【実態】“通行禁止”を堂々と走行…観光客でにぎわう京都で相次ぐ危険な自転車 オーバーツーリズムの裏で深刻化する問題

 春の観光シーズンでにぎわう京都。京都市によると、市を訪れた外国人観光客は2024年、約1088万人と過去最多を記録しました。今年も国内外から多くの観光客が集まりにぎわいを見せる一方で、自転車の違反行為が深刻化しています。そのワケを取材しました。(読売テレビ 報道局:古瀬朱理)

■“放置自転車地獄”から脱出も“走行ルール違反”が問題に

かつて放置自転車に悩まされていた京都 ©ytv

 かつての京都は「放置自転車問題」に悩まされていました。今から約20年前、古都・京都のまちは放置自転車であふれかえり、飲食店が立ち並ぶ繁華街・木屋町では、柵を乗り越えて自転車を止める人の姿も見られました。

『撤去強化区域』で対策を強化 ©ytv

 この状況を改善するため、京都市は約10年前、放置自転車をすぐに撤去できる『撤去強化区域』を市街地のほぼ全域に広げ、対策を強化しました。その結果、2020年度には放置自転車の数をピーク時の200分の1以下まで減らすことに成功しました。

 “放置自転車地獄”から脱出し、自転車に悩まされることはなくなった…と思いきや、危険な走行をする自転車に頭を悩ませているといいます。

京都屈指の繁華街・四条河原町 ©ytv

 3月末、取材班が向かったのは京都屈指の繁華街・四条河原町です。商業施設が立ち並び、多くの人が行き交う一方、狭い車道には市バスなど1日あたり平均約1万3000台の車が通る交通量の多いエリアです。

歩道は終日・車道は一部の時間帯で自転車や電動キックボードの走行が禁止 ©ytv

 阪急烏丸駅から京都河原町駅付近までの四条通の一部区間では、歩道は終日、車道は午前8時から午後9時まで、自転車や電動キックボードの走行が禁止されています。

歩道をベルを鳴らしながら走行する自転車も… ©ytv

 昼下がりの四条通で取材していると、車道を堂々と走る自転車や、人が行き交う歩道をベルを鳴らしながら我が物顔で走行する自転車、さらには地元の人でさえルールを守らず車道を逆走していました。

ルールを知らない地元の人も… ©ytv

 Q.四条通は自転車の走行が禁止ですがご存知でしたか?

 (地元の人)

 「ここ(歩道)走ったらあかんのやろ?走ってへんやん」

 Q.車道も時間によってはダメなんです

 「四条通は全然自転車通られへんわけ?」

 Q.バスや電車よりも自転車の方がいいですか?

 「そりゃそうやん。バスは何行きとか分かれている。自転車はすごく便利」

「日本人が自転車に乗っているから大丈夫だと思った」 ©ytv

 (車道を走行していた人)

 「日本人が自転車に乗っているから大丈夫だと思った。日本人の行動をマネしていただけ」

ルールを自分で確認する ©ytv

 電動自転車や電動キックボードなど、アプリで簡単に借りられるシェアサイクルも京都では増えていて、この問題に追い打ちをかけているようです。 

 近くにある貸し出し場所で実際に借りてみると、借りる際に『京都市独自の交通ルール』を自分で確認する必要がありました。

「息子が(借りる手続きを)やってくれたので…」 ©ytv

 しかし、シェアサイクルを利用していた観光客はー

 (観光客)

 「息子が(借りる手続きを)やってくれたので。ここは乗ってもいい、ここは乗ってはダメという説明はなかった」

 アプリで簡単に借りることができる一方で、ルールを正確に知る難しさがあるようです。

1時間半の調査で16台が走行禁止場所を走っていた ©ytv

 取材班が四条通で1時間半調査したところ、走行禁止場所を走る自転車や電動キックボードを16台確認しました。

車道の真ん中を走る自転車 ©ytv

 全国的に自転車事故は増加傾向にあり、京都市によると、自転車関連事故の割合は全国平均が約23%なのに対し、京都は約28%と、高い割合になっています。

 危険な走行は重大事故につながりかねません。

京都市建設局 自転車政策推進室・甘利卓也 計画調整課長 ©ytv

 京都市建設局 自転車政策推進室・甘利 卓也 計画調整課長

 「京都は平坦な盆地の地形です。この中に歴史的な街並みや文化的な施設、日常的に使われるような施設がコンパクトにまとまっていて、非常に自転車が利用しやすい街です。自転車を利用される方の意識が一番大事で、こればっかりは特効薬というのは難しい」

■自転車利用が多い京都だからこそ…“サイクルポリス”で取り締まり強化

“サイクルポリス”「Be-Unit」 ©ytv

 自転車利用が多い京都だからこそ安全を守るため、京都府警は自転車の取り締まりに特化した“サイクルポリス”『Be-Unit』を2024年に結成しました。京都府警・交通機動隊自転車取締小隊の隊員たちで、この日は4月からの自転車の『青切符』制度導入を前に、住宅地で取り締まりを行いました。

4月1日から始まった『青切符』制度 ©ytv

 『青切符』は、16歳以上の違反について危険性の段階に応じて、『注意』や『指導警告』が行われます。スマートフォンの『ながら運転』や『並走』、周りの音が聞こえない『イヤホン運転』など、警告の無視や悪質な運転をした場合、最大で反則金1万2000円の納付が求められます。

『無灯火運転』の自転車 ©ytv

 大学近くの交差点で日が暮れて薄暗くなる夜間を取材してみると、ライトをつけずに走行する『無灯火運転』に遭遇しました。これも青切符の対象です。

自ら進んで質問する学生も ©ytv

 なかには、自ら進んで質問する学生の姿も見られました。

 (普段 自転車を利用する学生)

 「最近厳しくなったと聞いて警察の方がちょうどいらっしゃったので聞いてみました」

 Q.普段から自転車によく乗りますか?

 「学生なので下宿先から大学まで。公共交通機関は観光客も多くてパンクしているし、バスだと時間が未確定な時も多いので」

京都府警交通機動隊 自転車取締小隊・厨子 敏夫さん ©ytv

 京都府警交通機動隊 自転車取締小隊・厨子 敏夫さん

 「自転車の交通違反も多岐にわたります。止められた時にこういったルールを知らないということがあれば解説をさせていただく。チラシ等も配布して、いろいろな機会を通じて自転車の交通ルールを身につけていただければ、違反や交通事故は減っていくのかなと思います」

 観光客だけでなく自転車に乗る全ての人が交通ルールを理解することが求められています。

■一方でオーバーツーリズム対策で自転車利用を促進

京都市は混雑を避けるために自転車利用を推進 ©ytv

 自転車の交通違反は多い一方、京都市は混雑を避けるために自転車の利用を勧めています。観光地が集まる祇園四条でレンタサイクル事業を行う店舗では、外国人観光客に『青切符』制度や、京都ならではの細かいルールを伝えるため、市がつくった多言語のチラシを配り、英語を話せるスタッフなどが説明していました。

英語で説明するスタッフ ©ytv

 (英語で話すスタッフ)

 「周辺の地図を読んでください。これはここ周辺のマップです。この道を越えた先は自転車に乗ってはいけないんです。でも(自転車を)押して歩く分には問題ないです。これは自転車を乗るときのルールで、もし違反したら6000円~1万2000円を払うことになります」

オーストラリアからの観光客 ©ytv

 (オーストラリアからの観光客)

 「私たちはサルがいる嵐山に行きます」

 オーストラリアから観光に来た二人は初めて知る日本の交通ルールに少し戸惑った様子を見せながらも桜満開の京都の魅力を全身で感じながら嵐山へと向かって行きました。

「地道に繰り返し取り組んでいくのが大事」 ©ytv

 (京都市建設局 自転車政策推進室・甘利 卓也 計画調整課長)

 「道路を管理する上で、市民の生命と財産を守るというのが第一の使命と思っています。その上で、いかに街と調和した形で京都らしく街をつくっていけるか、というところになるのかなと。しっかりと正しい知識と正しいルールが何なのかを身につけていただくということを、地道に繰り返し取り組んでいくのが大事かなと思っています」

 自転車の交通違反を減らすための特効薬はありません。観光資源としての役割も大きくなる中、住民も観光客も安全への意識を高めることと、利用する全ての人へのルール周知の徹底が改めて求められています。

(読売テレビ「かんさい情報ネット ten.」2026年4月28日放送)