セコマも出店!高速道路にあるコンビニの役割

野幌PAのセイコーマート。NEXCOと野幌のロゴがなければSA/PAにあるとは思えない(筆者撮影)
卑近な話題で恐縮だが、私が勤める千葉県の大学のキャンパス内に大手コンビニチェーンの店舗がある。
【写真】あのセコマが出店するSA/PAも!高速道路のコンビニが今おもしろい
もちろん、それは決して珍しいことではなく、構内にコンビニの店舗のある大学は多い。以前、勤めていた群馬県の大学にもコンビニがあった。
ところが、事情があって勤務先のキャンパスからコンビニが撤退。学生たちからは、かなり不満の声が出た。
幸い次の業者が決まり、夏休みの直前から撤退前とは異なるチェーン店が入居し、学生たちは(それに忙しくてゆっくり学食に行く暇のない教員たちも)、胸をなでおろしていた。
今やコンビニは、街中だけでなく、駅にも空港にも公共施設にも、そして開催中の大阪・関西万博にも出店する、ライフラインに近い存在になっている。
そして、この連載のテーマである「高速道路」でも、休憩施設でコンビニを目にするのは日常茶飯事になった。

新倉PAへの入り口を示す標識にコンビニの案内も(筆者撮影)
ちなみに、高速道路にコンビニが初めて進出したのは、2001年3月のこと。名神高速道路・尾張一宮PA(下り線)で、当時の「サンクス」による出店であった。
それから24年が経った今、高速道路のコンビニはどのくらい広がっているのだろうか。
NEXCO東日だけでセコマを含め56カ所
NEXCO東日本の休憩施設を管轄するネクスコ東日本エリアトラクトの担当者にお願いして、管内のコンビニの出店状況のデータ(2025年7月現在)をいただいた。
これによると、北海道、東北、関東北部・東部、信越にまたがる管内のコンビニ数は、Pasar(パサール=NEXCO東日本が管内のSA/PAに展開する商業施設)の形態に入っているものも含めて56カ所。
チェーンごとの内訳は、ファミリーマートが一番多く16店舗、続いてセブンイレブン12店、デイリーヤマザキ9店、ミニストップ8店、ローソン7店の順になっている。最も少ないのが、主に北海道で店舗展開をするセイコーマートで4店だ。
もちろん、セイコーマートの出店は北海道に限られ、道央道の野幌PA(上り/下りに1店ずつ)と札樽道の金山PA(こちらも上り/下り合わせて2店)となっている。

寄居PAにはセブンイレブンが入る(写真:akira / PIXTA)
路線ごとに大きな差はないが、特徴があるとすれば、常磐道の5店舗(千代田PA上り/下り、日立中央PA上り/下り、関本PA下り)がすべてファミリーマートになっているくらいだろうか。
通常の店舗と違うのは、観光客の立ち寄りが多いため、地域の名産、つまり「お土産」として主に菓子類を売っていること、そして当然だが酒類の販売はしていないことである。
“セコマ”の愛称で道民に愛されているセイコーマートは、店舗内で調理する温かい弁当や総菜が買える「ホットシェフ」が高速道路の店舗にもあって、セコマユーザーにも安心である。

野幌PAのセイコーマート(筆者撮影)
筆者が定期購読している月刊誌『道路』(公益社団法人「日本道路協会」発行)の今年の5月号には、セコマの社長の寄稿文が掲載されていたので、てっきり休憩施設への出店の内容かと思ったが、そうではなく、道内に1000店以上を出店し、道内の人口カバー率が99%という地域密着型のコンビニにとって、高速道路をはじめとする高規格道路がいかに重要かを論じた内容であった。
自社で持つ農場から製造工場へ、そして各店舗へ商品を届ける配送センターなど、セコマの店舗網が、高規格道路なしに成り立たないことが詳細に述べられている。
特に昨年12月に道東道の阿寒IC~釧路西ICの開通により、道東方面への配送時間が短縮されたことは物流の効率化に大きく貢献したとして、その効果を強調していた。
SA/PA内店舗は街のコンビニと何が違うか?
話をSA/PAのコンビニ店舗に戻そう。
コンビニの役割は、他にも多くの店舗が入るPasarのような規模の大きなところでは、まさに街のコンビニ的な役割を持つが、規模の小さなPAでは、入っている店舗がコンビニだけ、というところも少なくない。
そうした店舗の中には、お土産需要に対応した商品を強化していることに加え、イートインコーナーを設けて、飲食施設の代替機能を引き受けているところもある。
この7月末、北関東に出向いたついでに、休憩施設に入るコンビニを確認した。
大規模な商業施設を誇る東北道・蓮田SAの「Pasar蓮田」には、フードコートに隣接してローソンが入っている。

蓮田SA(上り)に入居するローソン(筆者撮影)
通常の店舗と違うのは、沿線の名産品を一つのコーナーにまとめて販売していることだ。しかも、店舗の入り口の一番目立つところに置かれている。
レストランやフードコートでゆっくり食事をする時間的な余裕がない人向けなのか、弁当類やすぐに食べられる調理食品も、通常の店舗よりも少し多いようだ。
また、ATMやコピー機が置かれているのも、一般のコンビニ店では当たり前の光景だが、こうして高速道路での休憩中にこうした設備が利用できるのはありがたい。
外環道「新倉PA」のローソンが狭いワケ
一方、Pasar蓮田と対極的な立地のコンビニが外環道・新倉PA(内回り・外回り集約)のローソンである。
埼玉県和光市にある新倉PAは、もともと休憩施設として設置されたのではなく、当時の日本道路公団の管理用施設として設置されたもので、次第に延伸された外環道には休憩施設がないためPA化されたという経緯があり、非常に狭小な場所に立地している。
そのため、コンビニのスペースも街中の店舗と比べて狭く、店内に入るとちょっと驚くほど。

新倉PAのローソン(筆者撮影)
とはいえ、コンビニの最小限の品ぞろえは確保されていて、弁当・総菜、菓子、飲料などはもちろん購入できるし、24時間営業というのもありがたい。
このように、同じ高速道路のコンビニでも場所によって違いがある。
資料を送っていただいたエリアトラクトの担当者は、休憩施設のコンビニについて次のような見解を述べている。
「SA/PAは、高速道路を走行するお客様が運転途中で休憩する場所であり、一定の安定した立ち寄りが見込まれる。一方で、お盆やゴールデンウィーク、年末年始の交通混雑期のご利用の集中やお土産品の購買ニーズなど、一般市中とは異なる営業環境でもある」

蓮田SAのローソンに置かれた栃木県の土産品(筆者撮影)
さらに、NEXCOとコンビニの関係については、次のように話してくれた。
「コンビニ事業者にとって、SA/PAは特殊立地に属する環境だが、各社ともSA/PAへの出店実績を重ねる中で品揃えにも工夫を凝らし、利用客の取り込みに結び付けている。NEXCO側、コンビニ側ともに全体としてはWin-Winの関係につながっていると考えている」
夏限定の「ひんやり」メニューを楽しみつつ
今回のテーマとは関係ないが、2つのコンビニを確認した7月末は、兵庫県丹波市で41.2℃という我が国における最高気温の記録が更新されたタイミングであった。※その後、8月5日に群馬県伊勢崎市が41.8℃で更新
SA/PAは、近年の猛暑に対応するため、夏限定の「ひんやり」メニューを多数用意している。

「冷たい焼き」をアピールする看板(筆者撮影)
たとえば、鬼平江戸処のコンセプトで知られる羽生PA(上り)では、「冷たい焼き(文字通り冷やしたたい焼き)」「冷やし玉こんにゃく」「冷やし豆乳担々麺」「辛味大根おろしそば」といった涼が取れるメニュー(一部は夏限定商品)が目白押しだ。
筆者はここで、国内でも有数の猛暑地帯として名をはせる北関東のドライブ疲れをとるために、冷やし豆乳担々麺を実食。汗をかきながらスパイスの効いた熱々の担々麺を食べるのとはまったく別の食感を楽しむことができた。

筆者が実際に食べた「冷やし豆乳担々麺」(筆者撮影)
NEXCO東日本では、他の休憩施設でも「涼グルメ」に力を入れており、現代の世情や気候にマッチしたSA/PAの進化はまだまだ続くのだという思いを新たに、江戸情緒あふれる羽生PAを後にした。
高速道路SA/PAにあるコンビニは、「旅の醍醐味」に「いつもの便利さ」をプラスする、ユーザーにとても嬉しい存在なのである。