「ヤン坊マー坊」のキャラクターが大幅に“モデルチェンジ”していた! その理由を担当者に聞く

「ぼくの名前はヤン坊、ぼくの名前はマー坊♪」のフレーズでおなじみ、ヤン坊マー坊のキャラクターといえば、Tシャツに半ズボンの丸みをおびたかわいらしい双子の男の子……が思い浮かぶ方も多いのでは? エンジンや農機、建機などの製造販売をはじめ、多角的に事業を展開するヤンマーの企業キャラクター、ヤン坊マー坊のデザインが、昨年“大幅”に変わりました。キャラクターリニューアルの経緯などについて、ヤンマーホールディングス株式会社マーケティング部コーポレートブランド室の久保恵梨奈さんに聞きました。
■誕生して66年、姿を変えてきた「ヤン坊マー坊」
ヤン坊マー坊は、1959年にテレビ放送を始めた「ヤン坊マー坊天気予報」のキャラクターとして誕生しました。そもそもヤンマーが長年、天気予報番組を制作していたのは「ヤンマーの事業と関わりの深い、農業・漁業を営む方々に対して役立つ情報を届けるため」だったと語る久保さん。かわいい双子とキャッチーな歌には、農機やエンジンといったハードを扱う堅い企業のイメージを払拭し、親しみを感じてほしいという想いも込められていたといいます。
そのヤン坊マー坊、実はこれまでもたびたび顔や頭身のデザインが変わっています。「双子の兄弟」の設定は変わらず、時代にふさわしいテイストを盛り込みながらリニューアルを繰り返してきたのです。
モノクロTVに出演していた頃の1代目(1959年)と2代目(1964年)のヤン坊マー坊は、まだ白黒の姿でした。1代目はスリムで大人っぽく、2代目は2頭身のかわいいデザイン。3代目(1988年)からカラー、そして2.5頭身の体型になり、多くの人がイメージするヤン坊マー坊の原型ができた印象です。その後、坊ちゃん刈りとつぶらな瞳は引き継がれながらも、子どもらしい生き生きとした表情になったり、白目ができたりと、少しずつ変化。8代目(2019年)にはCG化された立体的なデザインになって、だいぶ様変わりしました。
そして2023年、ヤンマーはさらなる変革を決断します。
「2014年に天気予報番組の提供を終了し、最近では“天気予報のヤン坊マー坊”を知らない世代も増えてきました。またヤンマーでは近年、TVアニメ『未ル わたしのみらい』の製作など、新たな挑戦を通じて、特に若い世代にヤンマーの目指すビジョンや未来に向けたメッセージを発信しています。これらの変化をふまえて『心を動かし、未来を動かす』をコンセプトとして、キャラクターのリニューアルを決めました」
■7万6568票集まった投票の結果は?
ヤン坊マー坊はいち企業キャラクターでありながら、歴史が深く、多くの方に愛されてきました。そこで、新デザインはヤン坊マー坊を愛してくれている多くの方と一緒に決めようと、国内にとどまらず、グローバルで一般投票を行いました。デザイン3案は、社外のクリエイターと社内のデザイン部が協力して作成。2023年11月から12月にかけて行われた投票は、SNSでも話題に。若い世代からお年寄りまで、国内外から幅広い年代の人たちが投票を行い、総得票数は7万6568票にまで達したといいます。

その結果、半数以上の支持を集めて現デザインが選ばれ、2024年1月に9代目ヤン坊マー坊が誕生! 身長もぐぐっと伸びて服装もスタイリッシュに、見た目は“現代風”になりました。
「投票というプロセスを通じて、“みんなで一緒に未来を動かす”こと、その象徴としてヤン坊マー坊がいるのだと感じられたのが良かったです。これまでのヤン坊マー坊たちと共に、新ヤン坊マー坊も愛していただけるよう、イベントでの活用やグッズ展開など、さらに活躍の幅を広げていく予定です」

■挑戦する気持ちは、幅広い体験機会から
アニメ製作、ヤン坊マー坊のリニューアルと、新たな挑戦が続くヤンマー。近年は「若い世代の方たちとも、さまざまな接点を築いてきた」と話す久保さん。
食事業として手がけるレストランやカフェ、SDGsへの取り組み、またTikTokをはじめとするSNSでの積極的な情報発信……。これらの多様な接点を通じて、“農機やエンジンのヤンマー”というイメージのみにとらわれず、若い世代にヤンマーの存在が知られているのです。
「マイナビ・日経 2026年卒大学生就職企業人気ランキング」の理系総合ランキングは前年の345位から58位に躍進したのも、こうした多面的な取り組みが重なった結果ではないかと、久保さんはいいます。
そして、これらの活動を通じて、若い世代に向けて“未来を自分たちの手で動かしていくこと”の大切さを伝えたいといいます。
「答えがない時代と言われる昨今、子どもたちを含めたこれからの社会を生きていく若い世代には、先が見えなくても、困難に直面しても、それを乗り越えてチャレンジしていく姿勢が一層求められるのではないでしょうか。
未来を担う人たちの『これをやってみたい』『これに挑戦したい』といった気持ちをサポートする存在になっていきたいです」
(取材・文/塚田智恵美)