジ。見事、合格したという。

■「いやいや、なんでここに来た?」

「受験したのは、自分がどれだけできるかな、というただそれだけでした。合格しても、『京産大に行く』という気持ちはまったく揺らぎませんでした」

 とはいえ、そこは国内指折りの名門国立大学。いわゆる「世間の評価」も、京産大に限らずたいていの大学よりもずっと高いかもしれない。「いったい、なぜ? ご両親や担任の先生からは、何も言われなかった?」。つい出てしまったそんな質問にも、加藤さんは淡々とこう話す。

「母には、『受けるけど、行くのは京産大だからよろしくね』って感じで言いました(笑)。先生には常日頃から『京産大に行けないなら就職でもいいです』と言っていたので、何を言ってもこの子は京産大に行くなと思われていたのでは。入学してから友だちと受験のことを話すときも、よく『いやいや、なんでここに来た?』と言われますけど、『絶対にここのラグビー部に入りたかったから、京産大にしたんだよ』と普通に答えてます」

 偏差値によるランク付けや、より「いい大学」に行くべきだという世間体。そんなところばかりをつい気にしてしまう大人たちに、何か言いたいことは。そう水を向けると、照れつつ言葉を選びながらもこう答えてくれた。

「私の中で意思として持っているのは、人の意見に左右されると絶対に後悔が残るな、ということ。その人によるとは思いますが、私は、自分がいちばん成長するのは好きなことに向き合い、ワクワクできているときだと思うんです。そう考えると、私の人生の中で、大好きな京産大ラグビーに関われるか、関われないかはけっこう大きい。関われずに他の大学に行ったとしても、何もモチベーションがない状態では資格試験の勉強もがんばれない。そう考えて、『私はもう、絶対に京産大』。そう決めました」

■選択肢が広がるかなと

 京産大を志望したのは、部活がすべて。そんな高校生だった加藤さん。入学したいまは、違う思いもある。

「京産大って、すべての学部がワンキャンパスにあるんですよ。理系の学部に通う友だちもたくさんいて、ふだんあまり聞くことのない物理やIT系の話もたくさん聞ける。ここには学びがあるんです。この大学に来てよかったなと心から思います」

 在学中の夢は、いちばんはやはり、過去の大学選手権ではベスト4止まりのラグビー部が日本一になること。そして、目指す資格試験のうち、まずは公認会計士の試験に合格することだ。

「公認会計士や弁護士になりたいというよりは、資格を持っていたら選択肢が広がるかなという思いで勉強しています。将来につきたい職業は探している最中ですけど、『何か理由があって、好きなことができない』人のサポートができる仕事ができれば、ベストかなとは思います。たとえば、そうですね……教師なども、迷っている子どもの背中を押してあげられるという点で、いいかもしれません」

 そう話す加藤さん、生き生きと楽しく日々を過ごす様子が伝わってくる。「偏差値がどうの」といった固定観念などとっくに、軽やかに飛び越えていくその姿に、聞いているこちらも清々しい気持ちになる。そんなインタビューだった。

(AERA編集部・小長光哲郎)

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