国連「人間開発指数」で見る世界の国々:日本は何位にランクづけ?
コロナ禍による経済停滞を経て

2020年に新型コロナウイルスが猛威をふるい、経済活動はその勢いを大きく削がれてしまった。世界はその余波からまだ完全には脱していないようである。
国連の「人間開発指数」

国際連盟は1990年から毎年、「人間開発指数」(ヒューマン・デベロップメント・インデックス)を発表している。世界の国々について平均余命、教育、所得という三つの項目について数値を算出し、どの段階にあるかを4つのグループに分け(とても高い、高い、中くらい、低い)、ランキング形式で示すものである。この指数は世界全体でこれまで上昇の一途をたどってきたが、コロナ禍の2020年と2021年に停滞が訪れたのだ。
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193カ国をランキング

今年5月に発表されたレポートでは、新たに2023年度の人間開発指数が示された。193カ国がランキングの対象だ。これをもとに英『エコノミスト』誌が指摘するところでは、人間開発が「とても高い」水準にある国々、すなわち豊かな国々ほどコロナ禍による停滞からの脱出に成功しているという。その一方で、人間開発が「低い」段階にある多くの発展途上国ではいまだ厳しい状況が続いているという。
裕福な国はコロナ禍前の水準に回復

同誌によると、裕福な国々の97%が、パンデミック前のスコアを完全に取り戻すか、あるいはそれを上回るかしているという。しかし、貧しい国々に目を移したとき、このような回復を遂げているのは60%以下にとどまるという。
1位はアイスランド

人間開発指数の第1位はアイスランドである。2位を占めるのはノルウェーとスイス。ほか、デンマーク、ドイツ、スウェーデン、オーストラリア、オランダ、ベルギーといった国々がトップ10を占めている。イギリスは13位、カナダは16位、米国とニュージーランドは17位。
日本は23位

日本はオーストラリアとマルタに挟まれての23位である。以下、74位のボスニア・ヘルツェビナまでが人間開発指数の「0.800」を上回り、人間開発が「とても高い」水準にあるグループということになっている。
中国は78位

中国は78位につけた。ウクライナが87位。以下、124位のナウル共和国までが指数「0.700」を上回り、人間開発が「高い」水準にあるグループに分けられている。人間開発が「中くらい」の水準にあるのは、125位のブータンから始まり、167位のレソト王国(アフリカ南部)までだ。
ソマリアと南スーダンが最下位

人間開発が「低い」水準にあるグループには、サハラ砂漠以南の国々が多い。ランキングの最下部に位置するのは、ソマリア(192位)と南スーダン(193位)である。
ラテンアメリカとアラブ地域で回復が鈍い

この統計では地域ごとにも人間開発指数が算出されており、コロナ禍からの回復という観点で見たとき、ラテンアメリカとアラブ地域でその動きが鈍いことがわかる。イラクイエメン、シリアなどのアラブ諸国について、米シンクタンクの「アトランティック・カウンシル」は、政治が不安定なことがその要因ではないかと指摘している。
所得がコロナ禍前の水準に戻らず

ラテンアメリカ諸国については、経済ニュースのネットメディア「Marketplace」の見立てによれば、金利の横ばいや物価上昇、貿易障壁がネックとなり、所得がコロナ禍前の水準に戻っていないと考えられるという。
南スーダンの窮状

ランキングの最下位に沈んだ南スーダンでは、新生児の平均余命が「57.6歳」となっており、新しく就学する児童が受けることになる教育の期間は「5.6年」だという。教育についてアイスランドでは「18.9年」、日本で「15.5年」となっており、これらと比べると顕著な違いだ。
極端な貧しさ

所得に目を向けると、南スーダンは1人あたりの国民総所得(GNI)が「688ドル」となっており、これは日本の「4万7,775ドル」と比べても恐ろしく低いことがわかる。ちなみに米国は「7万3,650ドル」、中国は「2万2,029ドル」である。
また別の人間進歩指数(ヒューマン・プログレス・インデックス)

ここまで見てきた人間開発指数(ヒューマン・デベロップメント・インデックス:HDI)とよく似ているのが、ビジネス情報メディア「CEOWORLD magazine」のあつかう人間進歩指数(ヒューマン・プログレス・インデックス:HPI)である。こちらの指数は、平均余命、教育水準、一人当たりの所得といった項目のみならず、幸福度、ワークライフバランス、ジェンダー平等などといった多数の観点から評価をおこなっている。
生活の質1位はスイス

この指数にもとづいた「生活の質ランキング」の2025年版が5月に公開されており、そこでは196カ国が格付けされている。1位になったのは、スイス。2位以下はノルウェー、アイスランド、香港、スウェーデン、デンマークと続き、アイルランド、シンガポール、オーストラリアまでがトップ10に入っている。細かい順位の差はあれど、国連の指数によるランキングとおおむね同じだ。日本は25位である。
最下位はソマリア、南スーダン

ランキングの最下位には、やはりソマリア(196位)と南スーダン(195位)がある。中央アフリカ共和国が194位。北朝鮮は国連の指数ではデータ不足のためランキングから外れていたが、このランキングでは186位となっている。
お金がすべてではない?

以上見てきた2つの指数は、「エコノミスト」誌が国連の人間開発指数について指摘しているように、国内における貧富の差は考慮に入っていない。同誌によると、裕福な米国人は貧しい米国人よりもずっと長生きする傾向にあるという。また興味深いことに、米国で最も裕福な人々は、欧州諸国で最も貧しい人々と同じくらいの死亡率を示しているという。お金がすべて、というわけでもないようだ。
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