サイゼが始動「300円モーニング」がさすがに安すぎた

サイゼリヤの新モーニング「朝サイゼ」は300円から(筆者撮影)

店頭には大きなサイズの垂れ幕で、新メニューをアピール(筆者撮影)
実施時間は朝7時から10時までで、グランドメニューの提供開始時間は10時以降となります。
お得な組み合わせメニューとしては、パンとドリンクバーを組み合わせたコンビが2種、コンビにハッシュポテトをプラスしたセットが3種。

朝サイゼのコンビメニュー(筆者撮影)

朝サイゼのセットメニュー(筆者撮影)
・焼きシナモンフォッカチオ コンビ 税込300円
・パンチェッタとチーズのパニーニ コンビ 税込400円
・焼きシナモンフォッカチオ セット 税込350円
・パンチェッタとチーズのパニーニ セット 税込450円
・フォッカチオ セット 税込300円
最安値のコンビとセットはいずれも、税込300円。
どリバーと同じ価格、実質的に「朝食無料」?
実はサイゼリヤでは、ドリンクバーの単品価格が税込300円なので「コーヒーを頼んだら、軽い朝食が付いてくる」という実質無料状態。
どちらかといえば、ドリンクバーが主役で、「コメダ珈琲店」や「星乃珈琲店」で実施している、朝の時間帯だけコーヒーを注文すると、トーストとゆで卵が無料になる、モーニングサービスに近い印象を受けました。

朝サイゼの全メニュー。朝10時まではグランドメニューの販売はなし(筆者撮影)
このほか、「ほうれん草のソテー」や「チキンのサラダ」「田舎風ミネストローネ」など、グランドメニューの中でも人気のあるサイドメニューを13種と、トッピングやドリンクバーなど、商品の提供数をかなり絞って提供。
あくまで軽い朝食にぴったりといったラインナップになっています。
朝サイゼのフォッカチオセット300円

サイゼリヤのモーニング、朝サイゼのフォッカチオセットは、ドリンクバー付きで300円(筆者撮影)
「フォッカチオセット」は、フォッカチオに、ハッシュポテト、ドリンクバーで、税込300円という、脅威のお値打ちモーニングセットです。
フォッカチオは、イタリアの伝統的な平焼きパンのこと。素朴な小麦の味わいと、もっちりとした食感で、味にクセがないので、どんなおかずとも相性抜群。白米的な存在のパンです。

サイゼリヤの調味料はどれも本格的。特にオリーブオイルは大人気で、店頭販売もしています(筆者撮影)
グランドメニューではそのまま提供されますが、朝サイゼではフォッカチオを上下に割って、中にオリーブオイルを塗ってトーストした状態で登場します。
一手間かかっているものの、具材はなし。そのままだとちょっと寂しいので、調味料コーナーのオリーブオイルと、シチリア産海塩、黒胡椒で、オリジナルソースを作って、ちょんちょんとパンにひたして食べました。

フォッカチオは、2つに割って軽く焼き目がついた状態で、ワックスペーパーに入って出てくる(筆者撮影)
サイゼリヤのオリーブオイルは、最も高級とされる「エクストラバージンオリーブオイル」なのですが、フォッカチオの味付けがシンプルゆえ、オリーブオイルの香りの輪郭がぼやけず、口に含むと青々とした豊かな風味が広がります。
旨みが詰まった海塩と、ホールのままの粒胡椒をペッパーミルで挽いたフレッシュなスパイス感が絶妙なハーモニーを奏でます。
追加アレンジをしてもワンコイン以内の価格設定がスゴイ

メニュー裏でフォッカチオのアレンジを提案。追加オーダーしても、組み合わせ次第ではワンコイン以内に収まる(筆者撮影)
具材がなしで素材の味を楽しむのも、大いにアリ。
ですが、メニューの裏には、小エビのサラダをサンドして野菜たっぷりのパニーニにしたり、ミルクジェラートをサンドしてマリトッツォ風にするアレンジメニューも提案されていました。

シナモンとバターを挟んだシナモンフォッカチオは、セットで300円。ドリンクバーのアップルジュースと合わせて、アップルパイ風味でいただきました(筆者撮影)
元の価格が税込300円と激安なので、税込50円の半熟卵を挟んで食べても350円、税込150円のコーンクリームスープにひたして食べても450円。
あるいは、税込200円のほうれん草のソテーをサンドしてパニーニにしても500円と、追加注文も気兼ねなくできそうです。
サイドにはハンバーガーチェーンでは朝メニューの定番としてお馴染みの、スティックタイプのハッシュポテトが3つ添えられています。
外側はカリッ、内側はホクホクで、軽い食感なのに食べ応えもあり「朝はこれだね」というドンピシャ感もあり、添えられているだけで満足度がグッと上がります。

ハッシュポテトは、サイドメニュー「ポテトのグリル」と同じ食材を使用。ハンバーガーチェーンのものより薄味で、あっさりホクホク(筆者撮影)
ドリンクバーで本場イタリアのコーヒーを味わう

サイゼリヤのドリンクバー。水もセルフサービス(筆者撮影)
飲み放題のドリンクバーの目玉は何といっても、高圧で抽出するイタリア式のコーヒーメーカー。
コーヒー、アイスコーヒー、カプチーノ、アイスカプチーノ、エスプレッソ、アメリカンの6種類のコーヒーを抽出できます。
ソフトドリンクは、100%果汁のジュースに、コカ・コーラやファンタなどの人気炭酸飲料など、隙のないラインナップ。
ティーバッグは6種類と少なめでしたが、サイゼリヤでは複数の飲み物を混ぜることを推奨しているので、組み合わせ次第でアレンジは無限大です。

サイゼリヤでは、実は炭酸水が無料。ドリンクバーを注文していなくても飲んでOKだそう(筆者撮影)
「飲み物をあれこれ混ぜるなんてお行儀が悪い……」と、眉をひそめられやしないかなどと、気にやむことはありません。
まずは暑い夏の駆けつけ1杯として、アイスティーと炭酸水を混ぜてティーソーダを作り、そこにポーションタイプのレモン果汁を垂らして飲みました。
汗だくの体を、ティーソーダが内から、エアコンの冷風が外から冷やしてくれます。
2杯目はプシューっという轟音と、モクモクと立ちのぼる蒸気と共に、濃いめに淹れたエスプレッソと、スチームミルクが混じり合う、濃厚なコクのカプチーノ。
雑味が少なくまろやかで、驚くほど本格的。フォッカチオと組み合わせれば、イタリアンバールに来た気分です。

サイゼリヤのコーヒーメーカー。イタリアンバールさながらのエスプレッソとカプチーノが飲める(筆者撮影)
豆にもこだわりがあり、アラビカ種100%のコーヒー豆をその場で挽いて抽出しているそうで、そのまま飲んでもおいしいし、お砂糖をたっぷり入れてうんと甘くしてもおいしい。
近年、コーヒーメーカーは目まぐるしい進化を遂げ、ファミレスでもコンビニでも牛丼チェーンでも、クオリティの高いコーヒーが飲めるようになってきたのは、コーヒー好きには嬉しい限りです。
現在1店舗のみ実施の朝サイゼ、試験導入から全国区へ!

現在のサイゼリヤのセルフオーダーシステム。カトラリーボックス左上のQRコードを使用して顧客のスマホからオーダーすることで、タブレットの導入コストを削減(筆者撮影)
実は「朝サイゼ」、実施店舗はどうやら「サイゼリヤ 大島ピーコック店」のみ。
現時点ではホームページやプレスリリースもされていません。6月20日にSNSの個人アカウントで投稿されたのをきっかけに話題になり、WEBメディアでポツポツと記事になりはじめた段階です。
2023年に当コラムで、サイゼリヤのモーニングを紹介したことがあるのですが、当時モーニングを実施していた店舗はいずれも「一部店舗が独自で実施している感」がありました。

23年に紹介したサイゼリの店舗限定モーニングの様子(筆者撮影)
それと比べると、今回ご紹介した朝サイゼは、店頭に大きく張り出されたポップからも、中央に印字された“「朝サイゼ」はじまる”というキャッチーなコピーからも、大きく展開されそうな気配がプンプンしています。

配膳ロボも活躍中。顔はついていましたが、猫耳はついていませんでした(筆者撮影)
堅実にして大胆なサイゼは、大きな変化を遂げつつある
ところで、サイゼに対して、筆者は「堅実」で「大胆」な企業だと思っています。
まず、「堅実」について。サイゼリヤは他社の動向を見極めてから、一歩ずつ確実に導入していくスタイルを貫いています。
必要最低限の投資で、最大限の効果を得ることを常に優先し、無駄なコストをは決してかけません。
カード決済の導入も2021年と遅く、同業他社がタブレットメニューを導入した際も、オーダー用紙に手書きでメニュー番号を記入するという、斬新な注文方式を経てから、現在のQRコードでのオーダーシステムを確立しました。
そうした堅実な企業文化をもつサイゼリヤが、モーニングに舵を切ったということは、日本でモーニング文化が成熟してきたと言えるのかもしれません。

会計にもセルフレジを導入。QRコードオーダー、ロボット配膳、セルフレジで、店舗オペレーションの自動化を推進。100席以上の大型店ながら、モーニングタイムはホールスタッフ2名でスムーズにまわせていました(筆者撮影)
次に「大胆」について。サイゼはここ数年、国内事業が赤字になったりしながらも、価格改定をしてきませんでした。他の外食企業がこぞって値上げに踏み切るなか、サイゼだけは据え置いてきたことで、今やその安さは少し「異様」とも言えるほどになっています。
しかし、これこそがサイゼの狙いでした。ファストフードならぬ「ファストカジュアル」業態への変化(進化?)の狙いがあり、メニュー数を減らしながら、徹底的な効率化を進めてきたのです。実際、今では国内事業も黒字化し、稼ぎ頭の海外事業も堅調。
ネット上では安さのあまり、「もはや福祉」「慈善事業では?」なんて声も出ているほどですが、ちゃんと儲かっています。
モーニングでも効率化で低価格を実現?
そんな、メニュー数を絞ることで、効率化と安価での提供を成り立たせる手法は、モーニングでも発揮されています。
ほとんどの大手ファミリーレストランがモーニングを提供する際に「メニュー数が多く、洋食から和食までなんでもござれ」というコンセプトで展開するなかで、サイゼリヤが打ち出した新たな一手はその真逆。
既存メニューを組み合わせることで、新たな食材の調達をしない、調理工程が少ないメニューのみを取り扱い、少ない人員でオペレーションをまわすなど、サイゼリヤらしい採算性と実用性が共存しています。
調理負担の少なさや設備の追加コストが不要な点を考えれば、多くの直営店で展開される可能性は大いにあります。
「もしかしたら、私の街のサイゼリヤでも300円でモーニングが食べられるようになるかも!」とワクワクせずにはいられない朝です。