クリパに最適!香川名物「骨付き鶏」自作する極意

生のキャベツを添えましたが、残った脂と肉汁をおにぎりに絡める食べ方も定番です(写真:筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は、クリスマスの定番となった鶏料理から、香川県の名物「骨付き鶏」を紹介します。

この時期なら骨付き鶏もも肉も簡単に手に入る

クリスマスが近づくと、スーパーの精肉売り場に骨付きの鶏もも肉が並びます。クリスマスに鶏肉を食べる習慣は日本独自のもの。もともとはアメリカなどで七面鳥を食べる習慣を取り入れて、ケンタッキーフライドチキンが「クリスマスにはチキン」というキャンペーンを打ったため、ともいわれています。

【写真でレシピ】本場・香川のように仕上げるには「下準備」と「焼き方」に“極意”あり!

香川・丸亀の名物料理である「骨付き鶏」は、骨付きのもも肉にニンニクとこしょうをすり込み、高温のオーブンで焼き上げるもの。骨付きの鶏もも肉を入手するのがやや難しいので普段は気軽に作れませんが、今の時期であれば比較的簡単に買えるので、ぜひ挑戦してみてください。

鶏もも肉は表面がべとついていないものがベストです(写真:筆者撮影)

骨付き鶏

材料

骨付き鶏もも肉 2枚

ガーリックパウダー 大さじ1

黒こしょう     小さじ1+2分の1

塩         鶏の重量の1%

しょうゆ      小さじ1

骨付き鶏には「親鶏」と「若鶏」の2種類があります。前者は卵を生み終えた鶏で、飼育期間が長いために筋肉や関節が発達して硬いのですが、かむと濃い風味が味わえます。後者は生後3カ月齢未満の鶏(実際には50日前後が多い)​​のため、柔らかくジューシーな味わいが特徴です。スーパーで売られている鶏はほとんどが若鶏のため、後者が再現しやすいでしょう。

火の通りをよくするために、裏側から骨に沿って包丁を入れます。

余分な脂があれば取り除きましょう(写真:筆者撮影)

身側にガーリックパウダー、黒こしょう、塩をすり込みます。香川県はニンニクの産地なので、こうした調理法が発達したと思われます。多めのガーリックパウダーと黒こしょうをすり込むことで、インパクトのある風味をつけられます。

味付けした状態で冷蔵庫で保存すれば、翌日に料理することも可能です(写真:筆者撮影)

ガーリックパウダーでうま味や糖分を生かす

生のニンニクとガーリックパウダーでは何が異なるのでしょうか。

ニンニクの特徴的な風味は、細胞を傷つけることによって始まる酵素反応で生まれるアリシンという物質に由来します。一方、ニンニクを乾燥させてから粉末にするガーリックパウダーは、乾燥工程で酵素が失活しているので、その風味は弱いのが特徴です。生のニンニクのような風味がない代わりに、ニンニクのうま味や糖分を生かす使い方が向いています。

骨付き鶏の香ばしさは、鶏肉のアミノ酸とニンニクの糖分を合わせて加熱することでメイラード反応(褐色の色素と香ばしい香りを生み出す化学反応)が生じることによるものです。

お店では高温のオーブンで焼き上げますが、家庭でその環境を再現するのは不可能です。そこであらかじめ皮目にしょうゆを塗り、香ばしさを補っておきます。しょうゆを塗ったら皮を上にして30分置き、肉を常温に戻しておきます。

フライパンを中火にかけ、サラダ油(分量外)少々をひいて、皮目から鶏肉を焼いていきます。

トングなどで押さえて、皮を伸ばしましょう(写真:筆者撮影)

中火で5分加熱が目安。皮目が焼けたら裏返し、弱火に落として、ふたをして5分加熱していきます。5分経ったら火を止め、そのまま5分蒸らします。

この工程で鶏肉から肉汁が染み出し、皮目から引き出した脂と混ざり合ってソースとなります。お店では鶏油をかけて、高温のオーブンで焼くことで肉汁を含んだ脂を得ますが、家庭で簡単に再現するために肉を休ませる工程を採りました。

カリッとおいしく仕上げる最後のコツ

一度、鶏肉を取り出し、ゴムベラなどでソースを集めておきます。蒸らすことで皮目が湿っているので、皮目をもう一度5分、中火で焼きます。もしご家庭のレンジに魚焼きグリルがあれば、強火で皮目を5分焼くとよりお店の味わいに近づくでしょう。

お皿に盛り付け、フライパンでさきほど取っておいたソースを温め、回しかけたら出来上がりです。生のキャベツを添えましたが、残った脂と肉汁をおにぎりに絡める食べ方も定番です。

最後に熱々のソースをかけます(写真:筆者撮影)

ニンニク、黒こしょう、塩というシンプルな味付けが鶏肉の味わいを引き立てます。ビールとの相性のよさは言うまでもありませんが、フライドチキンの代わりにクリスマスのディナーにいかがでしょうか。