京都の紅葉「見ごろ」まで1カ月!喧騒を忘れて没入できるスポット5選

「遅れ」が指摘されている、京都の紅葉。猛暑の時期が長く続いて、見に行くほうもなかなか紅葉気分になれなかったが、急に気温が下がったことで見ごろの時期が気になり始めた人も多いのではないか。

 旅行各社の情報を総合すると、2025年の見ごろは11月中旬から12月上旬。まさにいまが予約どきだ。どこに行くかを選ぶなら、1冊丸ごと京都の紅葉を特集しているMOOK「秋の京都2025」で、累計66 万部を突破した書籍『死ぬまでに行きたい!世界の絶景』の著者で絶景プロデューサーの詩歩さんがガイドしている「紅葉絶景ベスト50」が参考になる。

 この記事ではその50カ所の中から、喧騒から離れて紅葉とアートのコラボレーションが楽しめる3カ所と、皇室ゆかりの紅葉が楽しめる2カ所を紹介したい。

■ART×絶景 紅葉の名所で現代芸術に出合う

 京都の寺院には、近現代の芸術家が手がけた至極のアートを鑑賞できる名刹(めいさつ)が多数ある。秋景色と合わせて堪能できる、素敵な襖絵を有する三つの寺院をピックアップした。

■ 建仁寺で楽しむ「双龍図×潮音庭」

 建仁寺(けんにんじ)は、鎌倉時代の名僧・栄西が1202(建仁2)年に開いた禅寺。本坊の中庭「潮音庭(ちょうおんてい)」は大書院と小書院、回廊に囲まれ、四方から庭を眺めることができる枯山水庭園。“平成の小堀遠州”とも称される北山安夫氏による作庭で、杉苔、高雄の景石に紅葉が映える苔むす庭に差す秋の光と陰影が心を落ち着かせてくれる。

 法堂の天井で雷を放つ大迫力の龍は日本画家・小泉淳作による「双龍図」(展示は複製)。海北友松作の襖絵「雲龍図」も鑑賞することができる。俵屋宗達作の国宝「風神雷神図屏風」(通常はレプリカを展示)がある寺としても有名だ。禅の古刹(こさつ)でアートと紅葉を楽しんで。空いていることが多い「狙い目」は、午後3時から4時半ころの時間帯だ。

■ 隨心院で楽しむ「書院×小野小町の襖絵」

 隨心院(ずいしんいん)は平安時代に創建され、鎌倉末期には門跡寺院となった真言宗善通寺派の大本山。「洛巽の苔寺」とも呼ばれ、秋には庭の緑に紅葉が映える。絶世の美女と名高い歌人・小野小町が晩年を過ごした地と言われ、小野化粧井戸や小野宛の恋文を下貼りにした小野小町文張地蔵などが伝わる。

 表書院にある小野小町の生涯を幻想的に描いた襖絵「極彩色梅匂小町絵図」は、絵描きユニット・だるま商店によるポップアート。優美な雰囲気をたたえる寺院の紅葉景に不思議とマッチしている。自然光が建物内にも美しく入る午前中が鑑賞のベストタイム。柱を額縁に見立てて眺める庭の紅葉はまさに絶景だ。

■ 青蓮院門跡で楽しむ「蓮の襖絵×相阿弥の庭」

 青蓮院門跡(しょうれんいんもんぜき)は、平安時代末期より皇族が歴代門主を務める門跡寺院。その起源は比叡山延暦寺開創の際に造られた住坊と言われる。宸殿、小御所といった御所風建築の周りには、粟田山を借景とした池泉回遊式庭園「相阿弥の庭」が広がり、龍心池に紅葉が映り込む様は心打たれる美しさ。

 相阿弥の庭が眺められる華頂殿を飾るのは壁画絵師・木村英輝氏が描き、「青の幻想」「極楽浄土」「生命賛歌」と名付けられた全60面の蓮の襖絵。歴史建築と現代アートが融け合う中にいるとすーっと雑念が消えていく。相阿弥の庭の龍心池のきらめきが楽しめる日中の鑑賞ががおすすめだ。ベストは平日の午前中。復活したライトアップにも、ぜひ足を運びたい。

■皇室ゆかり×絶景 継承される美の極致

 千年以上もの間、都であり続けた京都には、皇族が造営した名園から門跡寺院まで、皇室ゆかりの寺院がたくさんある。雅な雰囲気に包まれながら紅葉を観賞できる2カ所をピックアップした。

■ 毘沙門堂 参道を彩るもみじはまるで絨毯

 山科盆地を見下ろす山腹に位置する毘沙門堂(びしゃもんどう)は、天台宗五箇室門跡の一つ。本尊は最澄の自作と伝わる毘沙門天で、703(大宝3)年に行基によって開かれた出雲寺を1665(寛文5)年に現在の地に再建された。檜皮葺きの総門・勅使門は門跡寺院の風格が漂い、そこへと続く参道が紅葉の名所となっている。

 なんといっても勅使門へ続く真っすぐに延びた石段に舞い散る紅葉が見事。詩歩さん曰く、ここの紅葉は赤色が濃く、紅葉のピーク時だけでなく散ったもみじが参道を埋め尽くす光景もおすすめだ。

■ 旧嵯峨御所 大本山 大覚寺 池の周りを取り囲む紅葉が見事

 平安時代初期に嵯峨天皇が建立した離宮で嵯峨御所とも呼ばれ、明治初頭まで天皇や皇族が門跡を務めた門跡寺院だった。国指定の名勝・大沢池は離宮造営の際、唐の洞庭湖を模して造られた。

 秋には、この大沢池の周囲を、赤く染まったカエデや、黄や橙に色づく山々が美しく彩る。貴族が舟遊びを楽しんだ場所で、朱色に染まる嵯峨野の山々と池が調和した風雅なもみじ時間を過ごしたい。嵯峨野の山と建築、紅葉がすっきり見晴らせる午前がおすすめだが、夕景もまた味わい深い

(構成 生活・文化編集部)