300億円投資家・五月=片山晃さん&100億円テスタさん対談「株で大金を手にするための2つの能力」とは?

株で100億円以上も稼ぐと、人は何を思うのか。累計利益100億円のカリスマ投資家・テスタさんと、集中投資で300億円以上の利益を出した五月(ごがつ/本名は片山晃)さん。二人の天才投資家が本音で語り合った。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025秋号」から抜粋しています】
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(テスタ)僕の中で五月さんは、お会いした最初からすごい人で、そのまま、ずっとすごい人です。
(編集部)五月さんは投資で稼いだ金額などを公開していますか?
(五月)だいたいは。2025年4月末で、累計利益は200億~300億円弱ぐらいですかね。
※編集部注:この対談後の2025年5月29日、NTTドコモによる住信SBIネット銀行のTOB(株式公開買い付け)が発表された。五月さんは住信SBIネット銀行の大株主に名を連ねている。この買収により五月さんが得る利益は70億円以上となる見込みで、その結果、累計利益は300億円以上に
(テスタ)マジっすか? めっちゃくちゃ増えてますね。
(五月)自分の運用資産はこの2年で3倍ぐらいに増えました。住信SBIネット銀行への投資が大きいですね。新規上場したとき(2023年3月29日)の初値からほぼ全力(で投資)なので。
(テスタ)まだ、全力なんですね。
(五月)まあ、あれ(住信SBIネット銀行の初値の低さ)はさすがに「落ちているお金は拾え」って感じだったので。
(テスタ)五月さんは昔から集中投資ですもんね。たいていの人は資金が増えると、リスクを下げるために分散投資にする人が多いですが。今も銘柄をすごく絞るスタイルは変わらないんですか?
(五月)なるべく散らそうと思ってがんばった時期もあります。でもやっぱり全力に戻っちゃう。リスク分散をするために70点、80点の銘柄をわざわざ入れるより、今、一番の銘柄に100%集中したほうが僕の場合はいいんじゃないかと。
自分自身で運用する以外に、会社をつくって社員に運用してもらっている資金が50億円ぐらいあります。それが安全資産というかリスク分散というか。

(テスタ)株の第一線でがんばっていこうと思ったら、モチベーション(やる気。以下、モチベ)の維持が大変だと思うんです。最初は自分が食べていくために株で稼ぐところからスタートしますが、上のほうまで行けたとき、そこからどうモチベを保てばいいのか。
お金はたくさんある状態で「なんでまだ株やるの?」って。
(五月)僕もそれ、すごく考えてます。2017年頃、ものすごくうまくいった銘柄を全部利益確定して現金で140億円ぐらいになったんです。そのとき、「これからは相場でお金を動かすより、スタートアップ(上場前の未公開株)やM&A(企業の合併・買収)を中心に資金を活用しようと思いました。相場で稼ぐ意欲が落ちたんですね。
ただ、その数年後に新型コロナがやってきて、事業が赤字になり、しんどい思いをしました。2022年から再び株100%の全力でやり直している感じ。
■悔しがるための工夫
(テスタ)一度でも気持ち的にドロップアウトした人が相場の世界に戻るには、さらに大きなモチベがないと中途半端になって、結果がついてこないこともありそう。
(五月)株100%に戻すことにしたとき、僕はモチベ維持のために「悔しがるための工夫」みたいなことをしました。さっき言ってた「会社をつくって(一部資金を)社員に運用してもらう」がそれです。オフィスに20代の若い社員を集めてトレードしています。
(テスタ)一緒にトレードすると、悔しがれる?
(五月)まずね、資産がそれほどなくて「稼ぎたい」という意欲が高い若者たちって、SNSでライバルを見つけると、そのライバルの成功を悔しがるんですよ。
(テスタ)その感じ、わかる。
(五月)決してジメジメした雰囲気じゃなくて、カラッと「なんでこいつに俺は勝てないんだ〜っ」てね(笑)。で、僕はすぐそばで株をやってる若手に対して「絶対こいつらに勝ってやる」という気持ちに無理やりなることで、やる気を補充するんです。
(テスタ)僕らは株歴だいたい20年で同じですが、トレードのタイプは違いますよね。僕は値動き重視。業績や指標の分析が得意じゃないので、五月さんのように1銘柄に絞れない。「1つに絞ると外す可能性が」と考えてしまうんです。
五月さんは分析の精度がとんでもなく高いから、1銘柄にぶち込んでも相対的なリスクが普通より低い気がします。

(編集部)お二人は投資期間も違いますよね?
(テスタ)そうそう。僕も今でこそ中長期投資が増えましたが、基本的にはずっと短期売買。五月さんは長めの時間軸ですよね。
(五月)今はどんどん長期投資に寄っていってる感じですか?
(テスタ)僕が得意なのは短期のデイトレードですが、今は株以外のことにも時間を使いたいと考えるようになりました。最近また短期売買の比率を下げようと決意したことがあったんですけど。
そのきっかけは、思いっきりくしゃみをしたら脇腹のあたりが肉離れをしたから(笑)。
(五月)(爆笑)
(テスタ)もう死が近づいている実感が(笑)。株をやっていると楽しいんですが、株の取引だけして死にたくないな、と。株以外の新しい経験をしたいという気持ちが強くなってきました。
(五月)僕の経験からして、出力を落として勝ち続けるのはキツイ気もするんだけど、どうなのかな。
(テスタ)「出力を落としたらどれくらい勝ち続けられるか?」を今はテストしている感じです。3~4年前から70%ぐらいの力でやっていますが、70%でもまあまあの成績が残せる。
それがわかったら、「じゃあ60%、いや50%まで出力を落としたらどうか」と試したくなるわけです。
(五月)なるほど、なるほど。
■テレビ出演もモチベ
(テスタ)ただ、そんなことをしてたら、どこかで勝てなくなります。出力を落としすぎて勝てなくなったとき、出力を100%に戻してでも勝ちたいと思うのか、それとも株ではなく別のことをしたいと思うのか。また、とんでもない数の銘柄に分散投資したりして資産を守りたいと思うのか。
そのあたりは、勝てなくなったときの年齢と資産額、株以外でやっていることや「やりたいことのバランス」で決めればいいかな、って。
(五月)テスタさん、ずいぶん変わりましたね(笑)。以前お会いしたときは「資産が最高値の状態で死にたい」って言ってましたよ。
(テスタ)(大笑い)出力を落とすといっても、ゴルフとかポーカーとか、いかにも僕がハマりそうなことをすると株の時間が減っちゃう。やっぱり株で勝ち続けることが大前提としてあるので、株関連のジャンルで(活動を)広げています。
たとえばテレビで株系のバラエティー番組に呼ばれるためには、株で勝ち続けていなければならない。それがモチベにもなるから。

(五月)テレビでも雑誌でも、たくさん登場されてますよね。テスタさんの認知度、すごいですわ。
(テスタ)いやいや、僕以外の勝ってるトレーダーでマスコミに出る人が少ないから僕に話が来る、みたいなところもありますよ。
(五月)確かに。僕もマスコミへの出演依頼はたいてい断ります。自分の知名度を上げることが商売につながるならいいけど、投資家は知名度をアップしてもいいことなんてないから。
Xやインスタのフォロワーが増えたからって、株がうまくなるわけじゃないし。逆に、変に顔を知られることのデメリットのほうが先に立ってしまう。
(テスタ)そうですね、(マスコミに出ることで)投資家という職業上のメリットはない。
■敵にヒントを与えるな
(五月)あと、僕らみたいな古参トレーダーって「ライバルに絶対、栄養素を与えるべきではない」っていう考え方が浸透してます。
自分が雑誌やテレビで株について何かをしゃべると、誰かがその言葉を参考にして株のトレードがうまくなるかもしれない。なんで敵にヒントを与えるんだっていう。
(テスタ)僕も昔はそういうところがあったかも。今はユーチューブやXで質問が来たとき、答えられるものには答えようとします。それで、もし自分が勝てなくなってもしょうがないかって感じで。
(五月)そういう仏の境地に至っていて、本当に勝っている人ってテスタさん以外は存在しないんじゃないかな。投資界隈の有名人って一線を引いて価値が薄まった情報を発信しているだけか、ガチでトレードをして勝っていて何も言わないかのどっちかでは?
(テスタ)普通は自分の勝利法を他人に教えまくらないですよね。でも、株で「もう一生安泰」というようなお金が手に入ると、「聞かれたことに答えられるなら、答えても別に……」という気持ちに。
(編集部)それにしても、お二人はなぜ3ケタ億円以上も稼げたのでしょうね。やはり才能?
(テスタ)株で大金を手にするには2つの能力が必要だと思うんです。1つは株で儲ける能力。もう1つは結構な金額を稼いだあともやる気を失わずに続ける能力。大金があれば守りに入りたくなりますよね。
だって、株のトレードを続けたら資産は増えるかもしれないけど、減るかもしれない。トレードをやめれば減ることはないから。

(五月)何億円かの資産を株で築けたら、あとは超ローリスクで、食っていく分ぐらいのお金を増やすやり方はありますもんね。
(テスタ)成功したトレーダーの何分の一かの人は「株でウン十億円、ウン百億円を稼いだけど、さらにお金を増やして、こんな大きなことがしたい」って思うんですよ。大金を手に入れてから先は、それぞれ株を続ける理由が違う。
(五月)だからこそ、もう60歳を超えているのに現役バリバリの村上世彰(よしあき)さん(村上ファンドの創設者)はすごいと思う。
あの金額まで資産を増やして、「金の亡者」なんてひどいことを言う人もいるのに、モノ言う株主を続けていらっしゃる。とんでもない才能だと思います。
(テスタ)90歳を超えても投資を続けているウォーレン・バフェットさんも天才ですよね。
※編集部注:2025年5月3日、バフェット氏は投資会社バークシャー・ハサウェイの株主総会で2025年末にCEO(最高経営責任者)を退任する意向を示した。会長職は継続するとの報道
(五月)あの方も、いい意味で化け物級だと思います。
(テスタ)経営者の中には、資産が1兆円に達している人だっているわけじゃないですか。でも出社して、仕事をして。モチベの強さというか目的意識が高いんだと思う。お金のために仕事してない。
■暴落で必ずやられる
(編集部)お二人は2月下旬から4月の「トランプ・ショック」のときはどうだったんですか?
(テスタ)僕は株価が突然、急激に暴落すると、毎回必ずと言っていいほどやられますね。その先にもっと下げたり、長期下落が続いたりしたときのリスクを考えて、さっさとポジション自体を減らすからです。
2~4月の暴落のときみたいに、株価がすぐV字回復して暴落前のスタート地点まで戻ったとしても、(ポジションが減っているから)僕の利益は100%までは戻らないことが多い。
(五月)トレーダーの中には「出動用のキャッシュ」を持っていて、暴落時にそれを使って大きく入る人も結構います。僕もそうですが、資産の大部分を投資しちゃっていると手いっぱいになっちゃいますね。それはしょうがない。こっちは長期的視野でやってますから。
ただ、トランプ関税の前と後では、すでに変わってしまった世界に対してポートフォリオの中身を合わせていかないと。トランプ関税の悪影響を受ける自動車はもう買いたくない、とかね。

(テスタ)株価が大きく下げるにはそれだけの理由がある。だから、大きく下げた理由に直結するような銘柄は持ちにくくなります。それにしても、あの激しい値動きの最中にデイトレードをしている人は、毎日めちゃくちゃ忙しかっただろうなと。
僕自身は短期でやっていないので、「ヒマだな~」って値動きだけ見ていました。
(五月)今、どれくらい(銘柄を)持ってます? ほとんどなし?
(テスタ)モチベに合わせて量を調節しています。ここ数年では今が一番キャッシュが多いかな。
■引退と子育て
(五月)へえ。ちょっと話が戻るんですけど、株のトレードをする以外の時間を増やしたいっていうことの中に、「結婚」っていうのはないんですか?(笑)
(テスタ)戻るというか、ズレまくりやないですか(笑)。結婚ねえ。どうですかね。結婚より子育てに憧れがあります。
(五月)引退とセットで子育て?
(テスタ)セットで、って(笑)。僕の中で子育てって壮大なものなんです。子どもが大人になるのに20年かかるわけじゃないですか。みなさん「お金も時間もかかるし大変だ」って言いながら、結婚して子どもを育てて。たとえ夫婦仲が悪くても、子育てに関しては「子どもがいてよかった」っておっしゃる方が多い。
それを聞いていると、人生のイベントの中で「子育てって実はすごく楽しいものなんじゃないか」って思いはじめたんです。僕がこれから死ぬまでの時間と、最低20年という子育て期間を考えると、そんなに時間はないんだなと。
(編集部)テスタさん! 結婚願望が出てきたということですか?
(テスタ)そこまではっきり言ってないでしょ(笑)。
(五月)実はもう結婚してたりして(笑)。
(テスタ)いやいや。今思いましたが、このご時世に「結婚してる」「結婚してない」っていうのは正解なのかな? 僕は芸能人でもなんでもないから、わざわざ発表する必要ってないですよね?
(五月)僕は結婚していて、子どもは2人います。
(テスタ)家事もされてます?

(五月)まあ、ぼちぼち(笑)。40歳をすぎたあたりで急に人生のバランスをとりはじめました。うん、テスタさんもそろそろ結婚アリかなと思います。
(テスタ)「結婚してるんですか?」と聞かれると、正直に「いや、結婚してません」と答えていました。でも本当に結婚したら「結婚してません」と言えなくなる(ウソになるから)。
だから、実際のところは今も結婚してないし、近々する予定もないですけど、「結婚してるんですか?」と聞かれても、もう何も言わないようにしておこう。よし決めた。
(五月)僕も最近はテスタさんに影響されて、たまにはマスコミ取材に出てもいいかなと思うようになってます。『東大王』というTBSのクイズ番組がありましたよね。たくさんの東大生がクイズに答えて、東大生のイメージを変えた気がします。
テスタさんって「一人東大王」みたいな感じ(笑)。とんでもなく貴重な存在ですよ。投資家層の充実に貢献している人には足を向けて寝られません!
(テスタ)(照れまくって笑う)
取材・文/中島晶子(AERA編集部)、安住拓哉

片山晃〈五月〉(かたやま・あきら〈ごがつ〉)/1982年生まれ、山形県出身。SNSでは「五月(ごがつ)」という名前でも有名。オンラインゲームにハマっていた22歳のとき、株ドラマ「ビッグマネー!~浮世の沙汰は株しだい」に影響され、株式投資を開始。2005年からの7年半で元手65万円を12億円に増やした。2013年にレオス・キャピタルワークスで機関投資家業務を経験。その後、運用チームをつくり、資産を増やし続ける。2025年8月までに稼いだ利益は300億円超
テスタ/兵庫県生まれ。2005年に株式投資の世界に飛び込み、専業トレーダーに。最初はスキャルピング(超短期取引)を中心としたデイトレードからスタート。ITバブル崩壊、リーマン・ショックなど、幾多の市場暴落で退場するトレーダーが続出する中、寡黙に荒波を乗り越えてきた。2021年8月に総利益50億円を、2024年2月には同100億円を達成。投資先のメインは日本株と先物

編集/綾小路麗香、伊藤忍
『AERA Money 2025秋号』から抜粋