「スーパー宮妃」久子さまは「では、バトンタッチね」とユーモアたっぷり!駐日大使の笑顔を引き出すロイヤル・フットワークとは

 ひとりでも多くの招待者との交流を―――。そんな令和皇室の思いがさらに強く伝わったのが、2026年春の園遊会だった。両陛下が主催する園遊会が開かれた赤坂御苑。この日、もっともエネルギッシュに動かれ、おもてなしをなさっていたのが「スーパー宮妃」こと、高円宮妃の久子さまだ。

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「では、バトンタッチね」

 久子さまの明るい声が、緑豊かな苑内に響いた。ユーモアたっぷりなトーンなのも、久子さまらしい。

 久子さまが移動を始めたのは、長く歓談していたゲストのもとへ、三笠宮家の彬子さまが歩を進めているのが目に入ったからだ。

 久子さまのお相手は、パラリンピックのアスリートと思われる。車イスで出席したゲストが一人にならないよう、彬子さまが会話を引き継ぐために向かってくる様子を確認。すれ違いさまに久子さまは、彬子さまと目線を交わしニコッとほほ笑み合うと、優雅に、しか急ぎ足で次のゲストの元へと向かった。

 皇室のメンバーが赤坂御苑のしょうぶ池の奥の芝生のエリアまで移動し、ゲストと交流する方式に変更してから3回目の園遊会。今回は、秋篠宮ご夫妻や久子さまは、料理を提供するテントのなかにまで足を運び、招待者と積極的に会話を交わしていた。

 この日の園遊会で、移動距離と運動量が最大値を記録した皇族は、久子さまではないだろうか。

 人気の高い宮妃だけに、あちらこちらから、「久子さま」と声が飛び交い、久子さまの周りは、いつも笑い声に包まれている。やや緊張気味だったゲストも、久子さまと言葉を交わすうちに生き生きとした表情へと変わってゆくように見える。

「ロイヤルとしてのプロ意識に、思わず舌を巻きました」

 と口にするのは、招待者のひとり。

 ゲストの「おもてなし」に集中するためか、トレーにグラスを載せたスタッフらが入れ替わりドリンクを勧めても、

「いえ、結構」

 と、その都度キッパリと辞退されていた。

 そうしたなかでも、あいさつすべきゲストが近くにいないか、手持ち無沙汰になっているゲストがいないか、周囲に目配りをしながら苑内を移動されている。そうした点も、久子さまが、国内外から頼りにされる「スーパー宮妃」所以だろう。

 どれほど急ぎ足での移動でも、とびきりのスマイルを絶やすことはない。

 

 話題も豊富。たとえば、自然豊かな地方から招待されたゲストとは、久子さまのライフワークであるバードウォッチングや野鳥の撮影の話題でその場を盛り上げる。

 久子さまの隣でほほ笑み、「母」の武勇伝を披露したのは、長女の承子さまだった。

 野鳥の撮影に集中する久子さまと同行したのだろうか。こんなエピソードを披露されたのだ。

「いつも、『これ以上は行かないでください、無理です』というところギリギリまで行くんですよ」

 ふふっと、笑う承子さま。久子さまは、会話がひと息つくと、承子さまにその場を託して、次のゲストのもとへと足を踏み出してゆく。

 母と娘、おふたりの間にある、愛情と信頼関係が伝わってくる、園遊会のひとコマだった。

 久子さまが野鳥の撮影に熱中するのも無理はない。

 大学時代は、写真部に所属。旧姓は「鳥取」で、幼いころから鳥に親近感を持っていたと、ご本人が講演などで明かしている。夫の高円宮さまが2002年に亡くなってからは、宮さまが残した写真機材を使い、野鳥を撮影することも久子さまのライフワークに加わった。

 久子さまは、本部を英国に置く国際環境NGO組織「バードライフ・インターナショナル」の名誉総裁に、すでに20年以上も就任されている。

 研究者らと交流や意見交換を続けながら、望遠レンズを手に各地を飛び回り、自ら環境保護の大切さを訴えてきた。

 各地で野鳥の写真展を開き、『レンズを通して − 四季をめぐる鳥と根付』、「鳥と根付 春秋の物語: レンズを通して』など写真集を何冊も出版されている。

 また、言葉の問題から、どうしても手持ち無沙汰になりがちな駐日大使夫妻とも積極的に交流していたのも久子さまだ。

 春の園遊会の出席者は、およそ1400人。やはり語学が堪能な両陛下は、中の池と大池に挟まれた中島通りを通り、招待者と懇談を続けている。

 こちらのしょうぶ池そばの松山エリアを担当するのは、両陛下の長女の愛子さま、秋篠宮ご夫妻と次女の佳子さま、三笠宮家の彬子さまと瑶子さま、高円宮家の久子さまと承子さまと8方。皇族方は、休む間もなく「おもてなし」に努めるが、人手が十分とは言い難い状況だった。

 

 この日、皇族方はいずれも駐日大使の接遇に務めていたが、中心となったのは語学が堪能な彬子さまや久子さまだった。

「国内外問わず評価が抜群に高いのが、高円宮家の久子さまでした」

 と振り返るのが、元大使経験者だ。

 久子さまの語学力の高さは、2013年のICO総会の場において、流暢な仏語と英語で堂々とスピーチをされたことで誰もが知ることとなった。前出の大使経験者が続ける。

「各国の王室や社交界とのパイプも強い。よい意味でのタフさも持ち合わせていらっしゃる。さすがは宮妃、と相手をうならせる存在感がある」

 園遊会には、1回限りという招待者も多く、各国の駐日大使と親しく会話ができる相手は限られてしまう。そのためか、じっくりと英語などで歓談することができる久子さまや彬子さま方のそばに、駐日大使夫妻が立ち、「順番待ち」をする光景も珍しくなかった。

 

 久子さまは、そうした空気を醸しだしそうな駐日大使夫妻らに声をかけ、ゲストが笑顔で過ごせるよう目配りをかかさなかった。

 午後3時半ごろ、しょうぶ池そばの松山エリアを退出する久子さまの姿があった。

 「久子さま」 すれ違うゲストから声を掛けられるたびに、エネルギッシュな極上のスマイルであいさつを返す。

「久子さまに、元気をいただいて…」「素敵な方で、そのオーラに惹きこまれてしまいました」

 「スーパー宮妃」と交流をした招待者たちは、久子さまとの会話の余韻を楽しむように、そう振り返った。

(AERA編集部・永井貴子)

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