DNA「二重らせん構造」発見でノーベル賞、ワトソン博士97歳で死去…ヒトゲノム解読完了にも貢献

DNAの二重らせん構造を発見したジェームズ・ワトソン博士(2004年)=AP

 【ワシントン=中根圭一】DNAの二重らせん構造を発見し、ノーベル生理学・医学賞を受賞した米国の分子生物学者ジェームズ・ワトソン博士が6日、ニューヨーク州のホスピスで死去した。97歳だった。米メディアが報じた。感染症にかかった後、ホスピスに移って療養していたという。

 ワトソン博士は1953年、英国の分子生物学者フランシス・クリック博士(2004年死去)とともに、生命の設計図であるDNAが長い鎖のような分子をより合わせた二重らせん構造であることを科学誌ネイチャーで発表した。

ジェームズ・ワトソン氏(1992年10月)

 この成果は20世紀最大の科学的発見の一つと言われ、クリック博士らと1962年のノーベル生理学・医学賞に輝いた。分子レベルで生命現象を解明する現代の生物学の礎を築き、人々の生命観にも影響を与えた。

ジェームズ・ワトソン博士=ノーベル財団ホームページより

 ワトソン博士は28年にシカゴで生まれた。15歳でシカゴ大に入学し、50年にインディアナ大で博士号(動物学)を取得。その後は欧州に移り、51年に英ケンブリッジ大でクリック博士と出会った。2人はX線でDNAを解析する研究を進め、二重らせん構造を突き止めた。

 遺伝情報を収めたDNAの分子構造を明らかにしたことで、DNAがどのように複製され、遺伝情報が受け継がれていくのかの解明が進んだ。DNAの解読や改変の技術も発達し、医療や農業、犯罪捜査などに幅広く応用されている。

 人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)を解読する国際プロジェクトでも力を発揮し、計画発足当初の80年代後半~90年代前半に中心的な役割を担い、2003年の解読完了に貢献した。

 一方、07年に英紙のインタビューで、黒人が人種的に劣っているという趣旨の差別発言をしたことが批判を浴び、研究拠点だった米コールド・スプリング・ハーバー研究所の会長を辞任した。