米学校でまん延するいじめ「ランチ・シェイミング」

全米の学校のカフェテリアに、陰湿ないじめが忍び込んでいる。昼食をとっている生徒の姿を他の生徒が撮影し、拡散させるといういじめだ。

このさらし行為の標的には主に二つのパターンがある。食べ物をほおばっている不格好な瞬間を撮ったものと、一人で食事をしている生徒を撮ったものだ。

カリフォルニア州サンディエゴの高校3年生クリスチャン・オカフォーさん(18)は、昼食を食べているときに格好の悪い写真を30~40回、撮られたことがあるという。「(そうした写真を撮られると)人目が気になって、隠れて食べなければいけないような気分になる」とオカフォーさんは話した。

オカフォーさんはこの「ランチ・シェイミング」が原因で、学校の屋外キャンパスで人目に付かない場所を探して食事をするようになったが、そのうち受け流せるようになったという。他の生徒が同じことをされているところをよく見かけるが、学校側に報告したことはない。学校にできることはあまりないと感じているからだ。

クリスチャン・オカフォーさん

「人が恥ずかしい思いをする場面をとらえてさらし者にする行為は以前からある。(ランチ・シェイミングは)その最新版だ」。バージニア大学教授で研究部門を統括する上級副学部長のキャサリン・ブラッドショー氏はこう指摘する。

ブラッドショー氏によると、学校のカフェテリアは、職員1人当たりの生徒数が教室よりはるかに多いため、いじめが起きやすい場所だという。子どもの心の健康といじめ防止を研究する同氏は、これまでに2万5000人の児童・生徒のデータを集めた。過去1カ月間に学校のどこでいじめに遭ったかを尋ねたところ、小学生は14%、中学生と高校生はそれぞれ18%がカフェテリアと回答した。

教室で昼食をとる

オハイオ州フェアフィールドの学校を卒業したばかりのニハール・パテルさん(18)は、1年生の頃からカフェテリアで昼食をとらなかった。理由はランチ・シェイミングだ。パテルさん自身が標的になったことはなかったが、親しい友人の1人はターキーサンドイッチにかぶりついた瞬間、フラッシュが光ったことに気づいた。撮影したのは女子グループで、写真はスナップチャット上にあるこの学校の2026年卒業生のページに投稿された。

「彼女は学校で食べるのをやめた」とパテルさんは話した。友人はこのことを話したがらなかったが、パテルさんが話すことを許可したという。「彼女がずっと身体イメージの問題を抱えていたことを自分は知っている」

ニハール・パテルさん

この出来事のあと、パテルさんはこの友人を含めた数人と一緒に、ある教員の教室で昼食をとるようになった。カメラによるいじめの心配はなくなったが、友人が人前で食べられるようになったのは、3年生になってからだった。

ユニバーシティ・カレッジ・コペンハーゲンの社会心理学准教授で、10年以上いじめの研究をしているスタイン・カプラン・ヨルゲンセン氏はランチ・シェイミングについて、食事中の不格好な顔をさらすだけではない、残酷な側面があると指摘する。身体イメージの問題や食物アレルギー、社会経済的な地位の低さなど生徒が抱えている可能性のある他の問題も関係するからだ。さらに写真撮影は瞬時に行われるため、学校の監視員がそうした行為が行われていることに気づくのは困難なことが多い。

「(ランチ・シェイミングは)巧妙に隠れて行われるいじめで、最悪だ」とカプラン・ヨルゲンセン氏は話した。

スマホ禁止は効果があるが…

複数の学区がスマートフォンの使用を禁止している。授業の妨げになるという理由に加え、生徒たちがけんかを撮影したり、うわさを拡散したり、互いにいじめ合ったりすることがあるからだ。

初期の研究では、学校でスマホの使用が禁止されると、生徒の規律上の問題が減少し、テストの成績も上がった。スマホの使用を終日制限する学区もあるが、休み時間と昼食時に使用を許可している学区もある。ワシントン州アバディーン学区が数年前にスマホの使用の終日禁止を導入したところ、学校が提供する昼食を食べる中学生がかなり増加したことに学区の担当者は気付いた。

「写真を撮られる不安がなくなったため、昼食をとるようになった」と同学区の共同学区長の一人、トレイシー・サンドストローム氏は話した。

パテルさんによると、昨年秋にスマホの使用が全面禁止され、ランチ・シェイミングの写真は大幅に減ったという。では、いじめっ子の関心はどこに向かったのだろう。パテルさんの話では、一部の生徒は、運転が下手な生徒の写真をインスタグラムに投稿しているそうだ。

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――筆者のジュリー・ジャーゴンはファミリー&テクノロジー担当コラムニスト