「先日助けていただいた鶴です」女性に化けず鶴のままやってきた白昼堂々版「鶴の恩返し」。果たしてその目的は?【漫画家インタビュー】

「先日助けていただいた鶴です」そう言って現れた人語を操る一羽の鶴。もとになった話では女性が登場するわけですが、堂々鶴自身が尋ねてきて、この時点で何だか不穏です。はてさて、鶴の思惑とはいかに…?

今回は昔話を軸にした4コマ漫画を集めました。漫画家・イラストレーターとして活躍する雪のヤドカリ(@yukinohotel)さんが送る「癖になる文学的なオチ」を楽しんでみてください。

「先日助けていただいた鶴です」そう言って現れた人語を操る一羽の鶴。

そもそも鶴の姿で目の前に現れる時点で妙な胸騒ぎがしておりましたが、二言目に驚愕。「自分の羽根を毟って機織りするので覗かないでくださいね」と言われ、感謝された男も思わず「全部言うじゃん」と冷静ツッコミ。

そこまで言って覗かれたくないのはなぜ?という疑問を持って部屋を開けるとまさかの展開が……という4コマ漫画でした。

よく考えると、誰かに助けてもらったお礼に身を削る、という思想を人間に当てはめると、自分の肉を使って何か別のものを作り出す、というサイコホラーな展開になります。動物だけ美談になるのおかしくないですか?

雪のヤドカリさん(以下、雪のヤドカリ):その通り! 人間で例えるなら夜な夜な怪しいつみれ汁を作っているようなもの……と言いたいところですが、実はツルにも換羽(羽の生え変わり)があるので、その時に抜ける羽を使っていると考えればそんなに怖くありません。

 知っての通り人間も年に一度脱皮していますので、それ使ったポーチを作っているくらいの捉え方で問題ないかと思われます。

浜辺でウニを虐めていた子どもたちを追っ払う正義感溢れる青年。髪型を見ると、浦島太郎感が溢れています。ウニは助けてもらったお礼に「竜宮城までお乗せします」と提案。浦島太郎感溢れる青年は、「やった!憧れてたんだよなあ」と節操なく喜びます。しかし竜宮城まで連れていってもらったところで悲劇が発覚して……という話でした。

さて、物語の発生に欠かせない海辺で生物を虐めるという古から伝わる掟があるわけですが、亀やらウニやら、外殻硬めな奴が狙われがちなのはなぜでしょうか?やりがいがあるからでしょうか?いじめっ子たちに気骨があるからでしょうか。是非ヤンキーに立ち向かってほしいものですね。

雪のヤドカリ:いい質問ですね。メタ的な話になるのですが、当時の亀は人語を話せたので人間との間に諍いを引き起こしやすかったからだそうです。

自信満々で確信に満ちた兄(装いは忍者)と、迷子になって泣く妹のふたりが登場する4コマ漫画でした。「もうおうちに帰れないんだね」と悲観的な妹に対して、兄は「なぁに大丈夫!」ときりり。「目印にまきびしを撒いてきたから辿れば家に帰れるよ」と頼りがいのある様子が描かれています。お菓子を置いて歩いて森の中で迷わないようにする方式がありましたが、そのまきびしバージョン。さて、この怪しい忍者兄と妹は、無事に家に帰れるのだろうか…?

雪のヤドカリさんは、森で迷子にならないためにいつも何を撒いていますか?

雪のヤドカリ:肥料をまいています。やけに育っている植物をたどれば外に出られるという寸法です。弱点としては、動物のフンでも植物は結構育つので、5割くらいの確率で巣穴に迷い込んでしまうことです。

食費がめちゃくちゃ浮くと思って川を流れる桃を拾ってきたお婆さん。「ばあさんのそういうところ好きだなあ」とのろけにも捉えかねないワンシーンが描かれています。かと思うと、「そいや!」と手刀で一発、桃をぶち割ったお婆さん。中には丸裸の赤子がおり、臍の緒もなく、どうやら桃を齧りながら食いつないできたことが窺えます。その後の名前のつけかたの妙に考えさせられる4コマ漫画でした。

親の顔よりも見ている「桃太郎」ですが、どうも昔話には、「子宝に恵まれない老夫婦が祈って、何かしらの形で子どもに恵まれる」という話が多いような気がします。桃から赤子が生まれるというサイコパスなアイデアが、作者不詳で何となく日本中で広まり、今も受け継がれていることに恐怖すら覚えます。

雪のヤドカリさんが当時の語り部になれるとしたら、どんなヤバイ話を広めたいと思いますか?

(雪のヤドカリさんは神妙な面持ちでこう語った…)

引用----

昔々小さな島に鬼たちが暮らしていました。

ある日島にぼろぼろの木箱が流れ着きました。

箱をあけると中には人間の赤ん坊が眠っていました。

放っておくわけにもいかないので、鬼たちはその赤ん坊を育てることにしました。

みんなでかわるがわるご飯を作ったり、おしめを取り替えたりして、赤ん坊はすくすくと育ちます。

ある日青鬼はその子に言葉を教えました。

人間の世界で生きていけるように。

ある日黄鬼はその子に友達の作り方を教えました。

人間の世界で楽しく過ごせるように。

ある日赤鬼はその子に剣の振り方を教えました。

人間の世界で活躍できるように。

赤ん坊がすっかり大きくなったころ、鬼たちはその子に、島を出て人間の世界で生きるよう言いました。

ですがその子は島に残ると言ってききません。

鬼たちは困ってしまいました。

島の空気も食べ物も、本当は人間の体には合いません。

人間の世界に行った方がきっと幸せになれるのに。

鬼たちは相談して、鬼のまじないでその子を赤ん坊のころに戻しました。

島でとれた一番きれいな桃にその子を入れて、人間たちの住む里山に登って、きれいな川に流しました。

はじめから、人間の世界で生きていけるように。

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