日本車はLED後進国? なぜ輸入車のLEDウインカーはシャープに点滅するのか?[復刻・2014年の話題]

クルマ界のあらゆる不思議に迫ることで一部でカルト的な人気を誇ったかもしれないベストカー本誌企画「不思議でたまらない」。今回は、なぜ輸入車のLEDウインカーはシャープに点滅するのか? 導入が進むLEDウインカーにまつわる「フシギ」を深掘り!(本稿は「ベストカー」2014年5月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:編集部
【画像ギャラリー】日本車はLED後進国!? なぜ輸入車のLEDウィンカーはシャープに点滅するのか?[復刻・2014年の話題](6枚)
なぜ輸入車のLEDウインカーはシャープに点滅するのか?

華やかに発光するベンツのLEDウインカー。デザインの自由度が高いことから欧州プレミアムカーの搭載が先行している
クルマのヘッドライトやストップランプなどの灯火類のLED化が急速に進んでいる。確かに見た目もカッコいいし、省電力にもなるので採用が進んでいるわけだが、最近はウインカーにもLED採用が増えてきた。
特に輸入車の上級グレードに装着されているのをよく目にするが、その点滅の仕方が今までのウインカーと明らかに違う。カチッ、カチッと歯切れのいいリズムで点滅している。これは、なにか特別な仕掛けがあるだろうか?
まずはウインカーの基礎知識を再確認!

ウインカーの基礎知識をおさらい
ウインカー、方向指示器は、右左折など自車の動きを周囲に知らせる重要な働きがあり、当然ながら重要保安部品である。
クルマの構造、各種装置の技術基準は、「道路運送車両の保安基準」(通称、保安基準)によって細かく規定されている。その第41条に方向指示器に関する基準が定められている。
読者諸兄はご存じだと思うが、保安基準はクルマの基準を非常に細かく規定している。41条のウインカーにしても、取り付け位置から光源や色の規定など微に入り細にわたる規定がある。さらに、保安基準を補足するかたちで「保安基準の細目を定める告示」が出されている。それらをすべて紹介すると誌面がどれだけあっても足りないし、する必要もないだろう。
ここでは、次の基本的な5項目を押さえておけばいいと思う。
・光源が、15w以上60w以下であること。
・灯火の色が、橙色であること。
・毎分60回以上120回以下の一定周期で点滅すること。
・左右対称の位置に取り付けられ、左右の間隔はフロントが30cm以上、リアが15cm以上であること。
・100mの距離から昼間において点灯を確認できること。
以上の基本から逸脱しなければ、電球(白熱球)のウインカーをLEDに変更することも可能である。
LEDウインカーは普及しているのか?

LEDウインカーを採用している主な車種
続いて、LEDウインカーの採用車種をチェックしておこう。輸入車、国産車の主要メーカーに聞いてみた。まずベンツ。
「LEDウインカー採用車種は、Sクラス、SL、SLK、CLS……(以下上の表を参照)」(広報)
やはり装着車種が多い。逆に未採用車種を探すほうが簡単。EクラスやMクラスだが……。
「タイミングの問題だと思います。未装着車も次のモデルチェンジで採用するでしょう」(同)
BMWにも問い合わせたら
「全車種です」(広報)
ただし、前後とサイド(側面)のすべてにLEDを採用しているのは、4、5、6、7シリーズとX5。これ以外の車種は側面のみLEDで前後は電球だ。側面だけLEDというのも秘密がありそうだ。後ほど探ってみよう。
その前に国産車も確認しておこう。トヨタはどうか。
「レクサスLSです」(広報)

トヨタ系で唯一LEDウインカーを採用しているレクサスLS。トヨタも今後普及させていくに違いない
おお、輸入車の上級モデル中心に普及しているという認識が証明されたのか、と判断しそうになったが……違った。日産、ホンダの回答はこうだ。
「採用車種はスカイライン、エクストレイル、ティアナ……(以下表を参照)」(日産広報)
「アコード、フィット、ヴェゼル……(同)」(ホンダ広報)
上の表で確認してほしい。日産、ホンダとも昨年(2013年)から今年にかけてモデルチェンジした新型車のほとんどにLEDウインカーが装備されている。しかも、両社とも軽自動車まで付いている。利幅が狭くコスト管理が厳しい軽自動車まで普及しているのだから、もはや時代の流れといっていいだろう。
でも待てよ、最初に疑問に感じた輸入車と国産車のウインカー点滅のリズムの違いが解明されていない。ベンツSクラスとデイズが、同じ点滅とは思えないのだ。

ホンダも新型車からLEDウインカーを順次採用している。SUVのヴェゼルも上質感を高めている
LEDウインカーのメリット、デメリット
LEDウインカーの装着状況を問い合わせた各社には、そのメリットとデメリットも聞いているが、ほぼ同じ回答だった。
●メリット
・省電力で耐久性に優れる
・デザイン上の自由度が高い
・反応速度が速い
●デメリット
・コスト
LEDの利点である省電力、長寿命は、当然ウインカーでも同じ。むしろヘッドライトなどに比べ、点灯している時間が短いウインカーは、ほとんどメンテナンスフリーのようだ。
2番目のメリットがデザイン。電球は点灯させるのにソケットなどの部品が必要で、どうしてもスペースが必要になる、いっぽう、LED自体が電球より小さいうえに、作動させるのに必要な点灯回路はLEDと線でつなぐだけなので、狭いスペースでも装着可能な自由度がある。
ここで、LEDウインカーのデメリットにも触れておこう。LEDは急速な普及による量産効果などで、単価がどんどん低下している。また、それが普及に拍車をかけるのだが、電球は長年の技術の蓄積があり、汎用性の高いパーツを使用するためコストは極限まで詰められている。
LEDは点灯回路を含めたトータルコストで、まだまだ電球とは差がある。ランプメーカーによると、ウインカーのユニット価格で「数倍程度」の開きがあるようだ。

昨年(2013年)登場した新型車からLEDウインカー装着を進めている日産。スカイラインのウインカーも輝く
もうひとつ、LEDのなかで「アンバー色」と呼ばれるタイプがある。オレンジ色を発光し、ウインカーに適しているが、以前は効率が悪かった。しかし、技術革新によって、アンバー色のLEDも明るく光るようになった。それで、欧州プレミアムカーが付加価値を高めるために採用したという。
さて、先ほど飛ばしたメリットの3番目、反応速度の速さ。
実は、今回の疑問の回答がLEDの反応速度にある。
いうまでもなく、LEDの点灯は電気信号による。電気信号だから瞬時に反応する。輸入車のLEDウインカーの点滅が、歯切れよくシャープに感じられるのはこのためだ。LEDらしいウインカーといえる。
いっぽう、電球は中のフィラメントを発光させる。表現は悪いがボワっと光る感じだ。LEDの点滅とは明らかに違う。待てよ、国産車にもLEDウインカーが普及しているが、輸入車の点滅とは違うぞ。
LEDの点灯は電気信号のON・OFFだが、点灯回路を調整することによって、光らせ方もコントロールできるのだ。従来の電球ウインカーのような点滅も可能という。
これが今回の結論だが、国産車でもLEDらしい点滅のウインカーが増えてきている。LEDウインカーも国産、輸入車の垣根がなくなりつつあるということだ。
まとめ
輸入車のみならず、国産車にも普及しつつあるLEDウインカーは、点滅方法もコントロールできる。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)