朝ドラ「あんぱん」で話題の銀座木村家 ヤムおんちゃん(阿部サダヲ)も作った(?)名物あんぱんはしっとり食感

銀座木村家の外観
女優の今田美桜がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「あんぱん」。人気アニメ「アンパンマン」の原作者として知られるやなせたかしさんと小松暢さんの夫婦をモデルとした朝ドラで、劇中にはアンパンマンを連想させるキャラクターたちが次々に登場し、話題を集めている。

銀座木村家で購入した酒種パン
視聴者の間で、「アンパンマン」に登場するパン職人、ジャムおじさんをモデルにしていると見られているのが、阿部サダヲが演じる“ヤムおんちゃん”こと屋村草吉だ。風来坊のパン職人で、ある時ふらりと高知に立ち寄り、紆余曲折を経てヒロインの実家、朝田家でパンを作り続けてきた。5月30日に放送された第45回では、戦争に反対の立場を貫き、その姿勢を曲げなかった草吉が、軍の指示に従って乾パンを作り、その作り方を朝田家に伝授した後、姿をくらました。物語から一時退場することを匂わせる演出に、視聴者から不安視する声が上がった。

銀座木村家で購入した酒種パン
劇中では、草吉が若いころ、東京・銀座のパン屋「美村屋」で修行していたというような描写もあったが、その美村屋のモデルとされているのが、銀座など都内各所に店舗を構える銀座木村家だ。そんな銀座木村家の歴史を紹介しつつ、「イザ」編集部が購入したパンを紹介する。
明治時代から続く「パン」の挑戦
銀座木村家のホームページによると、そのルーツは1869年(明治2年)に木村安兵衛と次男英三郎が創業した芝・日陰町の「文英堂」に遡(さかのぼ)る。1870年に京橋区尾張町(現在の銀座エリア)に移転後、屋号を「木村家」と改め営業を再開した。この地で、後にパンの歴史に名を刻む「酒種あんぱん」が誕生する。
酒種酵母を使用したこのあんぱんは、西洋パンを日本人の口に合うよう改良する試みの成果であった。木村家親子は研究に没頭し、日本独自の「しっとり食感のパン生地」と「餡」を融合させた商品を完成させた。幕末の幕臣、山岡鉄舟がその技術に感銘を受け、木村家の看板を揮毫(きごう)した逸話も後世に語り継がれている。
木村家の名声を高めたのが、1875年の明治天皇への酒種あんぱん献上である。この時、奈良の八重桜の塩漬けを使用し、季節感を反映させた特別なあんぱんを制作。皇后陛下にも好評を得て、以降「引き続き献上するように」とのお言葉を賜った。この出来事は、日本のパン文化を加速させる契機となった。
明治から昭和にかけて、銀座木村家は新しい商品を次々と市場に投入した。1885年にはパンの宣伝を目的に楽隊「広目屋」を起用したことで評判を博すなか、三代目儀四郎が登場する。1900年には「ジャムパン」の開発に成功。さらに乾パンの製造など、戦時食糧にも寄与するなど、その活動は多岐にわたった。
昭和期には「動物パン」や「むしケーキ」など、ユニークな商品開発に取り組んだ。動物パンの一つである「かめパン」は1958年に話題となり、1981年には研究を重ねた「むしケーキ」がヒット商品に成長。これらの商品は、日本人の嗜好を深く考慮した結果生まれたものである。銀座木村家の取り組みは、日本のパン文化だけでなく、飲食産業全般の革新を進める原動力となった。

銀座木村家で購入した酒種パン
「木村家」「木村屋」の違いは?
銀座の代名詞ともいえる「木村家」がどのようにして今の形になったのか、その興味深い歴史がある。「木村家」は創業者が銀座に構えた屋号であり、現在は株式会社銀座木村家のブランド名として使用されている。一方で、「木村屋總本店」という名前は、スーパーやコンビニ向け製品のブランド名として展開されている。
「木村家」という屋号の起源は、創業者が掲げた山岡鉄舟による書の看板「木村家」に由来する。かつては職人たちへののれん分け制度によって「木村屋一家」の精神が継承されていたが、この制度は現在廃止されている。
酒種で発酵したパンは?
今回、編集部が木村家で購入したのは、季節のメニューも加えた酒種9種類のパン。夕方過ぎに訪れたため、いくつかの人気商品は売り切れてしまっていたが、「けし」(220円、以下税込み)、「白」(220円)、「抹茶」(250円)、「うぐいす」(220円)、「チーズクリーム」(250円)、「ジャム(あんず)」(280円)、「いちじく」(300円)、「豆づくし」(350円)、「クリーム」(280円)を購入。
なおパンのくぼみに塩漬けの桜が入っている木村家名物の「あんぱん 桜」(220円)や、朝ドラ「あんぱん」の舞台でもある高知県産のゆずを使用したこしあんが包まれた「酒種 高知ゆず」(5月31日販売終了)も販売されているが、この日は購入することはできなかった。桜が入っているあんぱんといえば、ドラマの公式Xで「美村屋」のあんぱんとして紹介され、朝ドラにもたびたび登場していただけに、少し残念な結果に。
あんぱん系は全体的に小ぶりなサイズで、酒種の発酵でしっとりとした食感が特徴的だ。餡も甘すぎない上品な味わいで、素材そのものの風味を感じ取れた。また、ジャムは甘酸っぱく、果実のさわやかなジューシーさを味わうことができる。
朝ドラ「あんぱん」視聴者「あんぱん食べたい」
朝ドラファンからも「朝ドラの影響で銀座の木村屋まであんぱんを買いに行ってきた」「朝ドラ『あんぱん』見てると無性に食べたくなるよね」「最近朝ドラ『あんぱん』見て、いろんなパン屋さんのあんぱん食べてる、大好き」と、あんぱんを食べたくなるという声が朝から続出している。
朝ドラを見ておなかをすかせた視聴者にも、ヤムおんちゃんがかつて作った(?)であろう銀座木村家のあんぱんを、ぜひ味わってもらいたい。