バーガーキング「夜売れる骨付き肉」のスゴい工夫

「バーガーキング」の"最高のサイドディッシュ”をご紹介します!(写真:バーガーキング提供)
「最高のサイドディッシュ」であり「おつまみ」としても魅力的な商品
ハンバーガーチェーンの中で、近年どんどんと勢いを拡大しているのがバーガーキングです。
【写真】SNSで大反響!バーガーキングの「アメリカン スモーキーチキン」
かつて「大量閉店」が話題となり80店舗弱まで縮小しましたが、ここ数年は文字通りの“倍々ゲーム”を繰り広げ、2024年末時点では250店舗へとV字回復。2028年末までに国内600店舗を目標に掲げ、まだまだ成長は続きそうです。
バーガーキングの特徴は、何といっても「直火焼き」の「100%ビーフパティ」を使用したハンバーガーでしょう。鉄板ではなく「ブロイラー」という機材を使って焼いた肉は余分な油がなく、香ばしさが魅力です。
一方で、サイドメニューも充実しています。オニオンリングやチキンナゲットといった定番はもちろん「メキシカンチーズフライ」「チリチーズフライ」といったアメリカ発祥ならではのメニューに加え、シーザーサラダなども販売しています。
中でも注目なのが「アメリカン スモーキーチキン」です。過去に2度の期間限定販売で登場したメニューですが、その圧倒的な人気を受けて2024年7月に定番メニュー入りしました。
SNSでは「最高のサイドディッシュ」「ファストフード店のチキン系のやつのなかで一番好き」といった声があがっており、ハンバーガーに合わせるサイドメニューとしてだけでなく、アルコールと一緒に頼むおつまみとしても人気を集めているようです。
スモークとスパイスの香りがガツンとくる、主役も張れるサイドメニュー
実際に店へと足を運び、食べてみましょう。今回訪問したのは、都内の某私鉄沿線駅にある店舗です。平日のちょうどお昼時、近隣の学生はもちろん、特に多かったのが女性客です。食事をする人もいますが、カフェのようにグループで楽しそうに談笑している人も多く見受けられました。

男女比では女性がかなり多い店舗でした(筆者撮影)
アメリカン スモーキーチキンと合わせて「バーガーキングといえば」な商品の「ワッパーチーズ」セットを注文して、待ちます。
イートイン・テイクアウトだけでなくフードデリバリーでも大人気なようです。お腹を空かせながら番号が呼ばれるのをしばらく待ち、商品を受け取って着席しました。

ようやく到着(筆者撮影)

包み紙をほどいたらこんな感じ(筆者撮影)
それぞれの包み紙を開けていきましょう。
驚いたのが、アメリカン スモーキーチキンを開封した瞬間に漂うスモークの香りです。あまりファストフード店では嗅いだことない香りで、一気に食欲が高まります。
一口食べると、スモークの香りと合わせてスパイスの風味が広がります。その瞬間は「味自体は薄めかな?」と感じましたが、徐々に甘みと塩分が追いかけてきて、非常に「やみつき感」があるメニューです。4ピースだけでは物足りず、もっと食べたくなります。
一呼吸置き、ワッパーチーズとフレンチフライも味わいましょう。フレンチフライは芋感みっちり、非常に食べ応えがあります。もちろんワッパーチーズもインパクトは十分。肉に注目しがちですが、フレッシュな野菜やソースもそれぞれが素晴らしい役割を発揮しています。
最後に、大事にとっておいたアメリカン スモーキーチキンを再び。ワッパー系に負けず劣らずの存在感であるとともに、お酒が欲しくなるしっかりとした味付けで「サイドメニュー」ではありながら、十分に単体でも魅力的な商品だと感じました。

主役にもなれる、存在感のあるサイドメニューです(筆者撮影)
現社長の「思い出」から開発が始まった
バーガーキングの商品開発担当者によると、アメリカンスモーキー チキンが初めて登場したのは、2022年。当初は「やみつきスモーキーチキン」として、5ピースまたは10ピースでの販売でした。
それ以前は日本のバーガーキングで扱っていなかった「骨付き肉」の商品として人気を博しました。
開発のきっかけは、国内バーガーキングを運営する、ビーケージャパンホールディングスで当時マーケティングディレクターを務めていた野村一裕さん(現社長)のアイデアでした。
「野村社長はアメリカに住んでいたことがあります。そこで体験したバーベキュー文化と、当時味わったようなスモーキーであったり、スパイシーだったりする肉の味わいが忘れられず、商品化してはどうかとアイデアが生まれました」(開発担当者)
開発担当者によると、野村社長は「3歩歩いたら何かを思いつく、アイデアマン」。アメリカン スモーキーチキン以外にも肉を大量に使った「ビッグマウス」シリーズや、白いゴーダチーズを使用した「キング・イエティ」の発案者でもあるそうです。
思い出の味を“完全再現” 社長も「これだよ、これ」と満足
これまでにない「骨付き肉商品」の開発はどう進んだのでしょうか。
「まずは社長から当時の思い出をヒアリングし『スパイス』『スモーキー』といった要素を掘り下げていくとともに、ファストフードとしてスピーディーに提供できることなどを条件として、開発が進みました」(開発担当者)
スパイスの配合や、鶏肉のどの部位を使うか。ならびにサイズ感やスモークウッドの選定なども行い、ブラッシュアップしていったそうです。
「特に苦労したのが、スパイスとスモークの風味をどうお届けするかです。例えば、店舗ではご提供前に揚げる工程があるのですが、3分揚げるのか、5分揚げるのかでも風味が大きく異なります。この他、ワッパー類と合わせるのを念頭に置きつつ、お酒とも一緒に楽しめるような濃い目の味付けとして、いくつか試作しながら最終形へと近付けていきました」(同前)
その他、肉のジューシー感やスパイスの香りとスモーキーさをより引き立てる狙いで、最後のひと手間として「揚げる」調理法に決定。アップルウッドとヒッコリー、さらに7種類のスパイスを使った味も香りも楽しめる商品として、前述の通り2022年6月に期間限定で登場しました。
その後、バーガーキングの強みでもある「肉」を強調するために1年ほどかけて改良を加えています。具体的には、肉を大きめのものに変更し、ピースを5から4へと減らした上で2023年10月に「アメリカン スモーキーチキン」として再度限定発売しました。
ちなみに発案者の野村社長は、完成形を口にすると「これだよ、これ」と満足気な表情になったとか。
夜でも売れる特異メニュー
すると、想定以上の人気で一時は販売を停止することに。SNSでも定番メニュー化を求める声が多く、2024年7月に常設メニューの仲間入りをしたのは前述の通りです。
ちなみに、期間限定での発売から9カ月での定番メニュー入りは、開発担当者によると「スピード出世」に属するとのこと。その後もSNSであがっている増量を求める声に応えて8ピースに増量したものを発売するなど、まだまだ人気は続いています。
これほどまで人気になっている背景について、開発担当者は「スパイスの感じが日本の食べ物としては珍しく、そこが受けているのではないでしょうか」と話します。
ちなみに、サイドメニューは通常お昼のピークタイムに売れることが多いところ、アメリカン スモーキーチキンはディナータイムの午後5~8時によく売れているそうです。ハイネケンとのセットで楽しむ人も多いようで、“おつまみ需要”も底堅いと見られます。
競合であれば、マクドナルドが「夜マック」、モスバーガーも「夜モス」といった取り組みを行っています。対してバーガーキングでは今後「飲み」をプッシュする可能性もあるかも……と思えるメニューでした。