赤い惑星を襲った“大洪水の痕跡”を確認…全長1,300kmの巨大渓谷を公開
欧州宇宙機関(ESA)は、数十億年前に火星を襲った大洪水の痕跡とみられる巨大な渓谷地形の画像を公開した。
宇宙科学メディアSpace.comは最近、ESAが火星の赤道付近にある巨大水路システム「シャルバタナ渓谷」の最新画像を公開したと報じた。

引用:ESA
13日(現地時間)に公開された画像に写っているのは、長さ約1,300キロに及ぶ巨大な地形である。イタリア全土の長さに近い規模だ。この画像は、ESAの火星探査機マーズ・エクスプレスに搭載された高解像度ステレオカメラ(HRSC)で撮影された。画像の地域では、「カオス地形」と呼ばれる独特の地質構造が確認できる。
画像に捉えられたのは、地下の氷層が溶けて地表が崩壊する過程で形成されたとみられる複雑な岩石地形である。シャルバタナ渓谷周辺には、約35億年前に火星全域を襲った巨大洪水によって形成されたとみられる曲がりくねった谷が、広範囲に広がっている。

引用:ESA
ESAの関係者は声明で「このような地形は火星で比較的よく見られ、マーズ・エクスプレスも過去に何度か撮影している」と説明した。
研究チームは、膨大な量の地下水が地中から一気に噴き出して大規模な洪水を引き起こし、その過程で現在のような巨大な浸食渓谷が短期間で形成されたとみている。画像に写っている主要な水路は、幅約10キロ、深さ約500メートルに達すると分析された。

引用:ESA
今回公開された画像では、火星の複雑な地質学的歴史を示す様々な層構造も明らかになった。研究チームは、シャルバタナ渓谷がかつては現在よりはるかに深かったものの、長い時間をかけて堆積物や火山灰などが積もり、徐々に埋まっていった可能性があるとみている。
渓谷の各所に広がる濃い青黒色の堆積物は、火星の強風によって運ばれた火山灰と推定されている。また、衝突クレーターや波打つ稜線、孤立したメサ地形などは、火星で数十億年にわたり巨大洪水や火山活動、浸食作用が繰り返し起きたことを示す証拠と解釈されている。
科学者たちがシャルバタナ渓谷に注目するのは、この地域に、かつて火星が現在よりはるかに温暖で湿潤な環境だったことを示す痕跡が残っている可能性が高いためである。特に、この水路は火星で最も低い地域の一つであるクリュセ平原へと続いている。一部の研究者は、同平原にかつて巨大な海が存在した可能性を指摘している。
2003年に打ち上げられたマーズ・エクスプレスは、現在も活動を続ける最古級の火星探査ミッションの一つである。探査機に搭載されたHRSCカメラは20年以上にわたり、火星表面をカラー画像や3D地図として撮影し、膨大なデータを蓄積している。
マーズ・エクスプレスはこれまで、火星に水が存在した可能性を示す複数の手がかりを発見する上で、重要な役割を果たしてきた。研究チームは同探査機を通じ、水中で形成された鉱物の地図を作成し、地下の氷層を分析したほか、火星南極の氷床下に液体の水が存在する可能性を示唆する研究にも貢献してきた。
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