「timelesz」が仲間よりも"家族"を打ち出すワケ

“家族”というコンセプトは必要なのか, メンバーの絶妙なバランス, 長くなっていく「アイドル」の賞味期限, これまでにないアイドルグループの道

2025年2月15日から8人体制となった「timelesz」(写真:timelesz公式サイトより)

「あえてこの場を借りて宣言させていただきます。我々は家族です。家族となりました。苗字は……timelesz(タイムレス)です」

【写真】「新生timelez」の命運を握りそうなメンバー

「timelesz襲名式」と題した記者会見が行われ、8人体制がスタートしてからからまだ半年も経ってないの!? そう驚いてしまうほど、すっかりお茶の間の人気者になっているtimelesz。展開のスピードがとにかく早い。

Sexy Zoneからグループ名の改名を経て、Netflixにて配信された新メンバーの公開オーディション番組「timelesz project(タイプロ)」が大ヒット。2025年2月15日から新生timeleszが始動している。

冠番組が2つ始まり(「タイムレスマン」「timeleszの時間ですよ」)、6月11日にリリースしたニューアルバム『FAM』はビルボードの総合アルバムチャートで1位を獲得。現在8人体制後初のツアー「We're timelesz LIVE TOUR 2025 episode 1 ~FAM~」真っ只中だ。

“家族”というコンセプトは必要なのか, メンバーの絶妙なバランス, 長くなっていく「アイドル」の賞味期限, これまでにないアイドルグループの道

ファンの裾野を広げた「タイプロ」(写真:timelesz公式Instagramより)

“家族”というコンセプトは必要なのか

ニューアルバムのタイトル『FAM』はFamilyの略で、「timeleszに関わるすべての人々、みんなで大きな家族」とし、仲間や居場所をテーマにした楽曲が中心だ。

ただ、少し驚いた。確かにSexy Zone時代はイメージ的に家族感が強いグループだったからこそ、timeleszは、もう少し距離感のある、新たな冒険の“仲間”がテーマになると思っていたのだ。

家族になっていきたい、ではなく最初から「家族になった」と宣言する強さ。そして『FAM』。そこに見えるのは、「メンバーの運命を引き受けた」という覚悟だ。

菊池の「ここで出会った仲間たちと、アイドル人生のラストを歩むつもり」という発言もあり、改めて思う。もはやアイドルは「“一生現役”の未来」を考える時代なのだ。

そして、どれだけ世間の風潮が変わっても、“家族”という言葉は、コミュニティの最強レベルを表すものでもあり、呪縛もともなう響きだ。

ただ、面白いことに、この“家族”宣言・アピールに反して、timeleszには、重いファミリー感をあまり抱かない。逆にそれがいい。

彼らから得られる高揚の源泉は、「部活感」もしくは「シェアハウス感」だ。

同じグループで13年活動したオリジナルメンバー3人(菊池風磨、佐藤勝利、松島聡)、同じ事務所だが別で活動していたキャリア組2人(寺西拓人、原嘉孝)、芸能界に入りたての新人3人(橋本将生、猪俣周杜、篠塚大輝)という、timeleszのメンバー構成でしか醸し出せない、ほどよい隙間感というか、距離感がある。その風通しのよさにハマるのである。

メンバーの絶妙なバランス

なにより、新メンバーがオリジナルメンバーに委縮していないのがおもしろい。

キーマンは寺西拓人だろう。同じ事務所で、芸歴も長く技術もあり、発言力の強い菊池風磨にも物申せる、という条件をすべてクリアした彼は、その存在が“社会性”そのものだ。売れていくと同時に起こりがちなメンバーの距離感や空気感のバグを整えてくれるだろう、という安心感と包容力がある。

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寺西拓人(写真:timelesz公式サイトより)

そして、バランサーとして意外な才能を発揮しているのが橋本将生。こんなに面白い人だとは。明るく高い声でオリジナルメンバーにも容赦なくツッコみ、バラエティ番組もラジオ番組も、ムードメーカーとして素晴らしく機能している。

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橋本将生(写真:timelesz公式サイトより)

天然キャラの猪俣周杜は、空気を読まないフリがうまい。実はとんでもなく周りを見ている努力家だが、一方で自分の悩みは周りに見せない点が、佐藤勝利とどこか似ている。今は不思議な言動ばかりが注目されるが、佐藤からセンタースピリッツを学び、大きく花咲く日も近いだろう。

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猪俣周杜(写真:timelesz公式サイトより)

メンバーの中で唯一学生の篠塚大輝。彼の真面目さ、体育会系の礼儀正しさは、Sexy Zone時代から積み重ねた13年のキャリアをまっすぐに受け継ぐ「王道の新人感」がある。忠実で熱血な性格は、昭和の刑事ドラマの新人刑事を思い出す。

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篠塚大輝(写真:timelesz公式サイトより)

そして、未知数なのが原嘉孝。寺西と同じく俳優として長いキャリアがあり、オーディション中は、とても頼れる兄貴だった。ところがメンバーに昇格した今は、芸能界の経験がない3人よりも、社会人1年生を思わせる。

パフォーマンススキルはさすがだが、トークで「役に立ちたい、立たねばならない」という焦りが見え、それを隠せていないのがとても初々しい。

ヒヤヒヤするが、初心を思い出させてくれる人である。timeleszの鮮度は、彼が左右するかもしれない。どれだけグループが売れても、ヘンに器用にならないでほしいと願う。

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原嘉孝(写真:timelesz公式サイトより)

長くなっていく「アイドル」の賞味期限

令和がグループアイドルに求めるのはヒリヒリとした競争意識よりも「仲のよさ、やさしさ」である。

1990年代のオーディション番組「ASAYAN」では、どのオーディションでも、出演者同士はライバルであり、蹴落とすべき存在だった。視聴者はその“メラメラ・ギラギラ”感に萌えたものである。堂々と「メンバーは友達ではない」と言い切るスタンスだったが、今は違う。オーディションという「運命ガチャ」でできたコミュニティに、私たちはビジネス以上の絆を求める。

タイプロは、オーディションの段階から、お互いにアドバイスをし、支え合う姿が見られた。マンガ『ONE PIECE』のように、違う個性と才能を持った仲間が集まり、お互いをよく魅せようとし、新たな景色を見せてくれた。

そして新メンバーが決まった直後、彼らはもう、そこから“永遠に”安心してファンたちが集える「居場所」も作ろうとしている。

昔であれば、アイドルというのは、20代半ば、若ければ10代の瑞々しさを活用する期間限定の職業だった。しかし、いつからか、その賞味期限が長くなり、40歳を超えても現役で活躍する人も多い。

歌やダンスだけではなく、「仲良く、時にはケンカもし、一生をかけた運命共同体になる」。そのプロセスや裏側も、「behind」というタイトルのエンタメになっている。

しかも“一生”の覚悟で駆け抜ける。それに寄り添い、応援するファンも、長い長い旅となる。

だからこそ、スタートからあまり家族という言葉にがんじがらめにならないでいてほしい、と応援する側は思う。彼らの公式サイトの解説には、こう書いてある。

「家族=様々な人生模様の交差」

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8人体制での快進撃が続く(写真:timelesz公式Instagramより)

これまでにないアイドルグループの道

今の、立ち位置を探りながら支え合う距離感で、じゅうぶんに心地がいい。オリジナルアルバムの『FAM』という言葉の響きは、ちょうどいいのかもしれない。ファミリーとまで言い切らない、しかし、ドンと安定感のある大文字の「FAM」。

夢を叶えた者、諦めた夢を掴んだ者、支え合える仲間を得た者。さまざまな人生を送ってきた彼らの声が重なる応援歌は、それだけでもう、素晴らしい心の居場所を作ってくれているのである。

元メンバーのマリウス葉は芸能界を引退してネクストキャリアを進み、中島健人もソロで着実に活躍の場を広めている。オーディション落選組も、ROIROM(本多大夢、浜川路己)、鈴木凌、西山智樹、前田大輔をはじめ、続々とさらなる輝きの場を示している。

芸能界激震の時代、どう道を切り開いていくのか。それぞれが交差する未来も含め、これまでにない展開が待っているかもしれない。

Sexy Zoneからtimeleszへの歩みは、新たなコミュニティの可能性。人生(パーティー)を盛り上げる、その活動を見届けたい。