南ア国民、トランプ氏の「ばかげた」主張をジョークで笑い飛ばす

南ア国民、トランプ氏の「ばかげた」主張をジョークで笑い飛ばす
【AFP=時事】南アフリカ・ヨハネスブルクのにぎやかなコメディーショーでは、ちょうど1週間前に約50人の南ア白人を「難民」として米国に送ったチャーター便について、どのコメディアンもジョークを飛ばさずにはいられなかった。
そうしたコメディアンの一人、チツィ・チウミヤさんが、多様な人種が座る観客席の中に白人カップルを見つけ、わざと驚いたような表情で「白人だ! まだ残っている! 彼らにもっと快適に過ごしてもらわないと」とジョークを飛ばすと、会場は爆笑に包まれた。

南ア国民、トランプ氏の「ばかげた」主張をジョークで笑い飛ばす
ドナルド・トランプ米大統領は、南ア政府が同国の白人「アフリカーナー(オランダ系を中心とする南ア生まれの白人)」を迫害していると批判している。だが、1994年に多数派の黒人から政治的・経済的権利を剥奪する残忍な人種隔離政策「アパルトヘイト」が廃止されてから30年以上が経過した今も、少数派の白人による支配の遺産が色濃く残る南アでは、トランプ氏の主張は概ね嘲笑の対象となっている。

南ア国民、トランプ氏の「ばかげた」主張をジョークで笑い飛ばす
米国と南アの関係は今年、さまざまな政策をめぐって急激に悪化しているが、シリル・ラマポーザ大統領は21日に米首都ワシントンでトランプ氏と会談し、関係修復を目指す見通しだ。
■「痛みを笑い飛ばそう」
完売となった毎週恒例のコメディショーには、カップル、家族、友人連れなど、さまざまな背景や人種の人々が集まっていた。
共同司会者のシャンレイ・ファン・ウィックさんはアフリカーンス語を話すが、「カラード」のコミュニティーの出身だ。「カラード」とは、かつてのアパルトヘイト体制によって、さまざまな混血の人々を指すためにつくられた呼称だ。
ウィックさんは観客に向かって「私もアフリカーンス人なので、応募しようとした」「でも、彼らはとてもはっきりしていたよ」と自分の肌を指さした。
コメディアンのディラン・オリファントさんが「特権を持っていると、平等が抑圧のように感じるのさ」と皮肉を言うと、観客は歓声を上げた。
さらにトランプ氏が南アを攻撃する際に繰り返した根拠のない主張に言及し、「この国で『白人ジェノサイド(集団殺害)』は起きていない」「私たちには白人を殺せない。白人は遠くに住んでいるからね!」と冗談を飛ばした。これは、アパルトヘイト時代の人種差別のもう一つの名残で、南アの各都市に今も残る、主に人種に基づく空間的な隔離を指している。
コメディアンのダン・コーダーさんは、南アでの生活の困難さ──犯罪率の高さや貧富の格差など──から、多くの国民は「トラウマへの反応」として「特に毒のあるユーモアを好む傾向が強い」と指摘。
「まん延する腐敗、停電、道路の破壊、あらゆるものの機能不全といった苦痛と不条理を笑い飛ばすのは、自然な反応だ」と述べた。コーダーさんは自身が司会者を務める深夜テレビ番組で、トランプ氏の主張を論破してきた。
ソーシャルメディアのコメディアンで俳優のアントン・テイラーさんは、ユーモアは「人々の警戒心を解き」、トランプ氏の「ばかげた」主張に応えるのに「実に素晴らしい方法」だと述べた。
アフリカーナーと英国人の血を引くテイラーさんは、「白人ジェノサイド」陰謀論をやゆする寸劇を複数公開している。
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で10万回以上再生された寸劇の一つでは、祖国南アが「世界で最も栄養状態が良く、最も裕福な難民」を生み出したことを誇りに思うと語っている。
■「滑稽」
テイラーさんはAFPに対し、「南アの白人の大多数が送っている生活様式を見ると、迫害されている人々というイメージとは懸け離れている」と語った。
南アフリカにおいて、白人は人口の7.3%にすぎないが、依然として農地の大部分を所有している。公式統計によると、失業率でも白人は7%弱であるのに対し、黒人は36%となっている。
テイラーさんは「私たちが迫害されているという考えは滑稽だ。これはあくまでも冗談であり、冗談として扱われるべきだという考えを強めるためにも、私はジョークを飛ばし続ける」と述べた。
ラマポーザ大統領とトランプ大統領の会談がテレビ中継されるような対立に発展するのではないかとも一部では懸念されているが、ラマポーザ氏の米国訪問は重要で、「本当に誇らしいことだ」とコーダーさんは語った。
「気難しい子どものかんしゃくが収まるのを待つ、強く静かな親の姿を見ているようだ」と笑い、「きっととても面白いことになるだろう」と続けた。(c)AFP
【翻訳編集】AFPBB News