5万円台「中華系航空」タイパ最悪だが大満足な訳

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

航空券5万円台「ヨーロッパ貧乏旅行」波乱の移動(筆者撮影)

現役ウーバー配達員で“肉体派ライター”の佐藤大輝氏があらゆるモノやサービスを検証。机上ではわからない「本気の現場レビュー」を届けます。第11回は中国系航空会社を利用した「ジョージア貧乏旅行(移動編)」

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態

筆者は2025年5月に東ヨーロッパのジョージアへ旅をした。

【画像を見る】ウイグル自治区、中国南方航空ってどんな感じ? 無料トランジットホテルの様子

航空券は比較検索サービス「スカイスキャナー」を使って予約した。航空会社は中国南方航空。関空を13時過ぎに出て、中国で乗り継ぎ2回(ウイグル自治区で1泊)をこなし、翌日21時過ぎに旧ソ連の構成国・東ヨーロッパのジョージア(トビリシ)に到着する。行きは片道37時間、帰りは17時間の「タイパ最悪プラン」だが、飛行機代は燃油サーチャージなど諸税込みで、なんと往復5万4581円。

中国南方航空はLCCではない。よってスーツケースの預け入れ無料。機内食も無料で提供される。さらに驚くべきことに、中国南方航空では乗り継ぎに宿泊を伴う場合など、一定の条件を満たすとトランジットホテルを無料で用意してくれる。

私はこの情報を往路では知らなかったため、中国では3700円のホテルを自腹で用意する失態を犯した。復路ではこの衝撃的な情報を偶然発見し、現地空港の受付カウンターで「今から乗り継ぎが7時間あるので仮眠したいのですが……」と伝えたところ、タクシー送迎+軽食+仮眠用ホテルを、すべて無料で用意してくれた。

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

無料の仮眠用トランジットホテル(筆者撮影)

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

中国南方航空の機内食。ビールも無料で提供される(筆者撮影)

神サービスを提供している中国南方航空。けれど中国系の航空会社に悪いイメージを抱いている日本人は、おそらく少なくないはずだ。たしかに中国系の航空会社はANAやJALと異なり、「お客様は神様」といった対応はしてくれない。機内食は流れ作業のようにテキパキと提供され、座席に液晶パネルが付いてないケースも多い。夜間フライトだろうが大声で会話する、中国人の乗客もゴロゴロいる。

しかし、だからこそと言うべきか……。CAさんから「ビーフorフィッシュ」を中国語で尋ねられたとき、私が「ニイハオ!ジャパン!」(本来なら「I am Japanese」とか「I don’t speak Chinese」とでもいうべきなのだろうが、筆者はTOEIC300点の英語力のためとっさの会話は単語しか出てこない)と答えると「ジャパニーズ? オー、ソーリー!」と笑顔で言われたときは、ギャップ効果で心がホッコリした。本場の中華の味が機内食で楽しめる点も含め、中国系の航空会社を私は推している。

準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない

大阪から新疆ウイグル自治区・ウルムチ国際空港まで約12時間の移動をこなした私は、タクシーに乗って宿泊先のホテルを目指した。20分ほどの移動で、料金は37元(800円程度)。現金でピッタリ支払った。

到着したホテルには清潔感があったが、徒歩圏内に飲食店が1軒もない。そこでホテルのロビーにある自販機で、ビールとカップラーメン(あわせて約300円程度)を購入しようと思ったのだが⋯⋯なんと現金もクレジットカードも使用不可。アリペイしか使えないというオチ。

ホテルの受付のお姉さんに泣きついたところ、お姉さんの個人用アリペイで購入 → 現金を渡すという方法で、無事に夜ご飯を確保できた。ちなみに私は現金(人民元)を4000円ほど持っていたが、細かいお金をあまり持っていなかったので、お姉さんにピッタリ支払えない。そこで多めに渡そうと思ったのだが、「小銭が足りない分は私が奢るからいいわよ」と言っていただき、100円分奢ってくれた。

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

素敵な夜ご飯(筆者撮影)

ホテルで爆睡、10時過ぎに起床した私は、21時発のフライトまで暇だったので、市内観光に繰り出そうとした。が、中国ではウーバータクシーが使えない。さらに宿泊先の周りには何もないため、タクシーが1台も通らない。どうしたものかとホテル前の道路でウロウロしていると、警備員のオッちゃんに中国語で話しかけられた。

私は「ニイハオ」と「謝謝」しか中国語を理解できないが、おそらく彼は「ここで待ってればいつかタクシーが通る」と教えてくれたのだと思う。座って待つためのパイプ椅子を用意していただき、2人で中国の音楽を聴きながら待つこと約20分。1台のタクシーが通りかかると、オッちゃんが手を振ってタクシーを止めてくれた。

タクシーには他の乗客が乗っていたが、オッちゃんの交渉により、相乗りで市内に向かうことが決まった。私は笑顔でオッちゃんにお礼を伝え、タクシーに乗り込んだ。ここから本当のトラブル、日本人だからこその試練が始まるとは知らずに……。

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

ウイグル自治区の中心都市「ウルムチ」はこんな感じ(筆者撮影)

ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情

人権侵害で国際問題になっている新疆ウイグル自治区。市内には高層ビルが数多くそびえ立っており、想像以上に大都会で驚いた。もっと田舎な感じだと勝手に思っていたのだ。

私は先客の降車を見送った後、目的地の新疆ウイグル博物館前に到着。料金は乗車前にドライバーから「相場は40元(約800円)だけど、相乗りだし30元(約600円)でいいよ」と伝えられていたので、財布に入っていた100元札を1枚渡したのだが……。

運転手:「現金? 俺は現金を持ってないからお釣りが出せないぞ」

佐 藤:「じゃあクレカで」

運転手:「クレカは使えない。アリペイはないのか?」

佐 藤:「ごめん。アリペイは持ってない」

運転手:「困ったなぁ」

※会話はすべてジェスチャーで行った。

100元札を渡して「釣りはチップで取っておいて」と言える器がなかった私はタクシーを降り、ドライバーのオッちゃんと一緒に「どなたか両替してくれませんか?」と通行人にお願いを始めた。ところがどっこい。老若男女すべての現地人から、「現金なんて持ってないよ」「この国ではもう現金なんてほとんど使わないよ」「日本ではまだ現金を使う文化が残っているの?」と驚かれ、断られる始末……。

結局、30名くらいの方に頭を下げたのだが、誰一人として満足のいく現金の額を持っていなかった。けれど捨てる神あれば拾う神あり。博物館の女性スタッフが「ここから3分くらい歩くとコンビニがある。そこでは、たしか、現金を扱っていたと思うわ」と教えてくれた。私はオッちゃんと一緒に駆け足でコンビニへ……。

15分くらいサービス残業をさせてしまい、さすがに申し訳なかったこともあり、私はオッちゃんに「飲み物を奢らせてください」と申し出た。オッちゃんは嬉しそうな顔でペットボトル(ジャスミン茶)を指差したので、私はこれをレジに持っていき、手に入れた細かいお金と共にオッちゃんに渡した。

私たちはタクシーに戻り、ハイタッチして解散。

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

新疆ウイグル博物館(オッちゃん撮影)

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

博物館の展示品。これ、どこかのジブリ映画で見たことがあるような……?(筆者撮影)

本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで

博物館には『千と千尋の神隠し』に出てくるような石像があり、「来てよかったな。入場料も無料だし」とウキウキしていたが、このとき既に昼の1時過ぎ。朝から何も食べていなかったこともあり、私は博物館の見学を早々に切り上げ、吸い込まれるように飲食店の中へ⋯⋯。

注文は身振り手振り、ジェスチャーで行った。私の体感として、中国人はあまり英語を話さない(話せない。上の世代は特に)。万里の長城を観光するため北京に宿泊したときも、ホテルの受付スタッフでさえ英語が話せなかった。とはいえ私のTOEICの点数は300点前後。英語で話されてもあまり理解できないので、言語が通じないのは慣れている。よって特に問題に感じたことは一度もない。

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

串焼きのいい匂いに釣られて入店(筆者撮影)

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

ビールを注文するか本気で迷った(筆者撮影)

食事は大満足だった。中国各地でよく見かける「牛肉面」は約200円。あっさりめのスープにパクチー的な香辛料、トッピングに牛肉が載っている。串焼きはその場で焼き立てを提供してくれ、料金は1本150円程。羊肉の串焼きは絶品で、羊のホルモンも美味しかった。

食後はフラフラと市内を散策。17時過ぎにタクシーを捕まえ、空港を目指した。市内から空港までは30分ほど。メーター料金は41元(約820円)。中国のタクシーは安いので、旅行の際は積極的に利用するのがいいだろう。

え、諸税込みで5.5万円?片道37時間フライトの実態, 準備不足の筆者。日本人顔負けの「おもてなし」に頭が上がらない, ウイグル自治区は現金使用不可? 世界のキャッシュレス事情, 本場の中華料理はリーズナブル。注文はジェスチャーで, タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

ドキドキハラハラの面白い乗り継ぎだった(筆者撮影)

タイパ最悪でも「旅人向けの神航空券」

短い時間に多種多様なイベントが起きた、今回の格安移動。真剣な話、宿泊を伴うトランジットは(フライト時間にもよるが)体力的には「楽」だと私は感じた。飛行機で座りながら寝るのと異なり、しっかりベッドで横になって寝れる分、心身共に100%の状態で活動できる。さらに現地での観光も(トラブルも)楽しめる。

一見するとタイパ最悪に見える格安航空券は、もしかしたらコスパとタイパ、どちらも最高に満足できる「旅人向けの神航空券」なのかもしれない。

〜東ヨーロッパ・ジョージアの往復移動で使ったお金〜

・往復航空券 5万4581円

・トランジットホテル 3700円

・食事や飲み物 約3000円

・現地移動費 約3000円

☆総計 約6万4000円

※トランジットホテル無料に気づいていれば往路分の3700円はかからず、6万581円だったはずだ。
*ジョージアのトビリシ国際空港に到着後、市内まで約40分、バスに乗って移動した。料金は片道100円程度だった。
【画像を見る】ウイグル自治区、中国南方航空ってどんな感じ? 本記事では紹介できなかった写真のみ掲載。ぜひこちらもご覧ください。
【その後の旅の様子はこちら】「1泊2668円でシャワートイレ付きの清潔な部屋」にまるで『魔女の宅急便』のような絶景→東ヨーロッパ貧乏旅《わずか8万円》で大満足の衝撃