18歳だけど精神年齢は1歳程度の長女 生活介護施設に通い社会人として「お仕事」する姿に驚き

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

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 4月後半になりました。今年度から新生活が始まった方はそろそろ新しい環境に慣れた頃でしょうか? 我が家の双子の娘も3月に高校を卒業し、医療的ケアが必要な長女は平日は生活介護施設へ通所、次女は大学へ通学しています。どちらも4月1日から新生活がスタートし、楽しく通いつつもゴールデンウイークでの休息が待ち遠しいようです。

 今回は、我が家の双子の娘たちの新生活について書いてみようと思います。

■ごく自然に家族の話をできる環境

 4月1日。夫とともに、次女の大学の入学式に出席しました。幼稚園から高校まで一貫校で過ごした彼女にとって、知っている人がいない環境に入ることはとても珍しく、緊張したのではないかと思います。さらに、今までは自宅から徒歩10分の距離だったのが、乗り換えを2回して1時間半以上かけて通学することになります。この日は雨が降って冬のように寒くなり、余計に通学への不安が増したように見えました。ところが、翌日からどんどん友達ができ、我が家の近くから通っている人がいることもわかり、あっという間に大学生活に慣れたようです。

 医療従事者を目指す学部に進学したため、興味があることが似ているのも過ごしやすい理由のひとつかもしれません。健康診断では教授が学生の採血をし、腕を縛る理由を聞いたり、注射器を刺す瞬間の針の角度を見ているようにと言われたりしたとのこと。そんな話をしてくれる次女はとても楽しそうでした。小学生や中学生の頃には、自分が双子であることや寝たきりの長女のことを周りにどう話せば良いのかと、きょうだい児ならではの悩みもありましたが、医療者になる環境の中では、ごく自然に家族の話をすることができたようで安心しました。

■医ケア児の長女は2カ所の通所施設に

 次女の入学式の翌日は、医療的ケア児の長女の入社式でした。このコラムでも何度か「18歳の壁」と言われる特別支援学校卒業後の進路について書いてきましたが、結局、2月頃に通所できる施設が決まり、2カ所に通うことになりました。(ただ、通所時間の短さの問題は残り、私の仕事は減らすことになりました。このことはまた別の機会に書こうと思います)

 長女は社会人になっても変わらずに歌が大好きで、DVDが止まると「うにゃー」と声を出し、精神年齢は1歳程度です。それでもやはり、この約1カ月で「通うこと」には大きな意味があるのだと改めて実感しました。

■重症心身障害児も社会の一員として

 長女が通っているのは生活介護施設です。その名の通り、日中を過ごす場所であり、保護者から見ると託児所と同じような「ケアをしてもらう場所」という認識でいました。ところが連絡帳を見ると、お菓子のシール貼りをしたり、野菜の袋詰めを手伝ったり、ごみ拾い(地域清掃)にまわったりと、重症心身障害児の長女も社会の一員として「お仕事」をしているのです。ほんのわずかですが、年度末に賃金をいただけることにもとても驚きました。もちろん活動中はDVDを見ることはなく、無音でも怒らずに参加しているようです。

 家族と過ごす時は赤ちゃんのままで、祖父母を含め全員が甘やかし放題の我が家ですが、外では家庭とは違う顔を持ち、しっかり社会人になっているようです。このメリハリはきっと、障害の有無にかかわらず人が生きていく上でとても大切であり、モチベーションにつながるのではないかと思います。残念ながら「18歳の壁」はまだまだ課題は多いのですが、施設の存在意義をほんの少しでも多くの方に伝えられるように、これからもこのテーマについて書いていきたいと思っています。

※AERAオンライン限定記事