「男はパンツを、女はパンを」訴え続けた田嶋陽子氏(84)、当時はテレビ出演で批判も「私が美人だったら違ったと思う」「フェミニストにも悪口を言われた」ホンネを赤裸々告白

「男はパンツを、女はパンを」訴え続けた田嶋陽子氏(84)、当時はテレビ出演で批判も「私が美人だったら違ったと思う」「フェミニストにも悪口を言われた」ホンネを赤裸々告白

バラエティ番組への出演をきっかけにテレビに出始めた、女性学研究者の田嶋陽子氏。時代は1990年代、まだ女性は「非正規」あるいは「専業主婦」という価値観が社会制度や政策に色濃く残っていた中、田嶋氏は声高にフェミニズムを掲げた。

「男はパンツを自分で洗え。女はパンを自分で買え」と歯に衣着せぬ物言いで性別役割分業を批判し続け、人気を博した。そんな田嶋氏が90年代を振り返りつつ、フェミニズムの現在地について語った。

■ 「美人でないから」テレビ出演で激しい批判も…

「女のことでは歳や結婚のことしかないのは残念。弱い人がいつもやられてしまう。弱い人がまた弱い人にやられてしまう」(1992年、テレビ番組での田嶋氏の発言)

1992年、イギリスチャールズ皇太子の不倫発覚。ダイアナ妃と別居の報道に関しても、ズバリ「イギリスの皇室の中は非常に封建的。女の人の立場が悪いし。それをダイアナ妃が嫌だって言った。夫の浮気も許さないと一言言ったら立憲制がガタガタして」と語った。

同年、アメリカ大統領選に勝利したビル・クリントン氏。その妻で注目されたヒラリー・クリントン氏についても、こう分析した。

「ヒラリーさんは自分のキャリアを持っていて、夫よりも収入が多かったり、下手すると夫より政治能力があるかもしれない。ニューズウィークに面白いこと載っていて、ヒラリーさんは今のとこる『We We』と言うそうだ。夫を通して業績を作るようなまねをしないで、ちゃんと『Hillary』の名前でホワイトハウスでファーストレディーとしてね、どれだけのことをやれるかやってみて……」(田嶋氏、以下同)

こうした鋭い意見で人気を集めた一方、同時に激しいバッシングや批判も受けた。田嶋氏は当時のバッシングの背景について「私が美人でないというのは1つ原因だった。美人だったら違ったと思う。主張まで曲げられたというか、『ブスで男にモテないからあんなことを言っている』みたいな風潮があった。性別役割分業として男は男らしく稼いで、女は女らしく家事労働や子育てをやってというのが当たり前だと思ってみんな育てられてきた。私がそれは違うよと言ったことに対して、女として生きてきた人たちは存在が揺らいでしまうのがとても不安で嫌だったと思う」と分析した。

「私は当時50歳だったから、失うものは何もなかった。どんなにバッシングされても平気だったけれど、やっぱり言われた側の人は今まで正しいと思って生きてきたから、すごく不安になったと思う。だから少し言い方を変えればよかったけど、当時は男の人にバッシングでボコボコにやられていたから、言い方なんか工夫しないで思っていることバンバン言っていたから、余計みんなにいじめられたと思う」

「結局フェミニストたちにも悪口を言われた。なぜかといえば、その人たちはみんな良妻賢母で結婚しているのね。そういう中で、私がそういう事言っても、その人たちは身を守らなきゃいけない。しかも私がフェミニストとして笑い者になっている。男の人に笑われているということは、自分たちのプライドも傷つけたかもしれないよね」

「でも一番最初にテレビに出た後の帰りに電車に乗っていたら、子供連れた若い女性がスーッと寄ってきて。涙流しながら『先生よく言ってくれました』って」

■ フェミニズムは「男嫌い」ではない「女性を1人前扱いしないと貧しい国になる」

田嶋氏は2025年3月の朝日新聞のインタビューで「私は目の前の視聴者ではなく、テレビの向こう側にいる視聴者を意識していた。できる限り多くの、普通の男性女性に『男はパンツを自分で洗え。女はパンを自分で買え』のメッセージを届けたかった」と語っている。

そんな田嶋氏は現状について「女の人は80パーセント近くが自分で働いて稼ぐようになってきて、世の中は少しずつ変わってきた。女の人が稼いだ分だけ自由が得られたというのがあって、自由を実感している人もいると思う。実際に専業主婦の人も昔は1600万人くらいいたけれど、今はもう少なくなった」と語る。

しかし、現代の課題として漫画家の瀧波ユカリ氏は「パンは実際に買えるようになった。だけど、まだパンツは洗っている。女はパンを買い、さらにパンツを洗って2倍になっている。パンツを洗っている男の人もいるけど、それをさせない、時間を与えない組織(会社)が問題だと思う」と指摘。

これに対し田嶋氏は「だから会社の中が変わってかなきゃいけない。女性が今増えてきたから、本当は変えられるはずなんだけど、まだ女性たちが遠慮しているのではないか。そこが日本の女の人のいいところでもあるけど、もうちょっと強くなってもいいと思う。実は女性が働いてきちんと税金を払っていくことで、日本という国は良くなる。国民が税金を払わないとそれだけ国は貧しくなる。女性たちが自立してきちんと働いて税金を払うことで政治に参加することができる。そうすれば日本は変わっていく」と自身の考えを述べた。

一方で、フェミニズムに対する世間のイメージは、今なお「男嫌い」や「モテないからやっている」といった偏見も多い。しかし、田嶋氏はフェミニズムについて「社会の構造を変えることで、こんなに大変な事はない」と話す。

「男が上で女がしたっていう風に世の中作られていて、性別役割分担は文化になってしまっている。一声や二声では変えられない。法律も変えなきゃいけないし、みんなのメンタリティーも変えていかないといけないし、こんな大変なことはない。でも女性を1人前扱いしないと、これから日本はますます貧困になって1つの国として成り立たなくなる。そういうことをもう少しみんなに認識してほしい。女性を2級市民扱いしていると、結局日本国全体が貧しくなることをもっと悟ってほしい」

さらに、男女の二項対立ではないことも強調。「男対女の話ではないし、女が男を嫌っているからとか男が女を嫌っているとかそういう話じゃない。男の人が女の人を利用しなきゃいい。自分できちんとご飯作って食べて一人で働いてごらん。まずそこから男の人がやらなきゃ」。

また、個人の意識変革だけでなく、国による支援の必要性も指摘する。「国が女性に過重負担かかっている分、家事労働や子育てにきちんとお金を出す。幼稚園や保育園を作るなど、そういうことまずきちんとやる。他の国のように、女性が働けるような体制を作っていかなければいけない。そうしないと日本は国民の半分しか稼がないからものすごく貧しい国になる。大きな視点で考えてもらいたい」。

(『わたしとニュース』より)

【映像】1992年当時の田嶋陽子氏(実際の映像)

【画像】1992年当時の田嶋陽子氏

【映像】「東大の山口百恵」と呼ばれた頃の片山さつき氏