崖登り片道3時間、命がけ通学が様変わり 中国、巨大昇降機活用で大幅短縮、安全に

断崖の上にある官寨小学校=2025年3月、中国雲南省宣威市(共同)

 切り立った崖をよじ登り、沢を渡る―。中国南部、雲南省宣威市の尼珠河大峡谷の底から崖の上にある小学校まで命がけだった片道3時間以上の通学が様変わりした。農村開発推進の一環で2022年に完成した巨大エレベーターとロープウエーを子どもたちの登校に活用したためだ。所要時間は30分に短縮、転落事故の危険もなくなり、村民たちは歓迎している。(共同通信中国総局=福田公則)

 雲南省の省都、昆明市から北東約250キロ。尼珠河大峡谷の底を流れる河川の両側に400メートル近い絶壁がそびえる。断崖の上にある官寨小学校と崖底の村落の標高差は550メートル。この村落に住む子どもたちは、ロープウエーなどの完成まで険しい山道を歩いて学校に通っていた。

 「通学が本当に怖かった」。官寨小5年の雷☆(品の口がそれぞれ金)さん(10)が、設備完成前を振り返る。一緒に通う同級生陳泓涵さん(11)が沢を渡る際、足を滑らせて転倒し、けがをしたこともあった。2人は互いに励まし合い、日常にある“冒険”に挑んでいたという。

 通学路には岩壁をよじ登る難路も。雷さんらの祖父母の世代がハンマーやノミで削り出したくぼみに子どもたちは手足をかけ、はうように進んでいた。以前の通学路を知る同小教師崔瑛さん(27)は「岩は滑りやすく、不注意で転落する危険もあった」と語った。

 転機が訪れたのは2017年。宣威市が絶景を売りにする旅行リゾート地として峡谷の開発プロジェクトを誘致した。観光客を呼び込むため2022年までに屋外で世界有数の高さを誇るエレベーター(高低差268メートル)、ロープウエー(同約200メートル)を整備。崖の下に住む子どもたちは現在、これを乗り継いで通学している。

 習近平指導部は、都市部との所得格差を縮めるため農村部の振興に力を入れている。ただ一部地域では強引な開発で生態環境を破壊し、地元との間で摩擦も生じている。

かつて通学路だった岩壁。子どもたちはハンマーやノミで削り出したくぼみに手足をかけて進んでいた=2025年3月、中国雲南省宣威市(共同)

子どもたちの通学にも使われる高低差268メートルの巨大エレベーター=2025年3月、中国雲南省宣威市(共同)

子どもたちが通学に使うロープウエー=2025年3月、中国雲南省宣威市(共同)

かつて通学路だった岩壁。子どもたちはハンマーやノミで削り出したくぼみに手足をかけて進んでいた=2025年3月、中国雲南省宣威市(共同)

通学で使うロープウエーから尼珠河大峡谷を見下ろす雷☆(品の口がそれぞれ金)さん=2025年3月、中国雲南省宣威市(共同)

中国・雲南省宣威、昆明

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