ヒロイン役は「現役中学生アイドル」が担当! 平成唯一の「ぴえろ魔法少女」が生んだ“リアルな透明感”

■平成唯一のぴえろ魔法少女シリーズは、これまでのシリーズの集大成?, ■ 高田明美の生み出したキャラクターはスタイリッシュに進化, ■これまでのシリーズの流れを一新した意欲作, ■突如訪れた「魔法の喪失」の余韻と、未来への光明を伝えるラストシーン

『魔法のステージファンシーララ』 (C)ぴえろ・バンダイビジュアル

「ぴえろ魔法少女シリーズ」の第6作目にあたる待望の最新作、アニメ『魔法の姉妹ルルットリリィ』が、4月5日より放送・配信されます。

同シリーズは1983年(昭和58年)放送の第1作『魔法の天使クリィミーマミ』から始まり、『魔法の妖精ペルシャ』(1984年)、『魔法のスターマジカルエミ』(1985年)、『魔法のアイドルパステルユーミ』(1986年)と続きました。この4作目の『パステルユーミ』で一区切りつき、この時点でシリーズは終わったと思った視聴者もいたのではないでしょうか。

しかし、『パステルユーミ』から12年が経過し、時代も昭和から平成に移り変わった1998年(平成10年)に、シリーズ第5作目にあたる『魔法のステージファンシーララ』が放送されました。

シリーズ最新作『魔法の姉妹ルルットリリィ』の放送を目前に控え、その前作にあたる『ファンシーララ』はどのような作品だったのか、あらためて振り返ってみたいと思います。

※本記事には、作品の核心部分の内容も含みます。

■平成唯一のぴえろ魔法少女シリーズは、これまでのシリーズの集大成?

■平成唯一のぴえろ魔法少女シリーズは、これまでのシリーズの集大成?, ■ 高田明美の生み出したキャラクターはスタイリッシュに進化, ■これまでのシリーズの流れを一新した意欲作, ■突如訪れた「魔法の喪失」の余韻と、未来への光明を伝えるラストシーン

主人公の篠原みほ (C)ぴえろ・バンダイビジュアル

『ファンシーララ』の主人公・篠原みほは、空想好きでマンガを描くのが大好きな小学3年生。ある日、異世界「時間の記憶」から迷い込んだ妖精・ピグとモグに出会い、魔法のペンとスケッチブックを託されます。

魔法の力で15歳の姿へと変身した彼女は、ひょんなことからファッションモデル「ファンシーララ」として芸能デビューを果たすのです。

その後、ファンシーララは歌手やモデルとして活躍。みほはペンで描いたものを実体化させる魔法が使えるため、ファンシーララの華やかなコスチュームも彼女が魔法で生み出していきます。

こういった『ファンシーララ』の設定をあらためて見ると、『クリィミーマミ』や『マジカルエミ』で描かれた変身してからの芸能活動、『パステルユーミ』が描いた少女の絵が実体化する魔法、そして『ペルシャ』にもあった着せ替え的な要素などがミックスされていることに気づきます。

まるで、これまでのぴえろ魔法少女シリーズの集大成のようなコンセプトであり、同シリーズが築いてきた魔法少女作品の「原点回帰」とも思える作品でした。

漫画家にもアイドルにも憧れている内気な9歳のみほが、自分が描いた漫画の主人公「ファンシーララ」という理想の姿になって、華やかな世界に飛び込んでいくという夢のような物語が展開。平成アニメの『ファンシーララ』ではありますが、どこか昭和の魔法少女ファンにも懐かしさが感じられる内容だったのです。

■ 高田明美の生み出したキャラクターはスタイリッシュに進化

■平成唯一のぴえろ魔法少女シリーズは、これまでのシリーズの集大成?, ■ 高田明美の生み出したキャラクターはスタイリッシュに進化, ■これまでのシリーズの流れを一新した意欲作, ■突如訪れた「魔法の喪失」の余韻と、未来への光明を伝えるラストシーン

変身したみほは、「ファンシーララ」として華々しく芸能デビューを飾る (C)ぴえろ・バンダイビジュアル

本作の最大の特徴ともいえるのは、同シリーズでは第1作『クリィミーマミ』以来となる高田明美さんの手がけたキャラクターデザインです。

マミがふんわりした淡い「パステルカラー」が基調だったのに対し、ララはシャープでメリハリのある「ビビッドカラー」を採用。ファッションモデルという職業もあってか、頭身もグッと上がり、大人びた衣装も映える抜群のスタイルになっています。

90年代後半のモダンなセンスにアップデートされた秀逸なキャラデザは、新旧両方のファンを魅了しました。

さらに、『赤ちゃんと僕』で監督デビューを果たした大森貴弘さんが同作の監督を担当。心情描写を繊細に描く演出で、ヒロインに魂を吹き込みます。母や姉への憧れと劣等感、学校での悩み、淡い恋心……そういった少女の日常の機微を「魔法」という“非日常”を介して浮き彫りにする手法は見事でした。

『ファンシーララ』における魔法は、あくまでもみほが自分自身を見つめ直すための「鏡」のような存在として描かれ、第3作目の『マジカルエミ』が描いたヒロインの「自立」というテーマを、さらに切実に表現していたように思えます。

■これまでのシリーズの流れを一新した意欲作

キャスト陣からも時代の変化が感じられました。主人公・みほ(ララ)を演じたのは、当時現役中学生アイドルだった大森玲子さん。彼女の等身大のみずみずしい演技が、ララの透明感を引き立てました。

主題歌『LaLaLa~くちびるに願いをこめて~』をはじめ、エンディングテーマや挿入歌も大森さんが歌唱。ちなみにOPとEDの作画は、『クリィミーマミ』や『マジカルエミ』なども手がけたもりやまゆうじさんと、大西貴子さんが担当しています。

脇を固めるキャストも豪華で、みほの母・真美子役を榊原良子さん、芸能事務所の女社長役に田中敦子さんという、強く美しい女性像を体現する声優陣が担いました。

そして驚いたのは、これまでのシリーズで主人公のボーイフレンド的なポジションを担ってきた水島裕さんや、マスコット役でおなじみの三田ゆう子さんらが出演していなかったことです。みほの幼なじみの吉田太郎役を演じたのは女性人気の高い山口勝平さんで、みほが憧れる人気タレントの相川ひろやは石川英郎さんが演じました。

昭和のぴえろ魔法少女シリーズで続いた流れをガラッと変えてきたあたりも、平成の作品としての挑戦だったのかもしれません。

■平成唯一のぴえろ魔法少女シリーズは、これまでのシリーズの集大成?, ■ 高田明美の生み出したキャラクターはスタイリッシュに進化, ■これまでのシリーズの流れを一新した意欲作, ■突如訪れた「魔法の喪失」の余韻と、未来への光明を伝えるラストシーン

現役中学生アイドルの大森玲子さんが、みほ&ララの声と歌唱を担当 (C)ぴえろ・バンダイビジュアル

■突如訪れた「魔法の喪失」の余韻と、未来への光明を伝えるラストシーン

そんな本作ですが、みほが魔法を失う瞬間は驚くほどあっけなく訪れます。第24話でファーストコンサートに成功させたララ(みほ)でしたが、魔法のペンとスケッチブックが入ったリュックを紛失してしまうのです。

魔法が使えなくなり、決まっていた仕事も穴をあけるという展開に。子ども姿のみほが泣きながら、マネージャーや社長に電話で「(もう現場へは)行けなくなった」と謝るシーンは、見ていて胸が痛くなります。そして、いつも寄り添ってくれた妖精のピグとモグまでいなくなるという悲しい展開が畳み掛けました。

最終回となる第26話では、ララが消えた後の芸能界のシビアな現実と、残された者たちの喪失感が描かれます。なかでも印象的だったのが、ララの専任スタイリストだったコミさん(小宮山)が、子どもの姿のみほと街で偶然出会い、彼女の正体がララであると直観的に見抜く場面です。

■平成唯一のぴえろ魔法少女シリーズは、これまでのシリーズの集大成?, ■ 高田明美の生み出したキャラクターはスタイリッシュに進化, ■これまでのシリーズの流れを一新した意欲作, ■突如訪れた「魔法の喪失」の余韻と、未来への光明を伝えるラストシーン

ララのスタイリストだったコミさんは、幼いみほを見て、彼女の正体がララであると見抜いた (C)ぴえろ・バンダイビジュアル

そこで語られた「過去も現在も未来も、全部、今の積み重ね」「大切なのは今だけ」という言葉。それは本作における狂言回し的な役割を担った通称「不思議さん」というキャラがコミさんに伝えていた、みほにとっては特に刺さるメッセージでした。

ピグとモグをみほに引き合わせ、魔法の力を与えて、多くの人々の運命を静かに見守り続けた不思議さん。その正体は最後まで明かされませんでしたが、彼の残した言葉は、魔法を失って日常に戻ったみほの今後の人生への力強いエールとなったのは間違いありません。

魔法はいつか解けるもの――それは魔法少女シリーズにおいて、避けられない現実です。『ファンシーララ』も例外ではなかったですが、「ララの姿は未来のみほである」と見抜いた人物が現れ、その言葉が自分に自信を持てない少女の心を照らしました。

劇的な別れのシーンが描かれなくても、いろいろ考えさせられる余地と、夢から醒めた余韻を与えてくれた『魔法のステージファンシーララ』。そして4月からは、この『ファンシーララ』に続く、ぴえろ魔法少女シリーズの第6作目『魔法の姉妹ルルットリリィ』がスタートします。

昭和に始まったシリーズの最新作が、令和の世にどのような物語を紡いでくれるのか今から楽しみでなりません。

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