ADHDの特性を幼児期~成人期まで細かく解説! 大人のADHD簡易チェックリストも!

困った行動はなぜ? 誰に相談する? 治療すればよくなる? この先どうなる?

イラスト図解で基礎からわかるADHD入門書『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より、連載形式でADHDの「今」をご紹介します。今回はADHDの特性がどのように現れるのか、幼児期・学童期・青年・成人期に分けて解説します。

【前編】「落ち着きがないのは甘やかされたせい」「大声で厳しく叱るほうが伝わりやすい」ADHDの“今”を〇×チェックで正しく知る

幼児期:2歳ごろから「多動」が頻繁にみられる, 気持ちのコントロールができずに起こる「衝動性」, 学童期:多動とともに「もの忘れ」などが目立つ, 青年・成人期:「不注意」は大人になっても残りやすい, 大人のADHD・簡易チェック

幼児期:2歳ごろから「多動」が頻繁にみられる

一般にADHDの特性である多動性や衝動性に気づくのは、2~3歳ごろです。とくに保育園などで集団生活がはじまると、特性が顕著に現れるようになります。

また、「ことばの遅れ」も重要なサインの1つです。のちにADHDと診断された子どもは、1歳半の時点で「欲しいものを示すときにことばや音声を発しない」「一語以上しゃべらない」「二語文をしゃべらない」などがあったと報告されています。

乳児期の「長時間泣きやまない」「カンが強い」などの傾向も、ADHDのサインだと考えられています。

■幼児期にみられる多動行動の推移

グラフは1万5468人の子どもを対象に、カナダでおこなわれた追跡調査です。2歳の時点で、多動行動の年齢変化のパターンは4つの群に分けられます。2歳の時点で多動行動が多く、成長とともにその傾向が強くなるグループは、ADHDの可能性が高いと考えられています。

幼児期:2歳ごろから「多動」が頻繁にみられる, 気持ちのコントロールができずに起こる「衝動性」, 学童期:多動とともに「もの忘れ」などが目立つ, 青年・成人期:「不注意」は大人になっても残りやすい, 大人のADHD・簡易チェック

『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より

気持ちのコントロールができずに起こる「衝動性」

多動性や衝動性が頻繁に現れるようになると、ケガや事故も起こりやすくなります。

■ADHDのサイン

・走り回ったり、家具によじ登ったりする

・かんしゃくを起こす

・夜泣きが多い

・カンが強い

・突然走り出す

・順番を待てない

・おしゃべりが止まらない

・集団行動ができない など

学童期:多動とともに「もの忘れ」などが目立つ

小学校では、保育園や幼稚園以上に、時間割やルールにそった行動、目標達成に向けた集団活動が強く求められるようになります。

たとえば、チャイムが鳴ったら、それまでの活動は中断し、次の活動に移らなければなりません。しかし、ADHDの子どもは、このような切り替えが苦手です。

幼児期:2歳ごろから「多動」が頻繁にみられる, 気持ちのコントロールができずに起こる「衝動性」, 学童期:多動とともに「もの忘れ」などが目立つ, 青年・成人期:「不注意」は大人になっても残りやすい, 大人のADHD・簡易チェック

Photo by iStock

また、行動や感情のコントロールがうまくできないこともあります。そのため「歩きたい、しゃべりたい」と思ったら、即行動に移してしまいます。さらに、友だちとのやりとりのなかで衝動的になったり、ケンカになったり、逆にそうした言動からいじめの対象になったりすることもあります。「ワーキングメモリー」の機能低下による問題も増えてきます。見聞きした情報を一時的に保存する機能がうまく使えないので、忘れ物や宿題忘れなどが目立つようになります。

■集団行動を求められる場面が増える

多動性・衝動性をもつADHDの子どもにとって、時間割やルールにそった集団行動には、多くの困難が伴います。

・気が散って、座っていられない

・授業中、左右前後の子どもに頻繁に話しかける

・順番を待つことができない

・がまんして待つことができない

■忘れ物、宿題忘れなどが目立つようになる

学校生活では準備すべき持ち物や宿題などが増えてきます。ADHDで不注意などの特性があると、自力で対応するのは難しくなります。

・持ち物や宿題を忘れる

・気が散りやすく、指示を聞き逃す

・テスト中に居眠りをする

・問題の最初だけ読んで解答する

青年・成人期:「不注意」は大人になっても残りやすい

かつてADHDは子どもの障害と考えられていました。しかし、根本的な原因は脳機能の偏りであることがわかってきました。

こうした特性は、軽快することはあっても完全に治すことはできません。生涯にわたって、その特性が続いていくこともあります。

症状が軽度の場合では、大人になってはじめて気づくケースもあります。日本の調査では、大人のADHDの有病率は2.09%と報告されています。また男女比は1.6対1と、子どものころに比べて女性の比率が高くなります。

一般に大人のADHDでは、多動性や衝動性は目立たなくなることが多いようです。一方で、問題になりやすいのが不注意です。仕事を段取りよく進められない、書類をなくすといった症状が起こり、失敗続きで自尊感情がそこなわれると、うつなどの二次障害を招くこともあります。

■ADHDの特性別の経過

グラフは、ADHDの3つの特性が、症状の程度(1~3)によって、年齢とともにどのように変化するか、その軽快率を調べたものです。

幼児期:2歳ごろから「多動」が頻繁にみられる, 気持ちのコントロールができずに起こる「衝動性」, 学童期:多動とともに「もの忘れ」などが目立つ, 青年・成人期:「不注意」は大人になっても残りやすい, 大人のADHD・簡易チェック

『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より

大人のADHD・簡易チェック

大人のADHDの診断でもDSM-5の診断基準を用いますが、大人の状況にそぐわない部分もあるため、このような簡易チェックリストを同時に用いることがよくあります。

下記の27項目のうち、11項目以上あてはまる場合は、ADHDである可能性が高いと考えられます。

幼児期:2歳ごろから「多動」が頻繁にみられる, 気持ちのコントロールができずに起こる「衝動性」, 学童期:多動とともに「もの忘れ」などが目立つ, 青年・成人期:「不注意」は大人になっても残りやすい, 大人のADHD・簡易チェック

『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より