広陵野球部の暴行事件「寮生活」の厳しさとは 上本博紀氏の述懐

旭川志峯(北北海道)対広陵(広島) 広陵円陣=甲子園球場(撮影・榎本雅弘)
広島の高校野球の強豪・広陵高校野球部は今年1月に部内で発生した、「カップラーメン禁止違反」に端を発する上級生による下級生への暴行事件の渦中で、夏の甲子園1回戦で勝利したものの、史上初の〝不祥事による大会中の辞退〟となった。
広陵野球部の暴力事件を受けて、現阪神の1軍打撃コーチで広陵野球部OBの上本博紀氏(39)が、広陵野球部の寮生活の厳しさについて語った4年前の動画が再注目される事態になっている。

上本博紀打撃コーチ
「記憶がない」上本コーチが語っていた広陵寮生活の厳しさ
広陵野球部の暴力事件を受けて再注目されているのは、同校野球部OBの現阪神の1軍打撃コーチの上本氏が出演した、ユーチューブ「片岡篤史チャンネル」に2021年1月14日に投稿された、「PL学園より厳しい広陵高校の寮生活について」というタイトルの動画だ。

片岡篤史氏
春夏合わせて甲子園優勝7回を誇る高校野球の名門、大阪のPL学園で内野手として甲子園で活躍し、プロでは、日本ハムや阪神でプレーした片岡篤史氏(56)からの質問に、上本氏は次の通りに応えていた。
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片岡氏「入った広陵高校で1年生から出られたのは、自分で振り返ってもすごかったんじゃないの?」
上本氏「本当に毎日がいっぱいいっぱいで記憶がないですね」
片岡氏「はは(笑)」
上本氏「甲子園出たとか、映像であるんですけど、その記憶が自分としては全くないです」

報道陣の取材に対し謝罪する広陵高校の堀正和校長
片岡氏「苦しいとかだけ?」
上本氏「いっぱいいっぱいで」
片岡氏「その時に1年生から試合に出てたってすごくない? 何人メンバー入ってたの? 1年生で」
上本氏「自分だけです」
片岡氏「その時の記憶はなし?」
上本氏「試合したとかそういう記憶はほとんどないです」
片岡氏「練習がしんどかった? 寮生活がしんどかった?」
上本氏「どっちかというと寮生活…(笑)」
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この動画のコメント欄には、今回の広陵野球部の不祥事を受けて、「このタイミングで…この動画がおすすめに出てきたの、草」「広陵の練習よりも寮生活の方が大変という言葉がすべてを語っておりますな」「防衛本能として記憶が消去されるぐらい辛い目に合ったんだな」などのコメントが書き込まれている。
SNS告発から1回戦勝利、そして史上初の辞退へ
広陵野球部の一連の騒動では、大会前からSNS上で関係者とみられる人物が暴行や性的いじめ被害を訴えていたが、広陵は1回戦の前日の6日、暴力事案は認めつつ、性被害に関しては、「新たな事実は確認できませんでした」と言及しなかった。
広陵の出場辞退を求める声がSNS上に殺到する中、日本高等学校野球連盟も6日に声明を出し、広陵の出場に変更はないとコメントしていた。
そして7日に行われた、第107回全国高校野球選手権大会(甲子園球場)の大会3日目・第4試合で広陵は、旭川志峯(北北海道)を3-1で下し、3年連続での初戦突破となった。
しかし、1回戦勝利の裏では、6日に公表された暴力事案とは、「別の事案」について第三者委員会を設置し、調査が進んでいた。
10日にはついに、広陵が今大会を辞退することが発表され、2回戦で対戦する予定だった津田学園(三重)は不戦勝となった。
広島県高等学校野球連盟は9日、副会長を務める広陵の堀正和校長から辞任の申し出を受けたことを明かし、10日に受理したことを発表した。広島県高野連が10日に出したリリースは次の通り。
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広島県代表校が出場辞退に至ったことに対して、まずは関係するすべての皆様に、深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
本連盟は、広陵高校が発表している事案について、すでに当該校から報告を受けておりますが、再調査と報告を求めるとともに、警察、第三者委員会に全面的に協力すること、新たな事実が判明した場合はただちに報告を行うよう指示しました。
これまでの問題点を整理し、学生野球憲章に謳われている「学生野球は教育の一環である」という原点に立ち返り、ゆるぎない信念をもって、硬式野球部の再生に向け、抜本的な変革を学校全体で組織的に取り組んでいくよう指導しました。今後も定期的に経過報告を求めて参ります。
今回の一連の事案をきっかけに、改めて暴力を一切認めない姿勢を全加盟校に強く求めていきたいと考えています。また、これまでも学校が不祥事件が発生した場合は速やかに報告すること、関係者に対して事実確認を丁寧に行うこと、関係生徒のケアを行うことを指導して参りましたが、改めて、不祥事件の未然防止、発生時の対応について加盟校に研修等を行って参ります。
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広陵野球部の中井哲之監督(63)は辞任しない方針だとも報じられており、広陵の堀校長が10日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場にある大会本部で会見を行った際に、中井監督の進退が問われ際、「監督とはそういう話(進退について)はまだ一切しておりません」「今後抜本的に(野球部の)運営体制を調査。調査期間中は指導から外れてもらう」と明かした。
会見の中で堀校長は、今大会を辞退した理由について、学校がSNS上で爆破予告を受けたり、生徒が登下校で追いかけられる事態が発生し、「大会運営にも大きな支障が出ている。高校野球の名誉、信頼を大きく失うことになる」と説明。
「保護者様が被害届を出されて、調査に協力しています。性被害については第三者委員会を設置し、カップラーメンの暴力問題についてはすでに終わったものとしている」「警察に被害届を出しているので、全面的に協力する」と語った。
この日の会見で報道陣に配布された資料の全文は次の通り。
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令和7年8月10日
学校法人広陵学園
第107回全国高等学校野球選手権大会の出場辞退について
平素は広陵高等学校及び本校硬式野球部の活動に多大なるご理解を賜り、厚く御礼申し上げます。
本学園は9日、緊急理事会を開催し、第107回全国高等学校野球選手権大会の出場を辞退することを決定いたしました。
本校硬式野球部をめぐっては、過去に公益財団法人日本高等学校野球連盟(日本高野連)に報告した部員間の暴力を伴う不適切な行為だけでなく、監督やコーチらから暴力や暴言を受けたとする複数の情報が、SNSなどで取り上げられています。
こうした事案を重く受け止め、本大会への出場を辞退したうえで、速やかに指導体制の抜本的な見直しを図ることにいたしました。現在、第三者委員会などで調査していただいている事案につきましては、全面的に協力してまいります。
被害を受けられた部員および保護者の方には、重ねてお詫びを申し上げます。また、今大会に出場しているチームのみなさま、高校野球ファンのみなさまをはじめ、本校が加盟している日本高野連、広島県高等学校野球連盟ほか、各方面のみなさまに多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを、改めて深くお詫び申し上げます。
本校は、正課の活動のみならず部活動などの課外活動においても、いかなる暴力も認めないことを掲げてまいりましたが、今回の事態を招いたことは誠に遺憾であり、今後二度とこうした事案が起きないように再発防止に全力を注いでまいります。それとともに、辞退による選手の心情を十分にくみとり、選手のケアに努めてまいります。
なお、現在、SNS等で発信されている画像や投稿の中には、事実と異なる内容、憶測に基づく投稿、生徒の写真等を報道等から盗用した投稿、関係しない生徒への誹謗中傷も見受けられます。生徒及び職員の名誉と安全を保護するためにも、このようなことがないよう、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
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広陵が6日に公表した暴力事案については、被害部員は3月末で転校し、7月に被害届を提出。日本テレビは7日、この事件について、「捜査関係者によると部員から任意で事情を聞いているということです」とも報じている。
SNS上では、暴力行為以外に、便器や性器を「舐めろ」と指示していたというような、信じがたい〝告発〟内容も拡散されていた。
6日の公表とは「別の事案」については、これを想起させるような〝実名告発者〟によるフェイスブック投稿のスクリーンショットが、X(旧ツイッター)で拡散され、元部員が、6日公表された事案と同様の暴力や性的いじめ被害を訴える内容が記されていた。告発者本人のみならず、関与したとしている人物全員も実名だった。
警察の捜査や第三者委員会の調査の結果が待たれている。