「すぐ劣化する」「使い物にならない」 中古EVは本当に“二束三文”なのか? 北欧1366台調査で明らかになった「バッテリー寿命の真実」

EV普及の現状

 地域差はあるものの、電気自動車(EV)の普及は着実に広がっている。充電インフラの整備が進み、購入に対する心理的なハードルは徐々に下がりつつある。

【11月26日発表】電気自動車の「最新市場動向」をチェックする!

 しかし一方で、バッテリー劣化への懸念は依然として根強く、EVの中古価格は同年代のガソリン車と比べて低めに推移する傾向がある。

 日本のネット上でも、中古EVは

「バッテリーがすぐ劣化する」

「中古では使い物にならない」

といった投稿が目立ち、こうした不安や情報不足がバッシングの背景になっている。

 では、EVは年式を重ねると価値が大きく下がるのか。スウェーデンの自動車ブローカー「Kvdbil」が2025年10月に発表した調査は、その見方を覆す結果を示した。EVやプラグインハイブリッド車(PHV)のバッテリー寿命は想像以上に長く、安心して長期間利用できることが明らかになった。

ブランド別SoHランキング

ブランド別SoHランキング, 世界展開モデルの優位性, 中古EV購入の安心材料, 避けるべき使用習慣

起亜のロゴマーク(画像:起亜)

 同社の調査チームは、スウェーデン国内で登録されたEV1366台(バッテリー電気自動車〈BEV〉723台、PHV643台)を対象に、

「バッテリーの健康状態(State of Health、SoH)」

を評価した。どのブランド・車種が長期にわたり優れたバッテリー性能を維持しているのかに注目が集まった。なおスウェーデン市場では、日本車は比較的マイナーな存在である。

 集計の結果、起亜のバッテリーSoHは非常に良好で、BEV・PHVの両カテゴリでトップに立った。ボルボはBEVで1モデル、PHVで2モデルがランクインしている。テスラ・モデルYも起亜に次ぐ良好なSoHを示した。

 使用済みバッテリーの性能が優れていたブランドのトップ10は、

・起亜

・アウディ

・オペル

・テスラ

・メルセデス

・プジョー

・ボルボ

・BMW

・フォルクスワーゲン

・シュコダ

の順であった。ブランドごとの差はあるものの、全体としてバッテリーは想定よりも良好な状態を維持しており、従来の懸念を覆す結果となった。

 レビュー対象の79%の車が、Kvdbilの三つ星評価システムで最高評価を獲得した。この“最高”はSoH90%以上を意味する。つまり、10台のEVのうち8台は元のバッテリー容量の90%以上を保持していたことになる。

世界展開モデルの優位性

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テスラのロゴマーク(画像:テスラ)

 最も優れたバッテリーを搭載するBEVのトップ10は、

・起亜・EV6

・起亜・e-ニロ

・テスラ・モデルY

・オペル・モッカe

・マツダ・MX-30

・アウディ・Q4 e-tron

・フィアット・500e

・ボルボ・XC40 リチャージ

・シトロエン・E-C4

・フォルクスワーゲン・ID.4

の順であった。この調査はスウェーデン国内を対象としており、評価対象のすべてのモデルが日本で販売されているわけではない。しかし、上位にランクインした多くのモデルは世界的に販売されている車種である。

 バッテリーセルの冷却など先進技術の進歩により、現行EVのバッテリー劣化は非常にゆっくり進むことが示されている。今回の調査結果もその傾向を裏付け、中古EVバッテリーはすぐに劣化するという従来のイメージを覆す内容となった。

 Kvdbilのテストマネージャー、マーティン・ラインホルドソン氏は、数年使用した後でもほとんどの充電式バッテリーは十分に使用可能だと説明する。さらに、ドライバーが適切な充電パターンを実践すれば、バッテリー寿命をさらに延ばすことも可能である。

中古EV購入の安心材料

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ボルボ・カー・コーポレーションのロゴマーク(画像:ボルボ・カー・コーポレーション)

 バッテリーの使用効率が最も高いPHVは、

・起亜・スポーテージPHEV

・起亜・オプティマPHEV

・ボルボ・XC60

・起亜・シードPHEV

・ボルボ・V60

・プジョー・3008Hybrid

・BMW・530e

・フォルクスワーゲン・パサートGTE

・BMW・X1

・BMW・330e

の順であった。充電式自動車のバッテリーが長期間良好な状態を維持することは、中古EVを検討する消費者にとって安心材料となる。Kvdbilのラインホルドソン氏は

「中古の電気自動車を購入したい人にとって、これ(調査結果)は明確なシグナルです。つまり、長期にわたって持続する性能と燃費を実現する車を手に入れることができるということです」

と説明する。

 今回の調査では、パフォーマンスの低いモデルは除外されている。ラインホルドソン氏によると、これらのモデルは古く走行距離が長く、バッテリーも旧型であることが理由だという。バッテリーの劣化には

・年数

・運転スタイル

・充電習慣

・気候

が影響する。現在市場で安価に出回る中古EVは、実際には性能を維持した“お買い得な車”である可能性が高い。

避けるべき使用習慣

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リポート「大規模な電気自動車バッテリーテスト:ボルボとテスラがトップに」(画像:Kvdbil)

 同社は車のバッテリーを最適に管理するためのポイントを五つ示している。

 まず、バッテリーを頻繁にフル充電しないことが重要である。日常では20~80%の範囲で充電し、100%充電は長距離ドライブの直前だけにする。

 次に、極端な暑さや寒さを避けることだ。暑い日には車を涼しい場所に駐車し、寒冷時の充電ではプレコンディショニング機能で車を予熱することで、バッテリーを温度変化から守る。

 急速充電も基本的に避ける。必要な場合もあるが、特に寒冷時はバッテリーへの負荷が大きくなるため、なるべく控えるべきである。

 車をフル充電したまま放置しないことも重要だ。0%や100%の状態で長時間駐車せず、2週間以上駐車する場合は40~60%程度に充電を留める。駐車中に作動するバックグラウンド機能もオフにすることでバッテリーを守れる。

 最後に、充電制限を設定する。たとえば80%に制限し、出発直前に充電が完了するようスケジュールする。ソフトウェアは常に最新に保ち、車のデジタルウェルビーイングも維持する。

 性能向上が著しいEVのバッテリーだが、これらの管理ポイントを押さえることで、さらに長く安心してEVに乗ることが可能である。