<エイリアン>公開から46年…“創造主”によるSFスリラーの原点にして頂点を振り返る 最新作は“元祖”につながる前日譚

「エイリアン」より
「エイリアン」の前日譚にあたるシリーズ最新作「エイリアン:アース」が8月13日(水)に配信開始。製作総指揮はもちろん“エイリアンの創造主”リドリー・スコット氏ということで、恐怖は保証されたようなものだが、「エイリアン」好きにとって特に好奇心がそそられるのは舞台(2120年)が第1作「エイリアン」の2年前に設定されている点だろう。となれば事前に“原点”の「エイリアン」を見てから「アース」の世界に没入するほうが楽しいはず。そこで、今回は酷暑なお盆の季節をひんやりとさせる本作を幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が視聴し、独自の視点でのレビューを送る。(以下、ネタバレを含みます)
オリジナル版は公開されてすぐに日本上陸…!大流行
オリジナル版の全米公開は1979年5月、日本では同年7月に封切られた。今でこそ“エイリアン”といえば字面ですぐに奴らのフォルムが浮かぶが、当時はまだ想像もつかない生き物でしかなかった。それでも手に汗握る物語の展開に触れ「これはヒットするぞ、早く翻訳して劇場にかけよう」と、わが国の配給会社も燃え上がったのではないか。
結果、この映画は日本でも大流行。まだ幼かった筆者もアーケード用の固定画面シューティングゲーム「スペースインベーダー」、西城秀樹さんが歌う「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」、そして「エイリアン」が1979年頃の日本における大きなトレンドだったという記憶が残っている。ちなみに「エイリアン」という言葉は造語ではなく、もともとは市民権を持たない者や外国人を意味する英単語だったが、この映画以降「得体のしれない怖い生物」を意味するようになってしまった。
製作費は1100万ドル(当時のレートで約24億円)、日本での配給収入は14億5000万円に達したという。当然ながら数多くの媒体にも取り上げられ、「第52回アカデミー賞」視覚効果賞をはじめ、数々の賞を受賞するなど、映画史に燦然と輝く傑作として今もなお注目を集めている。
そんなオリジナル「エイリアン」が描く物語の舞台は2122年、つまりあと100年もない。令和に生まれた赤子が健康に生き長らえていけば、体験できないこともない「近未来」の話である。
宇宙貨物船「ノストロモ号」の中は広く、設備が行き届いていて、乗組員は無重力状態になることもなく、ごく普通に談笑したり食事をしたりしている。二等航海士で通信士のエレン・リプリー(シガーニー・ウィーバー)は船乗り猫をかわいがっていて、その猫(ジョーンズ)もリラックスしている感じだ。喫煙シーンがあるのは、製作当時の「時代」ならではだろう。

「エイリアン」より
人間VS謎の生命体による仁義なき戦い
2122年のある日、仕事を終えて地球へと帰還中だったリプリーらは、船を制御するAI「マザー」がSOS信号らしきものをキャッチし、その信号の発信源である小惑星へ引き寄せられる。船長のダラス(トム・スケリット)、副長のケイン(ジョン・ハート)、操縦士のランバート(ベロニカ・カートライト)の3人が船外へ調査に向かうと、異生物らしきものの死体や卵があった。
そしてケインが生命反応のある卵(エッグチェンバー)を見つけてのぞき込んだ瞬間、ケインの顔に大きなクモのような生き物(フェイスハガー)が張り付き、そのまま離れない。仕方なく、顔に生き物が張り付いた状態でケインらは船に戻るのだが、この生き物がケインに寄生し、体内で成長。エイリアンの第三形態“チェストバスター”となって勢いよく胸を突き破って姿を現し、あっという間に最終形態“ゼノモーフ”へと進化を遂げ、乗組員たちを次々と殺害。逃げ場のない宇宙船を恐怖の底へと突き落としていく――。
閉じられた空間の中で数人の男女が一つの目的に向かって動いているところを、外部からやってきた“得体の知れないもの”が攻撃。その異物があまりにもアグレッシブであるため、人間VS謎の生命体による戦いが船内で勃発し、人間は次々と戦いに敗れていくという展開が実にしなやかだ。
最終的に生き残るのはリプリーと猫というのも粋である。いかにもといった感じの屈強な男が生き残り、ありあまるほどの力であっさりエイリアンを完膚なきまでにたたきのめしていたら、果たしてこの映画は語り継がれ、数々の続編やスピンオフ作品へとつながったであろうか。
H・R・ギーガーが手掛けたエイリアンのデザインも含めて、いまなお恐怖がヒタヒタと迫るSFスリラーの原点であるオリジナル「エイリアン」。こちらをじっくりと細胞に刻み込んで「エイリアン:アース」の配信に向かえば、ひょっとしたら、この猛暑が一瞬でもひんやりと感じられる瞬間に出会えるかもしれない。
なお、8月13日(水)にディズニープラスのスターで配信される最新ドラマシリーズ「エイリアン:アース」では、2120年の時点で既に地球にエイリアンが襲来していたことが明らかになる。ある日、“5種の未知の生命体”を載せた宇宙船が地球に墜落したことを皮切りに、人類に悲劇が降り注ぐ。そして、リプリーらが宇宙船で探索に出掛けるまでの真実など、初代「エイリアン」につながる物語となっている。
「エイリアン」はディズニープラスのスターで配信中。
◆文=原田和典

「エイリアン」キービジュアル