スペインのひと口グルメ、タパスを味わおう

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タパスは、スペインを代表する料理のひとつである。酒場やバルで提供される、風味豊かな一口サイズの前菜で、温かいものも冷たいものもあり、さまざまな美味しい食材で作られている。タパスを楽しむことは、スペインの偉大な食文化の伝統のひとつだ。では、このタパスはどこから生まれ、この象徴的なおつまみの伝統にはどんな歴史があるのだろうか?

読み進めながら、その背景を知って食欲をさらにそそられていただきたい。

食材を揃える

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タパスは何世紀にもわたって親しまれてきた。スペイン各地の地域がそれぞれ、この象徴的な伝統の発祥地だと主張しているが、この前菜の形や食材は、同国の豊かで多様、そして時に波乱に満ちた歴史と切り離すことができないのである。

ローマ時代のイベリア半島

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紀元前212年、ローマによるイベリア半島侵攻の際に、オリーブの栽培とブドウの植樹が始まった。

ムーア人

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711年、北アフリカのムスリムであるムーア人がイベリア半島を征服し、その領土をアル=アンダルスと呼んだ。彼らはアーモンドや柑橘類、そしてさまざまな素晴らしい香辛料をもたらした。

コンキスタドール

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「新世界」への航海によって、コンキスタドールたちはトマト、甘唐辛子や唐辛子、トウモロコシ、ジャガイモといったスペイン料理に欠かせない多くの異国の食材をスペインにもたらした。

歴史と起源

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タパスの正確な歴史的・文化的起源は定かではない。歴史家の中には、タパスはアンダルシアで生まれたとする説を唱える者もいる。確かなのは、この象徴的な前菜がイベリア半島全域で何百年もの歳月をかけて進化してきたということである。

カスティーリャ王アルフォンソ10世(1221年–1284年)

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タパスの起源に関する初期の説の一つは、カスティーリャ王アルフォンソ10世に結びつけられている。伝説によると、「賢王」として知られるこのスペインの君主は病気療養中に医師から、体力を補うために食事の合間にひと口大の軽食をつまむように助言されたという。また、少量のワインを添えることも勧められたとされる。

食べて飲む

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この「軽く、そして頻繁に食べる」という摂取法は効果を示し、王の口にも大いに合ったという。回復後まもなく、アルフォンソ王は、スペインの居酒屋や宿屋では食べ物を添えずに酒を出してはならぬと布告したのである。

空腹を満たす

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王の布告は評判が良く、理にかなっていた。客はもはや空腹のまま酒をあおってすぐに泥酔することはなくなり、酩酊は節度ある、ほとんど文明的な手順へと変わっていったのである。

フェリペ3世(1578–1621)

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兵士や船乗りの酔いを抑えるために、スペイン王フェリペ3世は法律を改め、ワインを蓋付きの杯で提供するよう定めた。その蓋の上には小さな料理が載せられ、飲み物の代金に含まれていた。ここからタパスという名前が生まれたのである。スペイン語のtapaは「蓋」や「覆い」といった意味を持つ。

チーズとワイン

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ある寓話によれば、16世紀のカスティーリャ・ラ・マンチャに住む抜け目のない居酒屋の主人が、熟成して香りの強いチーズや塩分の強いハムが、質の劣るワインの味を隠せることにすぐ気づいたという。彼はすぐに、安ワインの味を「覆う」ために、香りの強いおつまみを添えて提供し始めたのである。

中世

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タパスの起源にまつわるもう一つの説は、中世の野原や工房に根ざしている。真夏の昼の暑さの中で働く労働者や農夫たちには、こってりと重い料理ではなく、軽い食事が振る舞われ、夕方まで本格的な食事は控えられていた。昼食にはワインが添えられ、そのアルコールがこわばった体をほぐし、やる気を取り戻させたのである。だが、この説にはさらに別の解釈も存在している。

ワインとスープ

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スペイン南部では、飲み物としてガスパチョが飲まれていた。というのも、ワインは体温を上げてしまい、労働者に必要な冷たい清涼感を与えることができなかったからである。ガスパチョとは、生の野菜をすりつぶして作る冷製スープである。

アルフォンソ13世(1886–1941)

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タパスとアンダルシアの伝統的な結びつきは、さらに王にまつわる逸話によって裏付けられている。アルフォンソ13世とその一行がカディスの地元の酒場に立ち寄り、王がワインを一杯注文したと言われている。

カディス

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古代からの港町であるカディスは、カディス湾から吹き付ける強風に常にさらされている。スペイン国王が町に訪れたその日も、風が激しく吹き荒れ、宿屋の中に砂を吹き込んでいた。

覆いの上に

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バーテンダーは、王のワインが砂にまみれてしまうと気づき、杯の上にハムのスライスを載せて飲み物を守った。アルフォンソのワインは無事であり、王が二杯目を注文したときには、その「タパ」と共に頼んだのである。

今日のタパス

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tapaの本来の意味は「覆い」や「蓋」であるが、スペインではイベリア半島で最も美味しい軽食を指す言葉として定着している。タパスはあらゆる場所で提供され、ときには無料のおつまみとして出されることもある。

アンダルシア

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アンダルシアでは、飲み物を注文するとタパスが無料で付いてくることが多い。写真はグラナダ。

カスティーリャ=ラ・マンチャ

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同様に、16世紀にずる賢い酒場の主人がいたカスティーリャ=ラ・マンチャの一部のバルでは、ビールやワインを頼むと無料のタパスが付いてくるのが一般的である。さらに、ガリシア、カスティーリャ・イ・レオン、アストゥリアス、エストレマドゥーラでも、飲み物を注文するとタパスが無料で出されることがある。写真はトレド。

サン・ジョアン通り(バルセロナ)

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スペインの都市の中には、まるごと一つの地区がタパスバーに充てられている場所もある。例えばバルセロナでは、サン・ジョアン通りに足を運ぶとよい。

ラ・ラティーナ地区(マドリード)

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マドリードで最も本格的なタパスを楽しみたいなら、ラ・ラティーナ地区を訪れるとよい。

バリオ・ウメド地区(レオン)

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レオンは、スペイン全土で人口あたりのバーの数が最も多い都市であることを知っていただろうか。そして嬉しいことに、多くの店では飲み物に無料でタパスが添えられるのである。

ピンチョス

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スペイン北部では、タパスは「ピンチョス」(バスク語では pintxos)とも呼ばれている。これは、パンの上に載せた具材が落ちないように串や爪楊枝(pincho)で刺して留めてあることに由来する。

ハモン・イベリコ

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最も人気のあるタパスのひとつが、ハモン・イベリコ(イベリア半島産の熟成ハム)を使ったものである。通常はパンや、カリカリとした小さなパン菓子であるピコス、そしてスティック状のコリネスと共に提供される。

チーズのタパス

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スペインには実に多様なチーズがある。訪れる地域ごとに、その土地ならではのチーズが出されることも多い。代表的なものとしては、カスティーリャ=ラ・マンチャのマンチェゴ、ナバーラのロンカル、バスク地方のイディアサバル、バレアレス諸島のマオン、カナリア諸島のマホレロがよく知られている。

イカのタパス

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人気のシーフードタパスのひとつが、イカのリングに衣をつけてオリーブオイルで揚げ、熱々で提供する料理である。キンキンに冷えたビールとの相性は抜群である。

パン・トゥマカ

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カタルーニャ地方を代表する料理で、pa amb tomàquetとも呼ばれるパン・トゥマカは、この地域ならではの味覚である。パンにトマト、オリーブオイル、ニンニクを組み合わせた風味豊かな一品である。

ヒルダ

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バスク地方の定番であるヒルダは、アンチョビ、オリーブ、唐辛子を組み合わせたピンチョスである。人によって好みが分かれる味だが、サン・セバスティアンの名物として知られている。

クロケット

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スペイン中のバルでよく見かけるクロケット(コロッケ)は、ハムを使ったものが一般的である。しかし、野生キノコ、魚介類、魚、さらにはカブラレスのような個性の強いチーズを詰めたものも見つけることができる。

パタタス・ブラバス

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タパスには調理された料理もあり、その代表的なものがパタタス・ブラバスである。これは揚げたジャガイモにスパイシーなソースを添えて提供される料理である。

トルティージャ・デ・パタタス

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トルティージャ・デ・パタタス、いわゆるスペイン風オムレツもまた調理されたタパス料理のひとつである。ジャガイモとタマネギを使って作られる。

出典:(Independent.ie) (Enforex) (Spain Tourism) (National Geographic) (Spanish Hams)