2032年五輪ボート会場にワニ生息で波紋 オーストラリア、リスク低いと専門家強調

オーストラリアのフィッツロイ川で見つかったワニの死骸=2017年9月(クイーンズランド州警察提供・共同)

 オーストラリアで開く2032年ブリスベン五輪・パラリンピックのボート競技、ローイングの会場となる川が、巨大ワニの生息地であることに波紋が広がっている。主催する地元州政府は過去に練習や大会で使った実績を訴える。「ワニ歴50年」の専門家はリスクは低いと強調。五輪開催中の南半球の冬は、ワニの活動が停滞するとし「ボートに乗る前に、バスにはねられる確率の方が高い」と笑い飛ばす。(共同通信シドニー支局 山岡宗広)

 2025年3月にローイング会場に決まったのは北東部ロックハンプトン近郊にあるフィッツロイ川だ。2017年には体長5.2メートルのワニの死骸が見つかり、地元の人を驚かせた。

 正式決定に先立ち、会場が州外に変更されるとの観測も出ていた。ワニが生息していることに加え、この川が競技に適しているかどうか疑問視する意見があったためだ。

 しかし、五輪を主催するクイーンズランド州政府が当初案を死守した。国際大会のオーストラリア代表のキャンプ地や、学生レガッタ大会の実績も後押しした。

 公共放送ABCによると、クリサフリ州首相は、州が五輪の誘致や運営に巨額資金を投じることを強調。「(競技開催による)恩恵や興奮は州内で享受すべきだ」との持論を語った。

 フィッツロイ川は遊泳は推奨されておらず「ワニ注意」の看板も掲げられている。ボートや選手がワニに襲われる危険はないのだろうか。

 ロックハンプトン近郊でワニ飼育場を経営する専門家ジョン・リーバーさん(82)によれば、ワニは冬になると、活動をぐっと減らすのだという。「冬は水温が10度未満に下がることもある。ワニは寒がりだ。寒いと餌を消化できないので、最初から食べないんだ」

 ワニは夜行性のため、競技は早朝を避ければ、危険性が低いともいわれる。「野生動物レンジャーがワニがいる場所を特定し、排除することもできる」と話す。

 リーバーさんも五輪の地元開催を心待ちにしている一人だ。「リスクはとても小さく、対処することは可能だ。フィッツロイ川は素晴らしい地域。眺めは壮観だ」

オーストラリア・キャンベラ、ブリスベン、ロックハンプトン

ブリスベン五輪のメインスタジアムの完成予想図(オーストラリア・クイーンズランド州政府提供・共同)

ブリスベン五輪のローイング会場となるオーストラリアのフィッツロイ川=2019年6月(ロックハンプトン・フィッツロイ・ローイングクラブ提供・共同)

オーストラリアのフィッツロイ川で見つかったワニの死骸=2017年9月(クイーンズランド州警察提供・共同)

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