「模写だけは一級品」屈辱を受けた画家が出した答えは/贋 まがいもの(6)

模写だけは一級品だったね
才能を持ちながらも、名声に背を向け売れない幽霊画を描き続ける画家・内海馨(うつみかおる)。ろくに食事せず、身なりにも頓着しない彼は、少女・撫子(なでしこ)と杏子(あんず)が住む家に居候。2人の少女からは「得体の知れないおっさん」と煙たがられていた。
母親は何ヵ月も帰ってこず働き手は内海だけだが、絵が売れないばかりに家賃を滞納し続け、ついに大家から退去勧告が…。金策尽きた彼は、3人で生きるため「一度きり」の贋作作りに手を染める――。
昭和初期の東京を舞台に、黒川裕美が描くアート×クライム『贋 まがいもの 一』をお送りします。
※本記事は黒川裕美著の書籍『贋 まがいもの 一』から一部抜粋・編集しました。

随分懐かしい絵を持ってるんだね

記念に買ってあげるよ

悔しくないの

わかってたんだ

もうやめるよ

最後に一枚くらい売れる絵でも描きなさいよ
著=黒川裕美/『贋 まがいもの 一』