【皐月賞】生産馬のリアライズシリウス&アルトラムスを送り込む社台ファーム・吉田照哉代表「完璧な状態で出る」「人気はないみたいだけど…」

社台ファーム・吉田照哉代表

社台ファームは2023年に生産馬のソールオリエンスが無傷の3連勝で皐月賞を制した。続く24、25年はジャンタルマンタルとマスカレードボールがともに3着。2頭はそこから大出世を果たした。今年も2頭の駿馬(しゅんめ)を送り込む吉田照哉代表(78)は3冠初戦を心待ちにしている。

滑らかな口ぶりが生産馬の調子のよさを如実に表していた。「完璧な状態で出るから、あとは相手次第」。出世レースの共同通信杯を勝って臨むリアライズシリウスのことだ。「追い切りは2週連続で速い時計だったし、しかも今週は鞍上が持ったままだからね」と吉田照哉氏が続ける。

昨年6月15日、東京芝1600メートルのデビュー戦は衝撃的だった。逃げて2着に7馬身も突き放して大楽勝。続く新潟2歳はスタートで出遅れたが、二の脚を使ってすぐに2番手に。直線ラスト400メートル過ぎに先頭に立って後続を突き放した。

デビュー3戦目は朝日杯フューチュリティS。レース当日、パドックで見た照哉氏は、期待の生産馬が本調子でないと見抜いていた。「レース間隔があいていたからかダボっと見えたね。毛づやも本当ではなかった」。不安は的中。5着に敗れた。だが、「あくまで目標はクラシック。関西への長距離輸送もあったし」とショックはない。

「共同通信杯はよくなっていましたよ。去年の暮れに緩んだ体が上がってきていた」。馬体重は同じ530キロだが、26年初戦では本来の姿に戻っていた。案の定、リアライズシリウスは楽に2番手につけ、余裕しゃくしゃくに追い出されるときっちり押し切った。1分45秒5はレースレコードだった。

共同通信杯を勝ったリアライズシリウス

GⅠ敗退後の共同通信勝ちは、同じ手塚貴久厩舎のマスカレードボールと同じだ。照哉氏は「手塚(貴久)調教師のところにはソールオリエンスもいた。手塚師を信じていますよ」と名匠の手腕を信頼している。

父のポエティックフレアは英国GⅠを2勝した名マイラー。現役引退後に輸入されて社台スタリオンステーションで種牡馬入り。初年度は108頭に種付けし、生産頭数は38頭で、その中の1頭がリアライズシリウスだ。

「少ない頭数で活躍馬を出すのだから種牡馬の能力は確か。リアライズシリウスの活躍もポエティックフレアの力が大きいと思いますね。体が大きくて筋肉が柔らかいのが産駒の特徴。この馬も530キロ前後の好馬体で、しかも柔軟だから」。初めて走る2000メートルの距離についても「やってみないと分からないけど、1800メートルの重賞を勝っているし、3歳限定なら。体がゆったりしていて柔らかみがあるから」と、心配より楽しみが上回っている。「共同通信杯よりさらに状態が上がっている感じだからね」。

毎日杯を勝ったアルトラムス

毎日杯を勝って臨むアルトラムスにも、リアライズシリウスに勝るとも劣らない期待を抱いている。「人気はないみたいだけど、状態がすごくいいからね」。照哉代表が何より評価しているのは卓越した回復力だ。「毎日杯では直線半ばからしっかりと伸びて差し切った。ああいう競馬をすると、普通の馬なら状態が落ちるもの。アルトラムスにはそれがない。あれが調教だったかのよう。そこがいい」と笑顔を見せた。

父は皐月賞馬イスラボニータで、母の父はジャパンCの覇者スクリーンヒーロー。2000メートルを走るのは初めてだが、「こっちも1800メートルの重賞を勝っているし、今回はぴったりじゃないですかね。それに、マスカレードボールのようにサンデーサイレンスのインブリードが最近よく走るから」と照哉氏。アルトラムスのサンデーサイレンスのインブリードは3×4×4の25%。マスカレードボールのそれは3×3で25%。血量は同じだ。

「それに岡田牧雄さんも評価してくれているし」と笑う。確かに、岡田スタッド場主の岡田牧雄氏は、週刊Gallopで連載している『[馬見の達人]の負けない馬券術 長の一念』で<アルトラムスは母の父スクリーンヒーローの良さが出ていて、首の抜けが良く、雄大なフットワークが目を引く。まだ緩さも目立つが、将来性はメンバーで一、二を争う>とつづっている。

人気のリアライズシリウスと穴馬アルトラムス。1800メートルの重賞勝ちを共通項に持つ2頭の結果はいかに!?(鈴木学)