【漫画】塩対応な新人とリーダーの“すれ違い”…そんな2人が成長していく人間ドラマに「心打たれました」の声

まるさん、まひろさんの『ぼくは今日も定時で帰る』が話題

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、塩対応の部下との誤解と対話を経て、信頼と成長を築いた上司の奮闘記『ぼくは今日も定時で帰る』をピックアップ。

原作はX(旧Twitter)の投稿から書籍化を経て、漫画化(X投稿のみ)。6月13日の投稿では、2万以上の「いいね」を集めている。この記事では、原作者のまひろさんと漫画家のまるさんに、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。

リーダーの想いとすれ違い

『ぼくは今日も定時で帰る』(1/11)

新しくチームに配属された森田は、塩対応で周囲と距離を取っていた。リーダーのまひろは、彼女に嫌われていると感じながらも声をかけ続けた。

ある日、森田から相談が入り、関係に小さな変化が訪れる。しかし、まひろの「挑戦を求める姿勢」は森田にはプレッシャーだった。まひろは自らの言動を省みるようになり、彼女を知る努力を始める。

やがて少しずつ信頼関係が築かれ、森田は自ら新たな仕事に挑戦する意志を示す――。

物語を読んだ人からは、「すごく共感できる部分があって感動したよ!」「仕事のプレッシャーや人間関係のリアルが丁寧に描かれていて、胸に響いた」「関係性が崩れかけたとき、それでも諦めずにお声がけをしたのがすごいです」「声掛けと共感の大事さ」「塩対応乗り越えるの大変だったろうなぁ」など、反響の声が寄せられている。

「助けてください!」の一言から始まった物語

『ぼくは今日も定時で帰る』(2/11)

――本作を描こうと思ったきっかけや背景を教えてください。

まる:Xで普段から交流していたまひろさんから、「書籍をもっと多くの人に届けるため、漫画の力を貸してほしいです」と相談されたのがきっかけで、ぜひやりましょうということで始まりました。

まひろ:私はXでビジネスエピソードを発信していますが、5月27日に出版した『ぼくは今日も定時で帰る』を読んだ読者さまから「漫画にしたらゼッタイ面白い!」というコメントをいただきました。

その後、まるさんと一緒に飲みに行く機会があり、「助けてください!」と相談したのがきっかけですね。

――『ぼくは今日も定時で帰る』の印象的なエピソードをテーマにされた理由や意図があれば教えてください。

まる:まひろさんからはいくつかのエピソードの中から自由に選んでほしいと言われました。

今回描かせてもらったエピソードは、主人公(まひろさん)がピンチに立たされ(部下に嫌われ)、それを自身の工夫でどう乗り越えていくかという、漫画の王道パターンが適用できると感じて選びました。結果として、読後感が良いという感想を多くいただけたのは嬉しかったですね。

まひろ:書籍に収録されているエピソードの中でも特に反響の大きかった投稿を10個ほどまるさんに送り、「どれを漫画にしたら面白いと思いますか?」と相談しました。テキストで面白くても漫画だと伝わらないこともありますし、逆もあるんですよね。

まるさんから今回のエピソードを選んでいただきましたが、実際に書籍の中でも反響があり、学びの面もあったので、「これを漫画にして多くの人に届けたい」と感じました。まるさんのご提案に、迷わず乗っかりました(笑)

――作中で描かれる「共感できない上司」の描写にはリアルさがありました。描写において工夫した点はありますか?

まひろ:本に掲載されている原作エピソードは、すべてリアルな体験をベースにしています。部下が私に気づかず、本音で愚痴をこぼした場面を、包み隠さずそのまま聞いたんです。

だからこそ、心境の描写がここまでリアルにできました。聞いている時は、正直、口から魂が抜けるかと思いましたね(笑)

まる:僕自身、昨年まではIT企業でマネージャーとして働いており、部下とのコミュニケーションに常に悩んでいました。まひろさんの「空回り上司」としての経験は、まさに自分ごと。自分や部下の当時の気持ちを想像しながら描いたことで、リアリティが生まれたのだと思います。

また、僕たちは普段からXの発信者が集まるオンラインサロン「ちんサロ」に所属していて、まひろさんの人柄や雰囲気も知っていたので、よりリアルに漫画化できました。

まひろ:確かに(笑)。私の垢抜けない感じを、ここまで見事に漫画で表現していただけたのは、普段からの交流があったからこそですね。

――本作に込めた“葛藤”や“ズレ”の描き方で特に悩んだ点はありますか?

まひろ:このエピソードでは、「相手の閉じた心を開くには時間がかかる」ということを伝えたかったんです。人間関係に限らず、人はつい短期的な成果を求めがちですが、私はその罠によくハマるんですよ(汗)

でも、最初はうまくいかなくても、コツコツ続ければ少しずつ関係は良くなる。そのもどかしさをどう表現するか?文章で表現する時もかなり悩みました。

まる:まひろさんと部下の森田さん、それぞれの葛藤をしっかりと伝えたかったのですが、SNS投稿前提の漫画なので、長くなりすぎないよう短いページ数で効果的に伝える工夫をしました。もどかしさを描くために、1コマ1コマでキャラクターの感情をしっかりと表現することを意識しました。

――キャラクターの表情や構図で意識したことはありますか?

まる:特に部下の森田さんについては、前半と後半で表情の変化を明確にするよう意識しました。また、主人公のまひろさんについては、ショックを受けたところから立ち直っていく過程を、色や顔の向きなどで視覚的に伝えられるよう工夫しました。

――淡い色調のトーンで構成されていますが、色選びにこだわったポイントを教えてください。

まる:僕の絵柄自体がシンプルなので、それに合うようにシンプルな色使いを意識しました。個人的には赤と青が好きなのですが、原色だと強すぎる印象になるので、落ち着いた雰囲気を出すために淡い色調を選びました。

まひろ:実は、まるさんの漫画の色調も、依頼の決め手の一つでした。シンプルなのに、絵と色使いに味があると感じたんです。

私の書籍『ぼくは今日も定時で帰る』は、会社員の日常を切り取った、何気ないエピソードの集まり。私は現役の会社員なので、キラキラ感は必要ないと思っていました(笑)

まるさんがそのリアルさを素朴な色で表現してくれたからこそ、多くの方に届いたのだと思います。

――作画と原作のすり合わせはどのように行われましたか?やり取りの中で印象的だったエピソードがあればぜひ。

まる:まひろさんには作画を全面的に任せてもらえたので、大きなすり合わせはありませんでした。ただ、最後のオチの部分を原作に忠実に描いたところ、「もっと面白くできないか?」と指摘をいただきまして…漫画家としてオチの詰めが甘かったと反省しました(笑)

まひろ:やっぱり、お互いのことを知っているとやりやすいですね。まるさんの過去作を拝見して信頼していたので、「よしなに仕上げてくれるだろう」と、ほとんどお任せしました。

むしろ変に口を出すと、漫画としての面白さが損なわれると感じていました。でも、最後のオチだけは…ぜひ読んで確かめていただけたら嬉しいです(笑)

書籍『ぼくは今日も定時で帰る』には、そんなクスッと笑えるオチがたくさんあります。

――描いていて特に印象深かった(感情が動いた)シーンはどこですか?

まる:マネジメント経験者として、自分の伝えたいことが相手にまったく伝わっていなかったことに気づいたときのまひろさんの気持ちが、痛いほど分かりました。自分の行動を変えることで、最終的に相手の気持ちが変わったという流れには、感動しながら描きました。

まひろ:原作者としても同じです。相手の気持ちを「分かったつもりになっていた」ことに気づいたときの衝撃、そしてこちらが心を開けば相手の態度も変わるという気づき。この2つが、私が本当に届けたかったメッセージです。

その思いを、漫画という形でより多くの方に伝えられたことが、本当に嬉しかったです。また、まるさんとぜひご一緒したいですね。