「中国人観光客」に日本の"魅力・欠点"聞いてみた

在職中は海外旅行を禁じられていた元公務員が訪日, 反日感情についての報道もあったが…, 30代の中国人カップルが語った“日本の魅力”, 10月1日、横浜中華街に響いた中国国歌, 旅行で感じた日本の「不便な点」とは?, 巣鴨で邂逅した中国人トリオに話し掛けてみた

「国慶節」が始まる10月1日はいわゆる“建国記念日”で、1949年に「新中国」が成立した日を祝う。写真は10月1日に開かれた横浜華僑総会の国慶節イベント(写真:取材協力者提供)

10月1日、中国の大型連休である「国慶節」が始まった。海外旅行先で人気1位なのは日本のようで、多くの中国人観光客が訪日する様子が、さまざまなメディアで報じられている。

【画像】30代の「中国人カップル」が大絶賛した石川県の温泉旅館。「本物の日本のおもてなしを体験した」と語る

偶然にも、この日は東京都の「都民の日」でもあった。都内の公園や水族館は入園料が無料となり、その情報は中国のSNSでも広まっていた。上野動物園には大勢の中国人観光客が詰めかけ、「無料で東京のパンダを観た!」という投稿がウィーチャット(WeChat)に飛び交っていたのを筆者も目にした。

中国人観光客が日本のどこに魅力を感じて訪れているのかは人それぞれだが、その答えの多様さこそが、日本の旅をいっそう個性的で豊かなものにしている。

在職中は海外旅行を禁じられていた元公務員が訪日

故郷の50代の女性友人が、今年定年退職し、9月末に同年代の仲間たちと初めて日本を訪れた。彼女は公務員だったため、在職中は規定で海外旅行が禁じられていた。

退職後すぐにパスポートを取得し、最初の海外旅行先として選んだのは日本。近くて費用も安い。旅行会社が旅程を整え、格安航空会社を利用して6日間の費用は5000元(約10万円)だった。

今回の旅行は大半がバス移動で、ガイドさんは「6日間で日本の14都道府県を横断した」と胸を張った。しかし実際には、観光はどれも表面的で、電車や地下鉄に乗る機会すらなかった。

【画像8枚】30代の中国人カップルが訪れた日本の観光地の数々。川越で抹茶を楽しみ、山梨ではほうとうに舌鼓を打った。白川郷の豪華料理も!

さらに、出発前には「東京のホテルに泊まる」と説明されていたが、着いてみれば宿泊先は千葉県木更津のホテルだった。なぜ東京ではなく千葉なのかと尋ねると、ガイドさんは「東京も千葉も同じ関東地方で、大差はない」と曖昧に答えるだけだった。

それでも友人は笑顔で言った。

「初めて国慶節を日本で過ごせてよかった。日本は本当にいい国だ。次は自由旅行で、自分の行きたい場所を、自分のペースで巡りたい」

彼女が最も感心していたのは、日本の衛生環境だった。道路やトイレ、車両に至るまで隅々まで清潔で、路上にゴミをほとんど見かけない。大型タンクローリーでさえ驚くほどきれいだという。

「この点は本当に、中国人にはなかなか真似できない」と彼女は率直に語った。

「日本では買い物や食品の安全に関して、まったく警戒せずに済む。デパートでも小さな店でも偽物に当たる心配がない。これは日本の大きな強みだ」

彼女たちの旅は質素で、ユニクロやドラッグストアで少し買い物をした程度だった。かつての「爆買い」は、すでに遠い昔の話に思えた。

友人にとって、この国慶節の日本旅行は、息子夫婦への炊事から解放される、小さな自由と安らぎの時間でもあった。

反日感情についての報道もあったが…

在職中は海外旅行を禁じられていた元公務員が訪日, 反日感情についての報道もあったが…, 30代の中国人カップルが語った“日本の魅力”, 10月1日、横浜中華街に響いた中国国歌, 旅行で感じた日本の「不便な点」とは?, 巣鴨で邂逅した中国人トリオに話し掛けてみた

北京の友人カップルは川越など、さまざまな日本の観光地を巡った(写真:取材協力者提供)

北京の友人カップル、Yさん(30代・女性)とLさん(30代・男性)は、国慶節の休暇を利用して9月末に来日した。事前に練り上げた計画のもと、十数日間を存分に楽しむ、粋な旅となった。

2人は東京、埼玉、山梨、石川、岐阜など、多彩な地域を巡り歩いた。計画性と好奇心が織りなす旅は、多くの発見に満ち、忘れがたい経験となったようだ。

「最近、日本のメディアは中国人の反日感情を強調する。だからこそ日本人は、中国人が日本を旅行先の第一候補にすることを不思議に思うかもしれない。私たちの答えは単純だ。戦争映画は映画であり、愛国心はたしかにある。だがそれは休暇に日本を選ぶことを妨げない。日本のサービスは素晴らしく、環境も美しいからだ」

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山梨県の名物料理・ほうとう(写真:取材協力者提供)

30代の中国人カップルが語った“日本の魅力”

2人は「小江戸」と呼ばれる川越で茶道を体験し、上野動物園でパンダを見学、山中湖では名物のほうとうを味わい、美しい景色を堪能した。

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川越で抹茶を体験(写真:取材協力者提供)

最も印象に残ったのは岐阜県の白川郷だった。

「まるでヨーロッパにいるような不思議な感覚。ここに立つと、世界遺産の包容力を感じる。どこでもヨーロッパからの観光客を見かけ、世界中から観光客が集まり、自然と建築の美を共に味わっているからだ」と2人は語る。

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白川郷(写真:取材協力者提供)

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白川郷で食べた豪華料理(写真:取材協力者提供)

もう1つ、強く勧めてくれたのは石川県小松市にある老舗温泉旅館「法師」だ。1300年の歴史をもち、仏教と深い縁を持つ宿だ。仏教に造詣の深い日本人の友人から勧められ、評判を聞いて宿泊したという。

「あそこでこそ本物の日本のおもてなしを体験した。景色も温泉も料理も、そしてサービスも、すべてが最高だった」と2人は満足げに絶賛した。

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石川県小松市にある老舗温泉旅館「法師」(写真:取材協力者提供)

10月1日、横浜中華街に響いた中国国歌

10月1日の国慶節、北京で帰国華僑関連の仕事をするYさんは、横浜華僑総会主催の国慶節パレードに招かれた。

横浜中華街は赤一色に染まり、多くの人で賑わっていた。参加者たちは歓声を上げ、「中日友好万歳」「中華人民共和国万歳」と2つのスローガンを力強く叫んだ。行列にはさまざまな文化芸術団体が参加し、地元の華人ダンスチームは民族色豊かな扇子舞を披露して、観客から大きな拍手を受けていた。

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10月1日横浜華僑総会の国慶節イベント(写真:取材協力者提供)

YさんとLさんはこの光景を見て、今回の日本旅行が実り多いものだと感じた。日本の伝統文化に触れながら、国慶節ならではの特別な雰囲気を存分に味わうことができたのだ。

筆者はふと思い出したことがある。

中国の「抗日戦争勝利記念日」の9月3日を前に、在中国日本大使館は在留邦人に対し、「周囲に聞こえる声量で日本語を話すのは極力控えるように」と注意を促した。

しかし、中国人観光客は国慶節に日本の街中で、大声で国歌を歌える。この対比が心に残った。

旅行で感じた日本の「不便な点」とは?

コロナ後、外国人観光客の間では、「日本の街には座る場所が少ない」という声がよく聞かれる。

東京の街中はヨーロッパやアメリカの都市に比べて、自由に座れる場所が少ない。公園やカフェをうまく利用しなければ、観光客は「休みたくても休めない」と感じてしまいがちだ。観光客の視点からすれば、ベンチの少なさが「休憩しづらい都市」という印象につながる。

先月、東京を個人旅行していた知り合いの中国人大学生のSさんが、日本の道に慣れないまま歩き回っているうちに、いつの間にか2時間が経っていた。ようやく駅にたどり着いたものの、疲労困憊で駅の階段に腰を下ろした。

すると、怒った様子の日本人が近づき、「お前、何をしているんだ。ここに勝手に座ってはいけない」と叱られ、「私はマナー違反のつもりはなかった……」、Sさんは非常に気まずい思いをした。

先述のYさんとLさんは、街を歩いて疲れた時はマクドナルドでひと休みするらしい。日本のマクドナルドでは、コーヒーとハンバーガーがそれぞれ100円代で購入でき、中国よりも安いそうだ。

巣鴨で邂逅した中国人トリオに話し掛けてみた

10月1日、筆者は東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街を訪れた。ここではよく外国人と遭遇する。その日も中国語を話す女性2人と男性1人の3人組が、蕎麦店の前に並んでいるのを見かけた。思わず声をかけると、彼らは同僚でIT企業に勤めているという。

「なぜ巣鴨に来たのか」と尋ねると、「ネットで調べたら、ここはお年寄りの街と聞いていた。でも美味しいものがたくさんある。この蕎麦店の蕎麦も名物だと分かった」と話す。

さらに、「塩大福やアイスクリームも美味しい」「日本一の赤いパンツも売っている。今年は私の厄年なので、赤パンツを買おうと思っている」と、1人の女性が楽しそうに教えてくれた。

「旅行で感じた日本の欠点がある?」と聞いたら、「現金のみの店はまだ多いね。電子決済に慣れた私たちは、現金を数えるのに非常に不慣れだ。そもそも現金を持っていない場合もある」「電子決済を導入すると、店舗側がちょっと高い手数料を負担すると聞いた。中国のキャッシュレス決済手数料は日本より安い。日本政府の政策は時代に遅れているように感じる」と3人が率直に教えてくれた。

国慶節に来日する中国人は、純粋に旅の楽しさを満喫している。日本の長所を語る時も、短所に触れる時も、彼らはどこか「親日」的な印象を受けた。その眼差しは優しい。

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