点灯あり?なし?点灯するはずなのに「消えている」? 各社で異なる「急行灯」の点灯ルール

対象列車は全区間で必ず点灯!, 通過運転区間では点灯、各停区間では消灯する会社, 点灯するのは「暗い区間」の近くだけ?, 急行灯らしき灯火だけれども……?

おおまかな列車種別を示している急行灯。点灯パターンにもいろいろなバリエーションがあります

一部の私鉄では、おおまかな列車種別を示す手段として、「急行灯」が用いられています。ヘッドライトほどの明るさはありませんが、ライトを点灯させることで、優等列車、普通列車といった種別のおおまかな括りを示すものです。その点灯パターンは各社で異なっており、なかには「点灯する種別なのに消えている」といった特殊なパターンもあります。今回は、大手私鉄を中心に、各社の点灯パターンをご紹介します。

なお、急行灯と呼ばれる灯火は、他にも「標識灯」「識別灯」「補助前灯」など、各社でさまざまな呼び方が採用されていますが、今回の記事では、基本的に呼称を「急行灯」に統一しご紹介しています。

対象列車は全区間で必ず点灯!

対象列車は全区間で必ず点灯!, 通過運転区間では点灯、各停区間では消灯する会社, 点灯するのは「暗い区間」の近くだけ?, 急行灯らしき灯火だけれども……?

京急1000形の特急。正面下部の急行灯が、2灯点灯しています

京浜急行電鉄、南海電気鉄道の2社は、点灯対象の列車であれば、時間帯や区間に関係なく、急行灯を必ず点灯させています。

京急の点灯パターンは、「優等列車や回送列車は両側点灯」「普通列車は点灯なし」の2通り。「急行灯が点いていれば速達列車」という単純な方式です。

南海の点灯パターンは、「優等列車や回送列車は両側点灯」「普通列車と各駅停車は、車両正面に向かって左側のみ点灯」の2通り。南海に吸収合併された旧泉北高速鉄道も、同様の扱いでした。2通りの点灯パターンがある点は京急と同様ですが、南海では普通・各駅停車でも片側のみ点灯するところが異なります。

大手私鉄以外では、都営地下鉄浅草線・新宿線、静岡鉄道も、京急、南海と同様、通過駅のある列車では急行灯を点灯し、その他は消灯する方式を採用しています。都営地下鉄では、電気機関車のE5000形にも、急行灯が設置されています。

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対象列車は「全点灯」、でもパターンは複数!?

近鉄も、急行灯を常時点灯する事業者です。同社の急行灯の点灯パターンは、「特急、快速急行、回送などは両側点灯」「急行、区間急行は向かって右側が点灯」「準急、区間準急は向かって左側のみ点灯」「普通列車は点灯なし」。点灯の形態は国内の鉄道事業者でもっとも多く、4通りのバリエーションがあります。

余談ですが、近鉄車の写真を撮ってみると、「点灯しているはずの急行灯標識灯が消えている」ことがあります。これは、シャッタースピードが速い場合、旧型車ではLEDの急行灯が切れてしまうため。1990年代以前に製造された赤白塗装の車両や、30000系「ビスタカー」などを中心に、この現象が発生するようです。

現在では、阪急電鉄も、急行灯を(ほぼ)常時点灯する事業者となっています。

同社の急行灯は、「名称に『特急』がつく種別、回送などは両側点灯」「快速と、名称に『急行』『準急』がつく種別は進行方向左側を点灯」「普通列車は点灯なし」のルールで点灯します。ただし、優等列車であっても、かつては急行灯を消灯している姿がよく見られました。これは、室内灯と急行灯が連動する仕組みだったため。そのため、日中時間帯を中心に、標識灯をつけずに走る優等列車が見られました。

通過運転区間では点灯、各停区間では消灯する会社

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急行灯が点灯している京王7000系の区間急行。京王は、優等列車であれば2灯点灯です

どの時間帯でも急行灯を点灯するものの、一部の区間で消灯する場合がある会社が存在します。大手私鉄では、京王電鉄、京成電鉄、京阪電気鉄道、西日本鉄道の4社です。

京王の急行灯は、「優等列車、回送列車などは両側点灯」「各駅停車は消灯」のパターンで点灯します。しかし、調布駅以西の快速、区間急行、高尾線内の特急など、各駅に停車する区間では、優等列車でも急行灯はつきません。

京成の急行灯も、京王と同様。優等列車は、通過駅のある区間において急行灯を点灯する一方、京成津田沼駅以東の快速など、各駅に停車する区間はこれを消灯しています。

なお、京王、京成の両社とも、優等列車が各駅に停まるすべての区間で急行灯を消灯しているわけではありません。北野~京王八王子間、青砥~京成高砂間のような2駅連続停車区間はもちろん、京王新線や成田スカイアクセス線印旛日本医大~成田湯川間のように(一般列車の)最上位列車が各駅に停まる区間でも、急行灯は点灯状態のままです。

京阪の急行灯点灯パターンは、「特急、快速急行などは両側点灯」「急行、準急などは向かって右側を点灯」「区間急行、各駅停車は消灯」の3通り。同社は急行灯の点灯ルールがある会社のなかで、点灯しない優等列車が存在するという、珍しい扱いとなっています。

京阪の準急は、各駅に停車する萱島~出町柳間で急行灯を消して運転します。萱島駅やその前後で、点灯、消灯を切り替えているようです。そのほかの列車は、全区間急行灯をつけての運転です。

西鉄は、「優等列車は両側点灯」「各駅停車は消灯」の2パターン。優等列車であっても各駅停車区間では消灯するという、京王と同じ方式です。

地方私鉄ではありますが、神戸電鉄も、京王や京阪などに似たパターンで点灯しています。

同社の点灯パターンは3通り。「特快速は両側点灯」「急行、準急、回送は向かって右側のみ点灯」「普通は点灯なし」で、回送列車が片側点灯となっているのが特徴的です。このうち、準急が急行灯を点灯する区間は、新開地~鈴蘭台間だけ。各駅に停車する鈴蘭台~三田・粟生間は消灯しており、鈴蘭台駅で切り替えています。これ以外の優等列車は、各駅停車区間も含め、全区間点灯です。

点灯するのは「暗い区間」の近くだけ?

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阪神本線をゆく8000系の特急。急行灯点灯対象の優等列車ですが、この写真では消えていることがわかります

阪神電気鉄道は、急行灯を点灯する機会はあるものの、明るい時間帯は消灯することが多い、という特徴があります。

同社の急行灯の点灯パターンは「優等列車、回送列車は両側点灯」「準急、区間準急は向かって右側のみ点灯」「普通は消灯」の3種類ですが、日中時間帯の地上区間で点灯している姿は、なかなか見られません。ただし、大阪梅田~野田間、岩屋~元町間などのトンネル区間に近い場所では、日中でも点灯シーンを見られる確率が上がります。

また、同社に乗り入れる山陽電気鉄道の車両は、「明るい時間は消灯」の原則に当てはまりません。6000系は時間、区間に関係なく原則点灯、5000系列は室内灯と連動して消灯の場合ありとなっています。

なお、山陽電気鉄道では、「優等列車、回送などは両側点灯」「普通列車は消灯」のパターンで急行灯を点灯しています。ただし、前述のとおり、山陽車両は室内灯と連動して消灯している場合があるほか、直通してくる阪神の車両でも、消灯状態で運転される場合があります。

急行灯らしき灯火だけれども……?

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東武100系の急行灯は「運転席窓枠の中」。目立ちませんが、黒枠の部分に赤く光っている線状のライトが急行灯です

最後に、少し特殊な事例として、東武鉄道と名古屋鉄道の例をご紹介します。

東武の現役車両では、特急型車両の100系、200系、634型「スカイツリートレイン」、そして動態保存車両の8000系8111編成に、急行灯が設置されています。

特急型の3形式については、運用に入る際、急行灯を原則的に点灯させています。634型は、野岩鉄道線内などで普通列車で走る機会もありますが、優等運用でなくても急行灯は基本的につきます。これは、同形式の改造元である6050型が定期運用に入っていた頃も同様でした。

100系や634型などのこの灯火、正式には「補助前灯」という名称です。優等車両にしか設置されていないため、急行灯のような扱いと考えられますが、実質的にはフォグランプのようなものとして運用されているようです。

8111編成は、デビュー当時の8000系の面影を残す唯一の存在です。東上線の引退後に復元工事が実施され、当時すでに撤去されていた急行灯が復活しました。同編成は現在、野田線で定期運用に入っていますが、イベント以外で急行灯が使われることはありません。

8000系の急行灯は、「上部標識灯」や「マーカーランプ」などとも呼ばれていたようで、かつては1720系「デラックスロマンスカー」や、快速用の6000系にも、同様の灯具が設置されていました。8000系では、優等列車運用を示すほか、かつてホームが短くドアカットが必要だった東上線大山駅において、ドアカット非対応車であることを示すためにも使われていたそう。ドアカットに対応した「大山対策車」以外の車両では、同駅に停車する運用に入らないようにするため、紫色の灯火を常時点灯していたといいます。

名鉄でも、急行灯のような灯具が、一部の車両を除いて搭載されています。同社ではこの灯具を「標識灯」と呼んでいるようで、ライトの色で尾灯(後部標識灯)と先頭用を切り替えています。ただし、同社では種別に区別なくこれを点灯させているため、急行灯というよりは、フォグランプのように扱われているようです。ちなみに、1200系「パノラマSuper」では、標識灯とは別に、フォグランプが設置されています。

このほか、銚子電気鉄道など、各駅停車しか運転していない一部私鉄でも、急行灯(として車両譲渡前の会社で使われていた灯具)を、運転中に点灯していることがあります。