カーク氏殺害、全米の大学で議論沸騰

テキサスA&M大学でチャーリー・カーク氏の追悼集会に参加した学生

米保守活動家のチャーリー・カーク氏が10日に射殺された数時間後、アラバマ大学で共和党を支持する学生団体「カレッジ・リパブリカン」のリーダーを務める4年生のライリー・マカードルさんのもとに、学生から多くのメッセージが届き始めた。一部は政治同好会からの哀悼の言葉だった。

マカードルさんによると、学生の非公開チャットのスクリーンショットも送られてきた。なかには、カーク氏が出血を止めようと手で首を押さえている写真や、「ほらみろ」とキャプションが書かれていた写真もあった。

「この人たちは精神も心も病んでいる」とマカードルさんは話した。

カーク氏が創設した若者の保守系団体「ターニング・ポイントUSA」は3500以上のキャンパスで活動し、同氏の影響力は各地の大学全体に広がっていた。同氏は若い世代にとって、聴衆の前で学生と討論する著名人だった。リベラル派の若者と議論を戦わせるオンライン動画は数百万回閲覧された。

カーク氏の理不尽な殺害はいまや、新型コロナウイルス流行やガザでの戦争で分断した学生の会話の中心を占める。銃撃事件を受け、キャンパスでの講演者の安全確保がにわかに課題として浮上し、分断が深まる一方で、和解を呼びかける声も上がる。

カーク氏が創設したターニング・ポイントUSAは3500以上のキャンパスで活動しており、ボカラトンのフロリダ・アトランティック大学もその一つ

南カリフォルニア大学で民主党支持の学生団体「カレッジ・デモクラット」を率いる3年生のパトリック・ダンさんは、カーク氏が撃たれるシーンを自身も仲間の多くも見ており、ともに恐怖を感じたと話す。

「至近距離で人が撃たれて、命が消えていくのを目の当たりにするのは衝撃的だ」とダンさんは述べた。「この世代に深い傷を残し、われわれに大きな影響を及ぼすだろう」

ダンさんは、カーク氏の死を一種の正義とみなすグループはあるとした上で、実際は少数派でソーシャルメディアによって誇張されていると考えている。「この暴力を止めるべきという点で人々は一致している。チャーリー・カーク氏の政治的立場には同意できなくても、彼は人であり、夫であり、父親だった」

ノースウェスタン大学のカレッジ・リパブリカンのリーダー、ハンター・グレイシーさんは、カーク氏が講演中に銃弾が命中するところをライブストリームで見ていた。数時間後にグレイシーさんがチャットグループ「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を開くと、カーク氏を批判する投稿が流れてきた。「MAGAトロールのチャーリー・カークが講演中に撃たれた」という書き込みもあった。

グレイシーさんはチャットから退出した。「もう(チャットルームには)戻らない」

デューク大学カレッジ・リパブリカンの主催者ザンダー・ピトラスさんは、進歩派の学生たちのソーシャルメディアへの投稿を見て、共感の欠如に嫌悪と失望を覚えたと述べた。「あまりにひどい。右派と左派の溝を埋められる気がしない」  一方で歩み寄りの兆しもある。イエール大学では、両党それぞれの学生団体のリーダーが殺害を非難するエッセーを共同で執筆。「われわれは多くの問題で意見が異なる。だが次の一点では一致している。それは政治的暴力は絶対に間違っており、米国社会にあってはならない、という点だ」と書かれていた。

カーク氏の殺害後ユタバレー大学に貼られた紙片には、「暴力は決して答えではない」と書かれている

イエール大学カレッジ・デモクラットのリーダーで4年生のクリスチャン・トーマスさんは、これまで以上に力を入れて、銃による暴力を防ぐために党派を超えて協力する方法を模索していくと述べた。

一部の学生や教員は、カーク氏殺害を非難しつつ、引き続き同氏を批判している。  「チャーリー・カーク氏を死後に言論の自由の英雄として称賛するのは、見るに堪えない」。ジョンズ・ホプキンス大学のドゥルー・ダニエル教授はこう述べた。「彼の組織が運営するウェブサイトがもたらしたのは、教授への脅しと嫌がらせだ。本当に言論に関心があるなら、そんなことはしないはずだ」

カーク氏が運営していたウェブサイト「プロフェッサー・ウオッチリスト(Professor Watchlist)」にはダニエル氏の名前がある。サイトには数百人が「過激な教授」として掲載されている。ダニエル氏はパレスチナ人への連帯を示すため、米イスラム関係評議会(CAIR)の書簡に署名したことで、2023年にリストに追加された。同サイトはダニエル氏に「テロ支持者」と「反ユダヤ主義」のタグを付けている。

カーク氏銃撃を受け、キャンパス内で講演者をどう守るかという議論が広がっている。

「これをきっかけに、大学キャンパスに関する考え方は次元が変わるだろう」。学生生活を監督する大学職員の組織「高等教育学生支援管理会(SAAHE)」のケビン・クルガー名誉会長はこう述べた。「全国規模の講演者を迎え入れる準備が果たしてできているのか」  ホフストラ大学カレッジ・リパブリカンのリーダーを務める2年生のキム・モンテシノスさんは、カーク氏の追悼集会を計画している。この集会を含め、今後のカレッジ・リパブリカンの全会合に警備員を置くようすでに手配した。