実はドイツの生活保護”市民金”の受給者に一番多い名前は「モハメッド」だった! 90万人のウクライナ難民が働かず、ドイツ人の税金で暮らす異常な現実
市民金にただ乗りしている人たちの実態
7月の初め、AfD(ドイツのための選択肢)が政府に対し、「市民金」を受領している人はどんな名前が多いかという質問を出した。なぜ、こんな奇妙な質問を出したかというと、現在、ドイツ国籍は簡単に取れるようになっているので、国籍を聞いただけでは移民系かどうかがわからないからだ。しかし、名前には色濃く出自が表れる。AfDとしては、市民金にただ乗りしている人たちの実態を、どうにかして炙り出したいと思っている。
市民金というのは、社民党の前ショルツ政権が23年1月から導入した制度で、簡単に言えば生活保護と失業保険が一緒になったものだ。しかもこれは、ドイツで在留許可を持つ人でお金がなければ誰でも申請でき、就労可能かどうかも問われない。つまり、健康だが単に働きたくないという人でも、申請すれば当面は貰える。その他、家賃は全額補助、暖房費や通信費にも補助がつき、さらに子供手当もあるので、子沢山なら低賃金であくせく働くのがバカバカしくなりそうな、誠に寛大な福祉制度だ。
当然のことながら、自分たちの納めた血税がこのように使われていることに、多くの国民は納得していないが、前労働相は、24年からその額をさらに12%も値上げして、国民の神経を逆撫でした(市民金については、拙著『移民難民 ドイツからの警鐘 たった10年で様変わりしたヨーロッパ』で詳述しているので、ご参照下さい)。

Photo by gettyimages
現在、政権は社民党からキリスト教民主同盟に移ったが、選挙前、「市民金は見直す!」と言っていたメルツ党首(現首相)は、今ではそんな話はすっかり忘れてしまったらしい。ちなみに氏は、政権奪取後にほとんど全ての公約を破ったという稀な首相である。
さて、労働省によれば、市民金受領者で一番多い名前は“ミヒャエル“で、続いて、“アレクサンダー”、“トーマス”、“ダニエル”だった。どれも典型的なドイツ人の名前だったので、私はなんとなく「?」。
ところが、まもなく独立系のメディアのいくつかが、実は、一番多い名前は“モハメッド”だったとすっぱ抜いた。モハメッドは、日本でもムハンマドだったりするが、アルファベット表記のヴァリエーションはひときわ豊富で、市民金受領者が登録していた“モハメッド”由来のスペルは19種類もあったという。しかし、労働省はそれらを皆、違う名前として数えたので50位にも入らなかった。なお、表記統一後、2番目に多かった名前は“ミヒャエル”、3位が“アハメット”。
働かないウクライナ難民の実態
昨今では、ドイツ政府や公共メディアが、市民金の実態に煙幕をかけようとしても、なかなかうまくいかない。それは、誹謗中傷の対象とされているAfDが、真剣に政府の仕事を監視しているおかげでもある。市民金に関しても、彼らは労働省から次のような回答を引き出している。
〇昨年24年の市民金に関する出費は469億ユーロで、前年比20億ユーロ増。
〇受領者のうち、ドイツ国籍保持者が52.6%で、外国人が47.4%(注・ドイツを含む二重国籍の保持者はドイツ人としてカウントされている)。
〇受領者の総数は542万人で、うち就業可能な人が約400万人。
〇受領者で一番多いのがウクライナ人の90万人で、受領額は63億ユーロと最高。

Photo by gettyimages
ウクライナ人はドイツでは、申請なしで自動的に難民として認められる。同じヨーロッパ人という意識があるためか、他の難民とは別格なのだ。それもあり、現在120万人がドイツにいるが、そのうちの20万人は成年男子だと言われている。何らかの理由で、兵役不能という証明を受けている人たちである。
いずれにせよ、ウクライナ人は正式な滞在許可があるので、市民金を受領できる。そして、120万のうち90万人が就労せず、市民金で暮らしているという。ドイツ以外の国に避難したウクライナ人の就労率と比べると、ドイツにおけるそれは格段低い。しかし、ドイツ政府は今まで、これらを問題視することはなかった。
ただ、多くのドイツ国民はこの事実にショックを受けた。ロシアの侵攻以来、彼らはウクライナを懸命に支援してきた。それは、政府レベルの武器供与や資金援助だけではなく、空いている自宅の部屋を母子に開放してあげるなど、民間レベルの支援でもあった。ところが、そのウクライナ難民の4分の3の人たちが働かず、ドイツ人の税金で暮らしていると聞けば、いくら寛大なドイツ人でも納得はできない。
しかも、今では、ウクライナの全土が戦場になっているわけではないことは、広く知られている。それどころか、ウクライナ人の多くが、時々休暇と称してウクライナに里帰りしていることも、ネットの世界ではしばしば報じられていた。
故郷では、戦時下といえども、彼らの父母や親戚が多かれ少なかれ普通に暮らしているらしい。そして、多くの場合、その人たちの元に市民金の一部が送金されている。
ウクライナの平均月収はドイツの10分の1だ。もちろんこれまでもウクライナからの出稼ぎ労働者は、ドイツで得た収入で母国の家族を養っていたが、それとこれとは話が違う。市民金は、ドイツ人の血税で捻出された福祉のためのお金だ。
市民金の流出は何もウクライナに限った話ではない。中東からもアフリカからも、皆が市民金を目指してドイツに集まってくる。つまり、市民金はまさしく難民を引きつける磁石になっているというのが、AfDの主張だ。
ドイツの景気は、今、急速に冷え込んでいる。だから、今後、失業者が増え、「市民金」の真の受領者が増えていく可能性が高い。しかし、納税者が減って、誰が市民金を支えるのか? このままでは、市民金だけでなく、年金も、医療保険も、崩壊してしまう。
医療保険会社が反旗を翻す
そうするうちに、9月になって、まず、医療保険会社が反旗を翻した。ドイツは国民皆保険の国なので、全員が医療保険に入っている。市民金の受領者も、保険料は支払っていないが、同じく法定健康保険に組み込まれている。
9月初め、その法定保険を提供している保険会社が共同で、政府を相手に訴訟を起こした。市民金受領者の医療費をカバーするために、その他の人たちの保険料をこれ以上値上げするわけにはいかないとして、国家に100億ユーロの補助を要求したのだ。
ドイツでは分娩費は無料だし、未成年(18歳以下)は、医療も予防接種も、さらには避妊用ピル(これは22歳まで)も全て無料。また、成人の一般医療も、保険でカバーされる範囲が結構広い。

Photo by gettyimages
その代わり、毎月納める保険料はかなり高額だ。収入が少なければ少額で済むが、一定以上の収入のある人、特に雇用者に半額負担してもらうことのできない自営業の人にとっては、大きな負担となっている。
しかも、ドイツの場合、一部のお金持ちは法定保険ではなく、プライベートの健康保険に入っていることが多く(その方が高額医療が受けられたり、病院で担当医を選べたり、要するに待遇がよいから)、一生懸命働いて、法定保険の掛け金を払っている人たちにとっては、非常に不公平な状態となっている。
その上、今回、もし、保険会社が裁判に勝ち、保険料の値上げが抑えられたとしても、補填分の財源はどのみち税金になるのだから、結局、国民負担であることには変わりない。なんだか絶望的な状況だ。
AfDが市民金の修正案を要求するもすべて拒絶
社会福祉というものは、一定の条件下でしか機能しない。例えば生活保護で支給される額は、労働で得られる賃金との間に明らかな差がなければ、皆が勤労意欲をなくすだけだ。年金も医療保険も同様で、働いている人が皆で払って、老人や病人を助け合うのが本来の目的なのに、一度も保険料を納めたことのない人たちがこのお金をどんどん使えば、システム自体が破綻する。
そこで、AfDが政府に要求しているのは、一度もドイツで働いたことのない外国人に、市民金を支給するのはやめようということだ。本当に働けない人への生活支援は続けるが、しかし、その場合も、現金ではなく、基本的に現物支給とクーポンにして、外国送金を防ぐ。すでにドイツで就労し、現在、たまたま失業している外国人はその限りではない。
要するに、具体的な修正案であるが、しかし、AfDの提案はすべて拒絶するのが現在のドイツ政治の原則なので、今のところ検討される見込みはない。だからといって、政府に良い代替策があるわけでもなく、八方塞がりの状態だ。

Photo by gettyimages
ただ、国民は急速に目覚めつつある。自分たちの富は、外国人にではなく、政府に盗まれているのではないかと思い始めている。
9月17日の世論調査では、AfDはキリスト教民主/社会同盟と、同率首位に並んだ。調査会社によっては、AfDの支持率の方が高くなっているものもある。しかし政府は国民の意向など無視。AfDがどうしても潰れないなら、政党自体を禁止してしまおうと躍起になっている。これが彼らの「民主主義の防衛」である。
9月、イギリスやフランスの国民が政府に抵抗して立ち上がった。両国の破綻した外国人政策も、国民が不満を募らせている大きな原因の一つだ。ドイツ国民もこれに続き、抗議の声を上げ始める日が近いような気がする。