トランプ大統領の交通規制でNYは大混乱! 石破総理やマクロンも足止めされた国連総会の舞台裏

石破総理はトランプ大統領の交通規制に引っかかった後、予定通りニューヨーク市内のレストランで日本食に関するイベントに出席した
交通規制に、意外な人物たちが引っかかる事態に…
9月23日、80回目となる国連総会一般討論演説がニューヨークの国連本部で始まった。
一般討論演説は国連に加盟する193ヵ国の大統領などの首脳級が出席するため、毎年ニューヨークの国連本部をはじめ、ジョン・F・ケネディ国際空港などの主要空港やマンハッタン中心部の高級ホテル周辺では大規模な交通規制が敷かれ、市民たちは今年もまたUNウィークが始まるのかとうんざりした表情で生活を送っている。
ハイウェイなどあちこちにマイカー等使用自粛や迂回についての広報を行っていたが、効果はむなしく、交通渋滞があちこちで発生していた。国連本部周辺道路の一部には「U.N.ウェイ」という道路上にパイロンが立てられた車線が登場し、要人車列や緊急車両はそこを通ることになる。
そんな中、トランプ大統領夫妻が国連総会出席のため9月22日夜、ウォールストリートに位置するヘリポートに降り立った。当初の到着予定時間よりも2時間ほど遅れてニューヨーク入りし、自宅であるトランプタワーに到着した。
しかしこのトランプ大統領の遅れにより、ある首脳が交通規制に引っかかる羽目になった。それはフランスのマクロン大統領だ。マクロン大統領は国連での会合出席後、フランス領事館へ向かうため車列が出発したが、国連本部から数分ほどの交差点で交通規制に引っかかった。大統領は降車し、徒歩で規制されている交差点へ向かい警察官と直談判したが車列は通れない。
そこでマクロン大統領はトランプ大統領に「あなたが通る交通規制の影響で足止めされてしまった」と電話をかけた。だが、それでも状況は改善せず、車列は通ることができなかったため、マクロン大統領は警護員や随行員などを従え30分ほど歩いてフランス領事館へ赴いたという。
トランプ大統領の規制に引っかかったのはマクロン大統領だけではなかった。翌23日には国連本部を出て徒歩で移動することになったトルコのエルドアン大統領もしかめっ面で、やはり30分ほど待たされたという。さらに意外な人物もまた交通規制に引っかかった。それは日本の石破茂総理である。
石破総理はニューヨーク市内のレストランで行われた日本食に関するイベントに出席するため車列で移動中だったが、トランプ大統領が国連本部からトランプタワーに戻る途中で交通規制に巻き込まれた。その地点から徒歩で10分ほどの場所に目的地が存在したが、石破総理一行は徒歩で移動せず、車で待機していたとみられる。
規制解除となった瞬間、日本の車列は緊急走行で目的地へ向け一般車をかき分けて走り去った。シークレットサービスなどの方針で車列は基本的にノンストップで走行するため、米国内では普段からこのような措置となっている。
この規制ではホワイトハウスのチ―フフォトグラファー、ダニエル・トロック氏も徒歩でレセプション会場へ先回りしようとしたが規制に引っかかってしまい、警察官に交渉するも断られる場面があった。
シークレットサービスの警護官を見つけてようやく通してもらい、大統領到着前にスタンバイできていたが、誰であっても通さない鉄壁の規制が構築されている。
また、30分ほど規制されたため、しびれを切らした女性らが警官にまくし立てていたが、警官に「これが9月のニューヨークだ! あきらめろ!」と反論される場面もあった。
会場でのトラブル続出で、批判や不満がエスカレート
石破総理は同日開かれたトランプ大統領夫妻が主催する各国首脳を招いたレセプションに出席、その後国連本部に戻り一般討論演説を行った。
日本の演説の順番は初日の夜や2日目など、開会式とは大幅に離れた順になっていることが慣例であるため、聴衆者が毎度少ない時間帯に行われる。友好国と順番を替わってもらうこともできるが、特にそのようなことはしていないようだ。
一般討論演説は15分という持ち時間が決まっているが、開会式後のトランプ大統領はそれを大幅に超える1時間にわたって演説を行い、国連の批判に始まり他国批判や米国の自賛などの内容をスピーチした。
また、国連本部到着時にはロビーのエスカレーターが突然動かなくなったり、演説原稿を表示するプロンプターが故障するなどアクシデントに見舞われたため、より批判や不満はエスカレートしたとみられる。
国連での最長演説者はキューバのカストロ議長で、1960年の国連総会出席時に4時間29分という時間、演説を続けたという。
他にも長時間演説を行う首脳は何人もいたが、近年で最長だったのは’09年に演説したリビアのカダフィ大佐だ。1時間36分という時間、話し続けたという。このような演説者が続くと、後の演説者に影響が出ることになる。
石破総理は演説や記者会見を終えて翌24日午前中に帰国した。一方のトランプ大統領は23日のレセプション終了後、22時ごろにはワシントンへ戻った。’17年の第一次トランプ政権時、初の国連総会に臨んだ際は5泊滞在し、その翌年以降も4〜5泊の滞在が基本だった。
今回のほぼ1泊の日程は、会いたい要人だけに会い、国連批判を行ってワシントンへ戻るという異例の日程で幕を閉じた。今後、トランプ大統領の国連総会の出席はどうなっていくのか気になるところだ。

国連総会一般討論演説が行われる9月中旬は国連本部周辺で厳しい警備体制が敷かれている

「U.N.ウェイ」という要人車列や緊急車両が通る道路が設けられ、渋滞と関係なく走行できるが、アメリカ大統領の経路に当たると効力はゼロとなる

完全に規制された道路を進むトランプ大統領を乗せた大統領専用車、通称「ビースト」

交通規制でうんざりする人々に笑顔で手を振るトランプ大統領

岩屋外相は石破総理よりも先にニューヨーク入りし各国要人と会合を重ねた
取材・文・PHOTO:有村 拓真