中山功太が謝罪しても終わらない…サバンナ高橋の「いじめ騒動」に透けて見える〈芸能界の闇〉

今回の騒動で仲介役として奔走したお笑いコンビサバンナの八木真澄(左)と中山功太に対する過去のいじめを暴露された高橋茂雄(右) Photo:JIJI
5月13日、大手生活用品メーカーのライオンが、「ストッパ下痢止め」のCMキャラクターであるお笑い芸人サバンナ・高橋茂雄の起用を当面見合わせることを明らかにした。これは後輩芸人が配信番組の中で明かした「いじめ騒動」が発端だった。その後、両者それぞれが謝罪して和解の報告をしたが、ネット上で騒動への言及は収まらない。(フリーライター 鎌田和歌)
「僕は誰か言わないです」
「滅茶苦茶面白い人です」
まず、騒動の経緯を振り返りたい。
発端となったのは5月5日に配信されたABEMAの「ナオキマンの都市伝説ワイドショー」。エプスタイン事件にちなんで「権力者の闇」「二面性のある人物」を出演タレントらが暴露する流れとなり、ここでお笑い芸人の中山功太が、「10年ぐらいずっといじめられた先輩がいる」と切り出した。
「ずっと売れてる」「みなさん、良いイメージを持っていると思う」などと続け、具体的な「いじめ」のエピソードも披露。配信では名前が伏せられたものの、スタジオの出演者の前では先輩芸人の名前を明かし、他の出演者が「めっちゃ腑に落ちた」などと反応する様子も流れた。
配信から数日後、ネットニュースでこの部分が憶測を呼んでいると取り上げられ、8日に中山自身がこのニュースを引用して「僕は誰か言わないです。 理由は、当人に迷惑が掛かるからです。 ただ、万が一『そんな事はしていない』と吹聴するなら証拠出します。 滅茶苦茶悔しいですが滅茶苦茶面白い人です。 死ぬほど才能あります。 勝てないです。 僕は努力のみで越えてみせるから、その際は逃げるな。」とXに投稿した。
このあと、他の芸人からも、自分も同一人物から嫌がらせにあったという趣旨の投稿があったこともあり、さらにネット上での「特定」が加熱。サバンナ高橋ではないかとささやかれ始めた。
10日になって、高橋の相方である八木真澄が、X上で謝罪。「中山功太とも電話で話しをさせてもらいました」と綴り、配信番組で名指しされたのが高橋であったことを実質的に認めた。
中山が長文で
謝罪するも……
八木の仲介と謝罪が誠実なものに見えたため、ここで一件落着となるかに見えたが、SNSでの騒動は止まらない。
高橋本人は「当時の大阪で共演してた番組の収録で、言い方やカラミが嫌な思いをさせていたこと謝りました。」とXに投稿。
さらに中山も高橋と電話で話したことを明かしたうえで「僕が番組内で言った『いじめられていた』という表現は完全に不適切でした。申し訳ありません。謝罪して撤回させて下さい」「僕の被害者意識が過剰だったかも知れません」「言えた口ではございませんが、サバンナ高橋さん、高橋さんのご家族、相方の八木さんへの誹謗中傷はおやめ下さい」と長文で綴った(※記事末に中山功太がXに投稿した謝罪文を全文掲載)。
ネット上では、高橋が出演中のCMやNHK番組がどうなるのかが取沙汰された。高橋が声でレギュラー出演するNHKの子ども向け教育番組「みいつけた!」について、NHK広報局は12日に「現在のところ、出演予定に変更はありません」と説明。
一方でライオンは13日に当面起用を見合わせる方針であることをメディア取材に応じて回答した。
また、14日放送の日本テレビ系『DayDay.』では、生出演した高橋が自ら騒動に言及。MCの山里亮太が「あれですよね。でも2人でしゃべったんですよね?じゃあ終わりじゃないですか?」とコメントし、高橋は「ちゃんとしゃべってて、もう何のわだかまりもなくて、飯行く約束とかもできてるんです」と答えた。
生放送での釈明が
裏目に?
ネット上では、高橋への批判が渦巻いていることが逆に「いじめ」のようだと指摘する声や八木の仲裁が功を奏したといった声がある。一方で、「いじめ」を告発した形となった中山が結果的に長文の謝罪文を出したこと、さらに『DayDay.』での様子が、同じ吉本所属である芸人が騒動を手早く収束させようとしたように映ったことなどから、「不愉快」「いじめを軽く考え過ぎ」といったコメントも見られる。
中山はX投稿の中で「本当にこんな事になるとは思っていませんでした。悔やんでも悔やみきれません」と書き、番組の中でしゃべってしまった内容に後悔を滲ませている。
「いじめられていた」という表現は不適切で、「昔嫌いだった芸人」と言うべきでした」とも綴っている。嫌な思いをしたことは事実だが、番組の趣旨に合わせてエピソードを語る中で、実際より過激な表現を使ってしまった、という意味だろう。
本気で後悔していることが伝わってくる投稿であり、読む人の中には「いたたまれない」と感じる人もいるだろう。SNSで特定人物への批判が加熱することの怖さをわかっているからこその後悔と受け取れる。
ただ、先輩芸人の言動に嫌な思いをした芸人が逆にここまで謝る展開、そして他の売れている芸人が騒動を収めようとする態度について、不信感を覚えている人もいるようだ。
これはおそらく、今回当事者となった芸人個人の問題というよりも、ここ数年で構造的な「旧来の体質」に疑問を持つ人が増えたからでもあるのだろう。
縦社会の中で後輩が先輩に逆らえない風潮や、ハラスメントが発覚してからの隠蔽。そういった見えない抑圧が楽しげなエンタメの世界にも存在している。
SNS上で騒動が長引く背景には、単純な「野次馬根性」だけではないものもある。
決着点が見出せない
SNS上の議論
危ういのは、誰も落としどころがわからない中で、「告発」が多くの人の注目を集めてしまうところだろう。
一昔前であれば、マスコミがどのように報じるかや、有名人の鶴の一声で風向きが変わりやすかった。タレントの好感度は、大手芸能事務所がコントロールしやすかったと言える。
しかしマスコミの信頼度が失墜し、大手芸能事務所での問題が次々に明らかになる中で、「身内による火消し」や「内輪での収束」に対して懐疑的な視線を向ける人も増えた。
近年は、後になって「実は長年ハラスメントが放置されていた」と発覚するケースも少なくない。「またうやむやにするつもりではないか」「意見が言いづらい側を黙らせていない」といった不信を招きやすくなっている。
しかし現在のSNSは「誰が悪いか」を決める速度は速いが、「どのように終わればよいのか」を考えるのは極端に苦手でもある。騒動を長引かせることに長けた人はいても、終わらせることができる人はいない。アルゴリズムは和解や収束よりも、対立や断罪を拡散する傾向が強いと感じる。別の炎上騒動に話題が移るまで終わらないだろう。
今回の騒動は、「暴露」がエンタメとして消費される現代的な空気の反映でもあった。配信番組で語られた「裏話」は、切り抜きやネットニュースによって瞬時に拡散される。実名を伏せた状態での告発は、視聴者による「特定」を誘発しやすく、参加型コンテンツのように流通していく。
そして一度、社会的制裁の空気が生まれると、当事者同士が和解したとしても簡単には止まらない。スポンサー企業もまた、真相そのものより、炎上がどこまで延焼するかを無視できない時代になっている。
芸人文化の変化、SNS時代の暴露、そして終わらない炎上。今回の騒動は、単なる芸人同士のトラブルを超え、「告発」と「和解」の間で、社会がまだ適切な着地点を見つけられていないことの表れにも見えた。
中山功太のX投稿全文

中山功太のXより

中山功太のXより

中山功太のXより

中山功太のXより
この度、自分の意思で、サバンナ高橋さんに許可を得てこの文章を書かせていただいています。
長くなりますが、ご一読ください。
僕が番組内で言った「いじめられていた」という表現は完全に不適切でした。
申し訳ありません。
謝罪して撤回させて下さい。
当時、嫌な思いをし、傷付いた事は事実ですが、あの言葉は絶対に間違いでした。
自分で蒔いた種ですが、日々、その言葉を使ったネットニュース等を目にし、後悔の念で押し潰されています。
バラエティ番組内の発言として「嫌いな芸人」正式には「昔嫌いだった芸人」と言うべきでした。
電話でゆっくりお話させていただき、当時の僕の気持ちと高橋さんの気持ちを照らし合わせました。
結果、高橋さんに全く悪意がなかったとわかりました。
番組内で僕が喋った、当時の2つのエピソードはいずれも、出演者・スタッフさん・観客・その他関係者の皆様がいる状況での出来事です。
二人きりで言われたのであれば話は別ですが、ギャラリーが沢山いて、自らが損をする様な状況で、本気で嫌ごとを言う訳がないと気付きました。
お話して、ご本人からすると「カラミ」「イジリ」のつもりだったとご説明いただきました。
高橋さんは昔から嘘が嫌いな方です。
すぐに本当だとわかりました。
当時は芸人としての経験も浅く、緊張感の中、言葉をそのまま受け取ってしまいました。
僕の被害者意識が過剰だったかも知れません。
出演させていただいた番組内でトークテーマに沿って話させていただく際、その当時のエピソードと高橋さんの実名を、自らの意思で出しました。
名前を隠していただくようお願いし、実際に誰かわからないように編集して放送して下さいました。
とは言え、現場には出演者もスタッフさんも沢山いる状態です。
放送上では匿名になっていても、その場で暴露した事には変わりないと反省しています。
ただ、その後、絶対に誰にも言わないと誓いました。
芸人さんからも沢山ご連絡いただきましたが、絶対に名前は出しませんでした。
ですが、SNSで実名が広まってしまいました。
誤解のないように申し上げますが、番組のスタッフさんや出演者の皆様を疑っている気持ちは微塵もありません。
本当にこんな事になるとは思っていませんでした。
悔やんでも悔やみきれません。
多大なるご迷惑をお掛けしたにも関わらず、高橋さんは電話で真っ先に、僕の事を心配して下さいました。
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
はじめに高橋さんからお電話をいただいた際にすぐ和解させていただき、現在もやり取りを続けさせていただいています。
わだかまりは全くありません。
言えた口ではございませんが、サバンナ高橋さん、高橋さんのご家族、相方の八木さんへの誹謗中傷はおやめ下さい。
マスコミ関係者の皆様、よろしければこちらを全文載せていただき、広めていただけると幸いです。
この度は、お騒がせし、ご迷惑をお掛けし、本当に申し訳ありませんでした。