しずる・純「ロコディ堂前に見限られた」愛猫家とは思えない写真フォルダの中身と独特すぎる猫の愛し方「なでるのは50回まで」

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

お笑いコンビしずるの純さんと愛猫のマロン。

 お笑い芸人さんに一緒に暮らすペットを紹介してもらう「お笑い芸人の“うちの子”紹介」。第42回は、最近改名したばかりのしずる・純さん。

 3人家族で、現在、キジトラのマロンちゃん(メス、4歳)と暮らしています。ひとりっ子の息子さんのために保護猫シェルターから迎え入れたとのことですが、自分自身を「ペットがどうこうというタイプじゃない。愛猫家のイメージもない」と分析。芸人仲間やお笑いファンから強烈な自己愛をイジられることもある純さんが、猫との初めての暮らしで何を感じているのでしょうか。

 純さんらしい独特な猫愛を存分に語ってもらいました。

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

純さんのXより(2025年2月22日)。

――マロンちゃんと一緒に暮らし始めたきっかけを教えてください。

 今5歳の息子がいるんですけど、夫婦で下の子を作らないと決めていたんです。ただ、息子にきょうだいがいないのはかわいそうであるかもしれないと。憂いているわけではないですけど、そういう話の中で奥さんから「猫を飼うのはどう?」と提案されたんです。奥さんは元々、実家で犬を飼っていたみたいで。ただ、動物は悲しいお別れもあるし、お世話もちゃんとしなきゃいけない。家族として一緒に暮らすことを考えると、簡単に飼うとは言えないというベースが奥さんの中ではあったみたいです。

 僕もちっちゃい頃、犬を飼ったことがあったんですけど、全然お世話をしなかった後悔があったので、今までペットを飼うという選択を持ったことはなかった。けど、息子にとっていいかもしれないと思って。

 一度、猫と触れ合ってから決めようということで、奥さんと息子2人で保護猫カフェに行ったら、息子が楽しそうにしてたらしく「やっぱり飼ってみない?」と再度提案されたので、いろいろと調べて保護猫シェルターに3人で見学に行きました。

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

マロンちゃん。

――そこで出会ったんですね。

 マロンは顔がすごくきれいなんです。奥さんが一目惚れして。2021年の夏くらいで、マロンは生後3、4カ月だったかな。ちょっとハゲてて、耳のところに炎症がありました。で、施設の方から保護猫を引き取るための説明を受けたんですけど……あれ、すごく長いですよね。いや、長いっていう表現は本当によくないんですけど、3時間くらいあったんです。

 僕、落ち着きがなくてじっとしていられないタイプなので、話を聞いてる途中で頭がぐるぐるしてきちゃって。このままだと奥さんに迷惑かけるなと思って、施設の方の話を聞きながらほかの猫を見たりして、できるだけ悪く見られないように気を紛らわせました。

 大事な命を引き取るので、説明が必要なことはもちろんわかってるんです。ただ、人間の集中力の限界ってあるじゃないですか。

――確かに長時間、人と対峙するのはエネルギーがいりますよね。

 僕、朦朧としちゃって(笑)。施設の方がプレゼンしてくれたことは、これから家族になろうとしている猫のことを120%思ってのことだから、取りこぼしてはいけない言葉ばかりなんです。猫のことを大切に思っているんだなっていうのはすごく伝わりましたし、勉強になりました。で、2時間くらい話を聞いたあと、「ここから(譲渡して良いか)判断させてもらいます」って言われて。施設のスタッフさんが4、5人が集まって会議してくれた結果、引き取れることになりました。決まった時はほっとしましたね。

“自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

純さんとマロン。自宅にて。

――すごく大事な話です。命を預かることの責任を感じますね。

 そうですね。若い頃だったら捉え方も違ったかもしれないですけど、僕も大人になって子供もできたから、説明がここまで長いのはなぜなのかを想像したりして。個人の感覚、夫婦の感覚、子供を含む家族の感覚、猫との感覚……いろんなことを考えました。本当はその日に引き取れたんですけど、持っていったソフトのキャリーケースだと渡せないと言われて。確かに安全面ではそうだよなと思いながら、ハードのキャリーケースを購入して後日、引き取りにいきました。で、すぐ、病院に連れていって。ハゲは残るかなと思ってたけど消えましたし、耳の炎症もすぐ治って、うちの環境にも早く馴染んでくれました。

――お子さんとの関係は最初から良好でしたか?

 子供がビビっていたこともあって、最初はお互い警戒してました。けど、自然と打ち解けましたね。うちの家族は全員、人見知りしないんです。息子も明るいし、マロンも「初めましてでこんなに擦り寄ってきてくれる猫ってなかなかいないね」って言われるくらい人懐っこいですね。

――今年の2月22日、猫の日に、Xのアカウントで「世間からの猫飼ってるとか愛猫家のイメージが0の僕」とポストされていたじゃないですか。

 自分で愛猫家っぽくないなと思うんですよ。天竺鼠の川原(克己)とかロングコートダディの堂前(透)とかが猫好きって聞くと、腑に落ちるじゃないですか。ただ、僕って客観的に見て、猫好きじゃないだろうって。そもそも、ペットがどうとかっていうタイプじゃないだろうと思うんですよ。

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

世間から愛猫家のイメージを持たれていない純さん。

――純さん、自分大好きなイメージが確かに強いです。

 そうなんです。僕、人とか生命体に依存しないんです。奥さんもそうで、付き合い始めたのは大学生の頃だったんですけど、付き合って最初の3週間、一度も会ってないですからね。お互い連絡しなくて、“あぁ、この人気持ちいいな。めちゃくちゃやりやすいぞ”って思いました。今年の結婚記念日だって、ふたりとも忘れていてなんの話もしてないです。僕に関しては、ファンからDMで知らされて気づきました(笑)。

——そういう純さんにとって、マロンちゃんはどう映ってるんですか?

 めちゃくちゃかわいいです。マロンが来て、僕らが過不足ない家族になれた感じがするんですよね。いてくれることでよりバランスよくなったなと。あと、ぐーって喉を鳴らす瞬間が好きです。その音を聞くのが、毎日、みんな健康でいられてると感じられるバロメーターになってるというか。大金持ちにもなりたいし、夢も叶えたいけど、日常にほっとできる小さな幸せがあるって、きれいごとじゃなく嬉しいことだなと思うんですね。

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

マロンの横顔。

――じゃあ、迎え入れてよかったと。

 本当によかったです。マロンがいてくれることで、家というホームをベースにいろんなことを考えられるようになりました。

 あとね、連絡の行き違いで、家族が家を空けてることってあるじゃないですか。帰ってきて誰もいないとドキッとするんですけど、そういう時に「どこに行ったのかな?」みたいなことを言える相手がいるのもいいですよね。まぁ、話しかけても姿は現さないんですけど(笑)、家のどこかにいるマロンに向かって「ママと想(息子)どこ行ったのかわかる?」とか言えるのは、僕にとって嬉しい日常のシーンですね。

ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間

――マロンちゃんを迎え入れたことによって、自分の新たな一面を発見したりは?

 もちろんあります。自分の冷めてるところを確認できるのって……いいですよね。膝の上に乗ってほしいとか近くにいてほしいっていう思いはあるけど、そのためにどうするみたいなことを考えないんです。毎日スキンシップしているかと言われたら、してないし。

 何かのライブの時かな? 堂前と喋ってる時に「最近、うちの猫がさ」って、僕がスマホのカメラロールを見たんですよ。堂前って反射的に感情を出すタイプじゃない。しっかりと受け止めて、自分のペースでしゃべるタイプなんですよね。そんな堂前が、僕が2スクロールした瞬間、「え?」って言ったんです。

――(笑)。

 堂前からすれば、写真フォルダを開いた時に猫の写真がすぐ出てこないなんてありえないってことなんでしょうね。猫の話をする友達として見限られたのか、それ以降、堂前と話す時に猫が話題に上がらなくなりました(笑)。

 僕、マロンをなでる回数も決めてるんですよ。たとえば、50回なでたら喜んでもらえるだろうとか。

僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

「違うアプローチで愛猫家としてのアイデンティティを保持してます」(純さん)

――どういうことですか?

 数字って面白くて。10回から20回くらいの間で、ぐーっと喉が鳴り出すんですよね。なでる箇所も、奥さんとか子供がなでない前脚の付け根とか耳の根っことかをなでたりして、2人とは違うアプローチで愛猫家としてのアイデンティティを保持してます。好きなところはどこなんだろうと触診する感覚で、なでてますね。……こんな感じですけど、マロンのことは大好きですよ? ただ、猫がいるから生きていけるとか、猫がいるから癒されるとかは思わないようにしてます。

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

50回なでる。

――小さい頃、飼っていた犬との距離感はどうだったんですか。

 それは……後悔しかないですね。飼いたいって言ったのは、僕だったんです。姉ちゃんと兄ちゃんも飼いたいって言ってくれて、親が飼うことを許してくれたんですけど、僕がまったくお世話をしないから、結局、静岡の親戚に引き取ってもらうことになりました。……本当に申し訳ないことをしました。散歩に行く素振りを見せると、いつもなら玄関に行って出たいっていう反応を見せるのに、預ける当日は全然動かなくて。その姿を見た瞬間、俺のせいだって後悔が襲ってきて……あの時のことが忘れられない。トラウマになってますね。

――何歳くらいのことですか?

 小学校5年生くらい。預けた家にも犬がいて……老衰で亡くなったというのを聞いたんですけど、あの時の後悔が大きいから、自分からペットを飼おうという発想が浮かばなかったんだと思います。

――後悔があるから、マロンちゃんと近づきすぎない距離を保っているのかもしれないですね。今4歳ですが、今後について考えることはありますか? 一緒に年を重ねていくわけじゃないですか。

 老後については、奥さんとも話をしています。こういう機会はありがたいです。取材してもらうことによって、改めて考えられますから。みんな、健康でいないとですね。

4年前の夏にシェルターで出会って奥さんが一目惚れ, “自分大好き”な人間が猫と暮らすとどうなる?, ロングコートダディ堂前に見限られた瞬間, 僕にとって猫は「人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる」

猫は、人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる。

――では、純さんにとって、マロンちゃんはどんな存在ですか?

 一言で表すのは難しいですけど、実感としては生活を見直せる存在。人間は衣食住の3つが必要ですけど、猫を見てるとその3つについて考えられるというか。猫みたいな生活ができたらとか、猫みたいに気楽に生きたいとかよく言うじゃないですか。猫は、人間がそんなに気楽には生きられないということを教えてくれる。だから、生活する上で鑑みたいな存在でもあるのかもしれない。濁っているものがより濁らないように。そこに立ち戻らせてくれる存在ですね。

――チューニングしてもらってるんですね。

 そうかもしれない。人間だから欲もあるし、善意も悪意もある。けど、マロンを見ていると生命ってこれでいいんだと思えるんです。そこから、家族や仲間、社会とどう向き合うのがいいんだろうと考えていく。旦那として、飼い主として、芸人として……みたいなものの上での業を、マロンがいることによって知ることができているところはあります。

――ある意味、ただ「かわいいかわいい」と言っている人よりも、純さんのほうが愛猫家かもしれないですね。

 そう言ってもらえるのはありがたいです。けど、マロンのお世話はほとんど奥さんがしてくれているっていう……。僕がラッキーなポジションであることは忘れないでください(笑)。

純(じゅん)

1981年1月14日生まれ、東京都出身。2003年に池田一真と共にお笑いコンビ「しずる」を結成。「爆笑レッドカーペット」や「爆笑レッドシアター」(ともにフジテレビ系)などで人気を博す。2025年4月にSNSで「村上純」からの改名を発表して話題となった。

X @shizzlemurakami

Instagram @murakami_jung