朝ドラ「ばけばけ」髙石あかり、吉沢亮の13キロ減量に見た情熱「絶対大丈夫じゃないはずだけど…」【前編】

連続テレビ小説「ばけばけ」で主演を務める髙石あかり (C)NHK
現在放送中のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(総合ほか)が28日に最終回を迎える。初の朝ドラ出演で「座長」という大役を担った俳優の髙石あかりが、1年以上に及ぶ長い撮影を無事に完走した。クランクアップの瞬間は、達成感よりも、目の前の光景が信じられないような、不思議な感覚に包まれたという。今作では、映画「国宝」で注目を集めた吉沢亮と共演。吉沢は錦織友一という役を演じ切るため、およそ13キロもの減量を敢行した。徹底した役作りに向き合う先輩の姿を間近で見た髙石は、その役者魂に圧倒され、「得られるものはすごく大きかった」と振り返った。

連続テレビ小説「ばけばけ」で主演を務める髙石あかり (C)NHK
朝ドラ「ばけばけ」とは?

連続テレビ小説「ばけばけ」で主演を務める髙石あかり (C)NHK
松江の没落士族の娘、小泉セツと、その夫で作家のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルとした物語。島根や熊本などを舞台に、怪談を愛し、何気ない日常を歩んでいく夫婦の姿をフィクションとして描く。髙石が演じたのは、ヒロインの雨清水トキ。「バイプレイヤーズ」(テレビ東京)や「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(総合)などで知られるふじきみつ彦氏が脚本を書き、主題歌「笑ったり転んだり」をハンバート ハンバートが歌う。

連続テレビ小説「ばけばけ」で主演を務める髙石あかり (C)NHK
朝ドラ経験でセリフ覚えは200倍速!?
――改めて朝ドラ出演を終えた感想をお願いします
髙石「まず終えて一番に出てくるのは、『ばけばけ』でよかったなということが大きいです。携わっているスタッフのみなさん、キャストの方々、物語、脚本、全部が私にとって完璧だったと言えるような作品で、夢だった朝ドラヒロインをやれたということは奇跡だなと思っています。あまりにもフィットしていて、現場もすごく楽しかったです。全員が全員のことを尊敬し合えている現場で1年間携わらせてもらえたのは、本当に貴重な経験だったと思います」
――出演によってご自身の中で成長や変化を感じたことがあったら教えてください
「セリフ覚えが200倍くらい早くなりました(笑)。これだけはもう確実に変わったなと思います。毎日毎日撮影ですし、『覚えにくい』と言っている時間はないので。これが朝ドラの洗礼かなと思いました」
――クランクアップした時はどんなお気持ちでした?
「一番最後のシーンを撮り終えた後に『少し待っていてください』と言われて、扉が開いたら、これまでに共演してくださったキャストの方々がたくさん来られていて。わざわざ大阪なのに、クランクアップのために集まってくださって。こんなに幸せなことがあっていいのかなと思えるほど温かくて、不思議な気持ちでした。お隣にはトミー(・バストウ)さんがいて、この2人を見て皆さんが拍手を送ってくださって。やり遂げたという感覚よりは、信じられない光景を目にしているという感覚でした」
――以前「あさイチ」で最終週の脚本を読んで泣いてしまったとお話しされていましたが、どういった感情で泣いたのでしょうか
「台本を読んで、いつかは来るであろうと思っていた瞬間がどう描かれるんだろうかと思っていたのですが、描かれ方が想像と違って、『ばけばけ』らしくて。決して壮大なストーリーではないこの日常を描いた作品だからこそ残せるさびしさがそこにはあったので、泣いてしまいました。モデルの小泉セツさんが書かれた『思ひ出の記』に書いてあった印象的な言葉にすごく当てはまっていて、空気感を感じながら読んだ時間でした」
吉沢亮の13キロ減に感じた熱量
――トミー・バウストさんの印象や共演を通じて得たもの、夫婦になって関係性が変わっていった点など教えてください
「トミーさんの印象はすごく自由で、でも周りをよく見ていて優しくて、その優しさやチャーミングな部分がヘブンというキャラクターに全部あふれていると思います。トミーさんだったからこそ、ヘブンがあんなに魅力的で、説得力を持っていたなと思います。その自由さに私は引っ張られることがたくさんありました。
最初からトミーさんとは気が合う感覚がありましたが、1年間やってきて、どんどんお互いの支えになっている感覚はありました。トキがヘブンに対して思っている『守りたい』『支えたい』という気持ちに近い部分を、私もどんどん積み重ねていきました。お芝居を通して相手の心を知ることで、信頼感がより深くなっていったなと思います」
――吉沢亮さんの約13キロの減量が話題になりました。吉沢さんとの共演で得た学びを教えてください
髙石「減量するとは聞いていたのですが、初めてお会いしたタイミングで、あまりにも以前会った時の見た目と違って。この役に対する熱量はもちろん、自分の体形を変えるというのは相当なことで、1カ月で約13キロという数字だけではなく、すごく大変だったと思います。でもそれを感じさせなくて、現場では『全然大丈夫です』と言っていました。絶対大丈夫じゃないはずなんですが、その強さと役に対する熱量みたいなものを感じて、それを直に感じるだけでも役者として得られるものはすごく大きかったです」
――長男の出産のシーンがご自身の誕生日だったことの感想を教えてください
「朝ドラの出産シーンをいくつか見て『私もやりたいな』と思っていたので、まさかかなえられるとは思わなかったし、それが自分の誕生日というのが一番のプレゼントだなと思いました。やってみて、楽しかったです。自分の中から予測不能な力みや声が出てきて、勝手に力が入ったり、抑制しようとする体の動きがあったり、いろいろなものを経験させていただきました」
――前半は女性たちが貧しさの中で力強く生きる姿が描かれていましたが、印象に残っていることはありますか
「男女のことはあまり意識していなかったですが、『ばけばけ』の好きなところは、貧しさだけではなく、その中にある『心がさみしかったり満たされていなかったり』という感情はどの時代もきっと共通していて、それを不器用にただ生きるという登場人物たちが本当にすてきだなと思います。環境や時代が変わっても、みんなさびしさや楽しさを持って必死に生きている姿は、見ている方にも共感してもらえている部分なのかなと思いました」
――怪談を語るシーンで意識したことや、お気に入りの怪談はありますか
「怪談を語るのはこの作品で2度目ですが、すごく緊張しつつも、トキが怪談を話している時にキラキラしている姿を見せられたらいいなと思って、とにかく楽しもうと思いました。お気に入りは『耳なし芳一』のシーンです。ヘブンさんが本当に芳一のように般若心経を顔に書き連ねていて、それを間近で見ることができたのは、怖くて面白い貴重な経験でした」