にんにくの背徳感「悪魔のラーメン」愛される訳

茨城や千葉で展開するにんにくラーメンの店をご存じだろうか(筆者撮影)
抗いがたい、にんにくの魔力
くさくなるとわかっているけど、無性に食べたくなる――にんにくは人を魅了してやまない。
【画像を見る】にんにく150gの衝撃――背徳感あふれる《にんにくどっさりラーメン》はこんな感じ!
出張時に楽しみたいローカルグルメを紹介する同連載だが、今回は疲れた身体に染み渡る“にんにくラーメン”の店を紹介。茨城や千葉を中心に愛される「にんたまラーメン」だ。
出張の慣れない土地で仕事を終えとき、にんにくで精を付けて帰るのはいかがだろうか。
筆者が訪れたのは千葉県流山市にある「にんたまラーメン 流山店」。つくばエクスプレスのおおたかの森駅で下車し、徒歩15分ほど。車通りの多い「都市軸道路」沿いにある。

駐車場も完備(筆者撮影)
店名の「にんたまラーメン」とは、「にんにくたまごラーメン」の略だ。

看板をよくよく見ると、「にん“にく”たま“ご”ラーメン」の文字が(筆者撮影)
早速注文してみよう。注文は券売機で食券を購入するスタイルだった。

写真付きでわかりやすい画面(筆者撮影)
一杯1000円を余裕で切るお財布にやさしい価格設定
注文画面にはバラエティ豊かなラーメンが並ぶ。もっとも売りなのが店名にもなっている「にんたまラーメン」で、通常サイズが790円。2倍量の特盛が1160円、3倍量のメガ盛1780円もあった。
にんにくのラーメンが同店の売りではあるが、にんにくを使っていないラーメンもある。「札幌味噌ラーメン」770円や、白湯スープに野菜たっぷりの「タンメン」850円、昔懐かしい中華そば風の「東京ラーメン」580円など。それ以外にもカレーライスやチャーハン、しょうが焼きやアジフライの定食まである。サイドメニューでは「ぴゅっ飛び餃子」一皿5個350円が人気のようだ。
値段は、通常サイズならラーメン一杯が税込で1000円を余裕で切っている。昨今の物価高でお財布にやさしい価格設定だ。
目移りしてしまうが、今回、筆者はひときわ目を引く名前の「悪魔のにんたまラーメン」なるものを注文してみた。

半券を受け取り、呼び出しまでしばし待つ(筆者撮影)
平和な大衆食堂で味わう“悪魔”のラーメン
店内はいたってシンプル、昔ながらの大衆食堂の趣だ。厨房ではパートと思しきおばちゃんたちが切り盛りしている。どこからどう見ても平和な空間だが、ここに悪魔がやってくるのか。

平和な昼下がりのにんたまラーメン店内。カウンターからテーブルまで完備(筆者撮影)
こちらが「悪魔のにんたまラーメン」だ。値段は990円。

揚げにんにくが大量に浮かぶ(筆者撮影)
驚くべきはスープに浮かぶ大量の揚げにんにくだ。ホームページによると揚げにんにくはたっぷり150グラム。20粒以上は入っている気がする。これが「悪魔」たるゆえんのようだ。

揚げにんにくは目視で確認できるものだけでなく、スープの下にも大量に沈んでいる(筆者撮影)
背脂チャッチャ系かと思いきや…
スープは「しょう油」「みそ」「塩」から選べるので、筆者は「しょう油」をチョイス。液面に浮かぶ白っぽい粒は背脂に見えるが、実はこれ、にんにくを揚げ玉状にしたにんにくチップだそう。これがスープにほどよいコクを加えている。

背脂に見えるのはにんにくチップ(筆者撮影)
「にんたま」の「たまご」とは、熟成玉子麺のことを指している。小麦粉に卵を練り込み2日間寝かせているという麵は、ほどよい硬さの細麺で食べやすい。

熟成玉子麺がスープによく絡む(筆者撮影)

店舗入り口には麺のこだわりが掲示されていた(筆者撮影)
主役の揚げにんにくは、ほくほくとした食感。フライドポテトのようで、にんにくということを忘れて次々に口に運んでしまう。

ほくほくの食感の揚げにんにく(筆者撮影)
老若男女にオススメ、家族連れにもやさしい店内
いわゆる二郎系など「にんにくラーメン=男性向け」のイメージがあり構えていたが、同店のラーメンはにんにくのパンチ力というよりも、スープはほどよいコクがありながらも思ったより食べやすい。老若男女にオススメできそうな味わいだ。
筆者が訪れたのは平日の昼過ぎだが、実際に店内には若い人から高齢者も散見された。ベビーカーも通りやすい広い通路に、ドリンクバーやゲームコーナーもあり、子連れ歓迎の雰囲気がある。休日なんかは家族連れも多いのではないか。

老若男女に愛される味(筆者撮影)

一人300円のドリンクバーもある(筆者撮影)

店の一角にはゲームコーナーも(筆者撮影)
ゆえに、人によっては物足りなさを感じるかもしれない。そこで店内の一角には「にんにくの森」というコーナーが用意されていた。

無料のトッピングコーナーこと「にんにくの森」(筆者撮影)
おろしにんにくや豆板醤、紅ショウガ、揚げ玉などの味変アイテムがずらり。ここで好きなようにカスタマイズできる。揚げにんにくにおろしにんにくのダブルパンチも自己責任で可能だ。
にんにく対策は万全で
ちなみに、にんにくのにおい対策は万全で挑んだ。電車で帰らなくてはならないので周囲の人になるべく迷惑はかけたくない。
対策として、駅のコンビニでにんにくのにおい対策に効果があると言われる牛乳とりんごジュースを購入。まずは行きの道で牛乳を飲むことで内蔵をコーティング。にんにくをたっぷり摂取した帰り道ではりんごジュースを飲んだ。りんごジュースに含まれる成分がにんにくのにおいのもとアリシンを分解するらしい。
このおかげか、思ったよりもにおいの自覚症状は感じなかった(あくまで本人の認識)。

にんにく対策の2大アイテムを購入(筆者撮影)
にんにくビジネスの強さ
にんたまラーメンは1973年に1号店がオープン。現在、茨城や千葉を中心に全国に19店舗を展開し、地元の人に愛され続けている。
にんたまラーメンが長く愛される理由の一つに、にんにくの中毒性があるだろう。概してにんにく系の業態はリピーターがつきやすい。にんにくたっぷりのラーメン店によく行列ができているのも、「無性に食べたくなる」にんにくの魔力だ。にんたまラーメンのラーメンはそこまでパンチがあるものではないが、にんにくの旨みが生きており「また食べたい」とクセになる味わいに仕上がっている。
にんにくをテーマにした飲食店には、意外な強さがある。以前、とあるにんにくバルに取材すると「うちはデートのお客様が多い」とのことだった。デートでにんにくなんてご法度では……、と思うが「にんにくを大量に食べるという背徳感を共有するのが、2人の距離を縮めるのではないでしょうか」とのことだ。2人で食べればにおいもお互い様で気にならないようだ。にんにくは恋も深めることができる偉大な食材だ。
にんにくは深夜の需要も高い。繁華街には朝まで営業するにんにく系ラーメンや焼肉店の多い。それは、夜の仕事の人が仕事終わりににんにくを欲するからだ。
にんたまラーメンには「T.S(トラックステーション)店」の名前を冠したトラックドライバー向けの店舗もいくつかある。にんたまラーメンはほとんどの店舗が24時間営業なので、夜中にトラックを走らせるドライバーにとってにんにくラーメンは染み入るに違いない。それだけでなく、T.Sの店舗には店舗によって宿泊施設やお風呂といった設備まで用意されており、飲食店の枠組みを超えてトラックドライバーを応援する姿勢が垣間見える。

にんたまラーメン大宮T.S店には、宿泊施設やお風呂がある(にんたまラーメンHPより)

働く人たちのニーズに応えた、目玉焼き2つに納豆、漬物、のり、味噌汁が付く定食メニューもある。その名も「あさごはん」(800円)(にんたまラーメンHPより)
提供しているのはラーメンでなく「元気と健康」
にんたまラーメンの運営会社、ゆにろーず自体の創業は1957年だ。アイスクリームの卸から始まり、製麺業やドライブインの運営などさまざまな事業を展開してきたという。そんな中でにんにくたまごラーメンという唯一無二の商品を開発し、「お客様に元気と健康をお届け。」を理念に展開している。単にラーメンの提供だけでなく、ドライバーの憩いの場としての役割を果たすT.S店や、老若男女に愛される店づくりでその理念を体現している。出張で疲れたとき、にんたまラーメンを食べれば元気になれるはずだ。