眞島秀和が挑んだ壮絶な“徳川家治”の死「最後に一言何か言ってやりたい、という思いでした」<べらぼう>

蔦重との対比、時代を説明するような立ち位置に, 一橋治済(生田斗真)は終始何を考えているのか読めなく、不気味です, 渡辺謙さん、石坂浩二さんの居住まいに刺激を受けました, これから先の蔦重の苦労や活躍を見ることが楽しみです

大河ドラマ「べらぼう」に徳川家治役で出演の眞島秀和にインタビューを実施

横浜流星が主演を務める大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)。森下佳子が脚本を務める本作は、18世紀半ば、町民文化が華開き大都市へと発展した江戸を舞台に、“江戸のメディア王”として時代の人気者になった“蔦重”こと蔦屋重三郎の波乱と“エンタメ”に満ちた人生を描く“痛快”エンターテインメントドラマ。

「べらぼう」の物語も第31回の放送を終え、徳川家治が壮絶な死を遂げる姿が描かれた。WEBザテレビジョンでは、田沼意次を重用した江戸幕府10代将軍・徳川家治を演じた眞島秀和にインタビューを実施。役柄や作品への思い、意次との信頼関係について語ってもらった。

蔦重との対比、時代を説明するような立ち位置に

――一番はじめに「べらぼう」の台本を読まれた印象はいかがでしたか?

まず、主人公である蔦屋重三郎という人物はどういう人なのだろうというところから入りました。台本を読んでいくと、江戸市中の人々を中心とした“吉原”という、今まで大河ドラマではあまり深くは描かれなかったテーマに挑戦するのだという印象を持ちましたね。その中で僕は、徳川家治という徳川幕府の将軍を演じさせていただくにあたり、作品の中心となる蔦重たちの姿との対比になるような、時代を説明するような立ち位置として演じていきたいと考えました。

――家治をどのようなアプローチで演じていこうと思われましたか?

収録が進んでいく中で固まっていった部分も多くありました。家治は将棋を非常に愛した将軍で、政治に関しては全て人に任せていたという説もあります。ですが「べらぼう」での家治は、渡辺謙さん演じる田沼意次との信頼関係がしっかり描かれており、政治に関しては意次に任せながらも、将軍として最終的な責任は取るのだというバランスで関係性を築いてきた2人なのだと捉えました。家治と意次の距離感、信頼関係をしっかりと構築している将軍像にしたいと思いながら、少しずつ家治という人物を固めていきました。

――出演に際し、準備されたことはありますか?

将棋のシーンの準備をしました。NHKの将棋番組に出ていらっしゃった棋士の方に指導いただき、駒の置き方を丁寧に教えていただきました。また、将棋の駒を持っていませんでしたので、駒を買って自宅で練習もしました。

――実際に演じられていく中で、家治はどのような人物だと感じられましたか?

僕の想像になりますが、台本に描かれている以外のところでも、意次から政治に関しての状況など報告を逐一受けていたのではないかなと。家治は仕事を全て任せているように見えつつも、意次の進め方に納得していて、進んでいく方向が一致していたことがとても良かったのではないかと思っています。

――2人で将棋を指す場面もありました。

そうですね。将棋を指す前後など、政治に関する会話もあっただろうと想像しています。

――収録を振り返り、印象に残っているシーンを教えてください。

謙さんと同じシーンを演じさせていただいた中で、“自分は、今は評価されない将軍かもしれないけれど、田沼意次を守ったということが自分の仕事なのだ”と家治が吐露するシーンが印象に残っています。そこに意次との関係性の全てが凝縮されているように感じています。

――クランクアップした際のお気持ちはいかがでしたか?

今回に限らずですが、一つの役柄を演じ切ったという、ほっとする気持ちが大きいです。

一橋治済(生田斗真)は終始何を考えているのか読めなく、不気味です

――嫡子・家基(奥智哉)の死について、家治はどのように理解していたと思われますか?

台本を読んでいると、どうやら一橋がいろいろと動いているのではないかと思うのですが、それは台本を読んでいるからこそ分かることなんですよね。当事者の家治にとっては、起きたことが理解できず、納得できないことがどんどん重なってく状況だったと思います。立場上取り乱すこともできず、起きてしまったことを受け止めるしかないという心境だったのではないかと思っています。

――第31回、家治が亡くなる最後のシーンでは家基の名を呼び、治済に一矢報いるような言葉を発します。家治は、彼が黒幕であると分かっていたと思われますか?

分かってはいつつも、一橋家との関係上、そう軽々しく迂闊なことは言えないことも理解している。だからこそ、死の直前に少し混乱して普通の状態ではなくなっていると装いながら言葉にしたのかなと思います。将軍と御三卿の実際の関係性がどのようなものだったのか、個人的にも気になるところではありました。

――取り乱すことをせず穏やかな家治の大きな感情が初めて見えたシーンでもありました。

最後に一言何か言ってやりたい、と。素直にその思いで演じました。

――とても印象的なシーンの一つですが、演出と相談などはされましたか?

台本上、死の間際の家治が治済のところまで這って行き、せりふと言うというものだったのですが、演出がその動きに関して僕に尋ねて下さったんです。将軍がいる場所から段差を越えて這っていくという、亡くなる間際にしては大きな動きにもなるので、演じる立場としてどうでしょうかと気遣って下さったのだと思います。ですが、僕は毒を盛られ、死の直前だからこそ、この動きをしてもいいのではないかと。一度リハーサルで台本通りに演じてみたところ、これでいきましょう、と劇的な場面になりました。

――最後の力を振り絞っている姿が印象的です。

家治は将軍としていろんなことを我慢してきたのだろうと。立場に縛られながらも、感情を抑え、我慢しながら生きていた人なのではないかと感じました。それまで家治が感情的になるシーンはなかなかありませんでしたが、森下先生が感情を見せる家治を最期のシーンとして書いてくださったことはとてもうれしく、ぜひその通りに演じたいという思いもありました。

――対峙した治済にはどのような印象を持たれましたか。

治済は終始何を考えているのか読めなく、不気味ですよね。いち視聴者としても、家治としても不気味に感じていました。

――演じる生田斗真さんの印象はいかがですか?

普段の生田さんは笑顔がとてもすてきな方。何を考えているか読めない治済と、普段のさわやかな生田さんとのギャップが相乗効果となって、より治済が不気味に見えてくるという感覚も(笑)。役柄に入るスイッチに驚かされました。

蔦重との対比、時代を説明するような立ち位置に, 一橋治済(生田斗真)は終始何を考えているのか読めなく、不気味です, 渡辺謙さん、石坂浩二さんの居住まいに刺激を受けました, これから先の蔦重の苦労や活躍を見ることが楽しみです

大河ドラマ「べらぼう」より

渡辺謙さん、石坂浩二さんの居住まいに刺激を受けました

――4度目の大河ドラマ出演となりますが、大河ドラマに対しての特別な思いはありますか?

“大河ドラマ”という看板だけでも重厚感がありますし、出演されている役者の方々は本当にそうそうたる方がいらっしゃって。その中に参加させていただけることは光栄ですし、役者としてわくわくします。また負けないぞという気持ちも強く持ちながら毎回臨んでいます。

――家治が全幅の信頼を寄せる田沼意次を演じた渡辺謙さんとの共演はいかがでしたか。

僕は、大河ドラマ「独眼竜政宗」(1987)が初めて最初から最後まで全話見たドラマなんです。僕の原点とも言える作品であり、今回共演できることを本当にうれしく思います。

――そのことは謙さんに伝えられましたか?

照れもあり、「全部見ていました」とさらっとお伝えはしましたが、今お話ししたような熱量では伝えられませんでした(笑)

――家治、意次として共演された思いは?

クランクインしてから序盤は僕が勝手に緊張している部分もありましたが、この作品の中で目指しているであろう家治と意次の関係性は築けたのではないかと思っています。

――2月頃、『べらぼう』公式Instagramで、「謙さんと2人のシーンが多く緊張します」と解答されていましたが、収録を重ねる中でほぐれていったのでしょうか?

本当はもっと序盤からほぐれていたんです(笑)。謙さんもその言葉をご覧になっていたようで、「俺、そんなにプレッシャーを懸けてたか?」と(笑)。「取材の場で調子に乗って言ってしまいましたがそんなことはありません!」とお伝えするということもありました(笑)。とてもすてきな方です。

――共演されて刺激を受けたことはありますか?

渡辺謙さんも、松平武元を演じた石坂浩二さんも、時代劇の中での居住まいが印象に残っています。言葉で説明することが難しいのですが、その姿を拝見しながら、いま自分は貴重な瞬間に参加しているのだと何度も思いました。その姿を目に焼き付けておこうと思いながら収録に臨んでいましたね。

これから先の蔦重の苦労や活躍を見ることが楽しみです

――森下佳子さんの脚本の印象はどのように感じられましたか?

私が言うことは恐れ多くもあるのですが、台本が届くたび、本当に面白く読んでいました。登場人物がみな生き生きとしており、とにかく面白い。専門的なことは分からないのですが、登場人物を細部まで描いていらっしゃり、伏線など緻密に計算されているのかなと感じています。参加できてうれしく思います。

――家治以外で、お気に入りの登場人物は?

魅力ある人物が多いですよね。伊藤淳史くん演じる大文字屋はインパクトがありました。先代が亡くなり、あまり間を開けずにまさか息子として二代目が登場するとは(笑)。しゃれがきいていて粋で素晴らしいなと思いました。

――今後、演じてみたい歴史上の人物はいますか?

作品の時代にもよりますが、「べらぼう」の時代でしたら江戸市中の町人を演じてみたいですね。また時代としては幕末が好きなんです。2027年の大河ドラマ「逆賊の幕臣」は幕末が舞台だと思いますので(笑)、ぜひ幕府側の人物を演じてみたい思いはあります、とお伝えだけしたいと思います(笑)。

――最後に、「べらぼう」に参加された今の思いをお聞かせください。

初めて将軍役を演じさせていただき、本当にありがたい経験でした。徳川家の三つ葉葵の家紋が入った着物を着ることも、この先の役者人生でないかもしれないと思いながら演じていましたね(笑)。家治は江戸城から出ることはないのですが、視聴者として「べらぼう」を見たり、また台本を読んだりする中で、吉原や日本橋の方々がすごく楽しそうだなと。忘八にも憧れがあり、面白そうだなと感じます。いつか僕も江戸市中の活気あるやり取りを演じてみたいと思いました。

「べらぼう」の物語も家治が亡くなり、田沼の時代も終焉を迎えていく中、松平定信(井上祐貴)の時代が訪れいわゆる出版統制も始まっていきます。この先、蔦重たちがどのように苦労し乗り越えていくのかをいち視聴者として見ることをとても楽しみにしています。

蔦重との対比、時代を説明するような立ち位置に, 一橋治済(生田斗真)は終始何を考えているのか読めなく、不気味です, 渡辺謙さん、石坂浩二さんの居住まいに刺激を受けました, これから先の蔦重の苦労や活躍を見ることが楽しみです

大河ドラマ「べらぼう」より