「おっかさん!」蔦重とおつよの名場面にお茶の間は感動…しりあがり寿の「べらぼう」第41回ひとコマ劇場
「べらぼう」第41回「歌麿筆美人大首絵」の名場面は……
江戸時代中期の出版文化を描く令和7年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(つたじゅうえいがのゆめばなし)」をしりあがり寿さんが絵と文でレビューする本連載。第41回、喜多川歌麿の傑作、ついに誕生! 伝わらない秘めた思い、明かされた秘密に視聴者それぞれが感動に包まれた今回。一方、竹千代誕生で将軍の周りにも新たな動きが…。それでは、ご覧ください、今週のひとコマ劇場へ! ※以下ネタバレあり&記事の最後に話題の場面写真を掲載
「おっかさん…」おつよは蔦重の髪を結った……

Ⓒしりあがり寿
絵と文=しりあがり寿
41回! 今回も、
冒頭の須原屋さんの本を作る大切さから始まり、大首絵の完成売り出し、幕府のあれこれ、ロシア船の来航のような国際問題などなど、もりだくさんでした!
その中でもやっぱり親子関係が今回のハイライトかなー。
蔦重とおつよの間のこわばりが暖かくゆるんでいく様子、見ごたえあったなー。
自分が今回一番いいなーと思ったのは「聞いてる顔」。おつよに髪を結ってもらいながら自分の生い立ちを聞く蔦重の顔、その蔦重に初めて「おっかさん」と言われた時のおつよの顔、そして歌麿の話を微笑みで受け止めてるおつよさんの顔。どの表情もホントに良かった。
お芝居はどうしてもセリフをしゃべってる人に関心が行きがちだけど、こうやって聞いてる方の人の表情をじっくり見せてもらえる編集ってのもいいよねー。
実は自分はこの"聞く演技"ってけっこう好きで、舞台や映画でもついしゃべってる人より聞いてる人の演技を見ちゃう。その中で今回歌麿を演じてる染谷さんの聞く演技、好きなんだよね。蔦重のやらかしをいつも近くで「しょうがねーなー」と苦笑いするような心配するような、でも愛しくてたまらないみたいな表情で見てる、そういう、なんつーの、ウケの演技がたまらん。
ちょうどこの前封切された『風のマジム』という映画でもバーテンダー役の染谷さんが主役の伊藤沙莉さんをカウンターの向こうから見つめてる演技が楽しめますのでお好きな方はぜひ!
あと、話は変わるけど定信の「幕府(ご公儀)の威信にかかわる」発言。「威信」ってなんだろうなー、とか考えてしまった。世の中には「強さ」や「お金」とかわかりやすい価値はあるんだけど、それだけじゃ身もふたもない世界になりそうだからバランスをとるために「威信」とか「誇り」みたいなのが大切にされるのかな? 確かにあいまいで幻のような「威信」は壊れるときはすぐだろうね。なんかそんな「威信」を守ろうとする定信にもちょっと同情してしまうのだった。
ちょうどアメリカ大統領が天皇陛下を訪問する時に重なったりで、お金や武力ではない「威信」みたいなものをちょっと考えてしまったのだった。
てな感じで揺れ動く幕府の政治は? 絵師たちのさらなる活躍は? おつよさんの頭痛は大丈夫なの? 数々のクエスチョンをしょって話は終盤に!
<続く>
映画『風のマジム』(2025)
大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」
【第41回「歌麿筆美人大首絵」あらすじ】
蔦重(横浜流星)が、処分を受けた須原屋(里見浩太朗)を訪ねると、須原屋は二代目に店を譲り引退すると言う。そして蔦重は、歌麿(染谷将太)と「婦人相学十躰」の売り出し方を思案する。そんな中、つよ(高岡早紀)の身体に異変が起きる。一方、城中では家斉(城桧吏)の嫡男・竹千代が誕生。定信(井上祐貴)は、祝いの場で突然、将軍補佐と奥勤め、勝手掛の辞職を願い出る。家斉や治済(生田斗真)は動揺するが…。

おつよ(高岡早紀)の言葉をきっかけに蔦重への想いをついに吐露した歌麿(染谷将太)。いつか消えるかもしれないこの思い、ふたりできれいで面白いものを作って残せればそれだけでいいという歌麿に、あんたもわたしの息子さ、とおつよは声を掛ける 写真提供=NHK

「もうてぇへんでしたよぉ」。摺り師が苦心したのは蔦重(横浜流星)が指図した背景の雲母刷(きらずり)。歌麿の絵をもっとよく見せたい。その思いからこれまでにない錦絵が出来上がった 写真提供=NHK

「まるで浮き上がって見えるよ」。燭台の灯にかざしたのはおきよを描いた「浄き相」の女。雲母刷に嘆息の声をあげる歌麿に蔦重は満足げに頷く 写真提供=NHK

喜多川歌麿の傑作「婦人相学十躰」の三枚がついに発売された。人気の顔相見を店に呼んだ蔦重の売り出しは大成功を収める 写真提供=NHK

「柯理(からまる)…」。おつよは蔦重を吉原にひとり置いて行った真の理由を語った。蔦重は照れながらも「おっかさん」とおつよを呼んだ… 写真提供=NHK

「越中のほかに誰がこの難局を乗り切れるかと」。ご公儀では定信(井上祐貴)が尾張公(榎木孝明)を巻き込んで巧妙な政治工作を進めていた。定信は自分の権限を最大化することに成功するが、オロシャの船はすぐそこに来ていた… 写真提供=NHK
ときは江戸時代中期、泰平の世が長く続いた時代。江戸独自の文化が花開き、いまで言えば“メディア・プロデューサー”として多くの戯作者、絵師を世に出した蔦屋重三郎(横浜流星)を主人公にした物語が今年の大河ドラマ。脚本は「JIN-仁-」「大奥」「おんな城主 直虎」などを手掛けた森下佳子さんです。
(以下引用)
【放送予定】[総合]日曜 午後8時00分 / 再放送 翌週土曜 午後1時05分[BS・BSP4K]日曜 午後6時00分 [BSP4K]日曜 午後0時15分
(以上引用)
しりあがりことぶき◯1958年静岡市生まれ。多摩美術大学デザイン科卒業。幼少期から浮世絵が好き。小学校の学区内に『東海道中膝栗毛』の原作者・十返舎一九の生家があった。2014年紫綬褒章受章。北斎のパロディ作品の個展は2018年、2021年とすみだ北斎美術館にて開催、大きな反響を呼ぶ。パロディ作品集『しりあがり×北斎 ちょっと可笑しなほぼ三十六景』(小学館)を2022年に出版。
画・文=しりあがり寿 編集=内田理惠(婦人画報編集部)
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