高市批判相次ぐ…中国で見た「対日感情の実態」

中国メディアが日本を痛烈批判, お茶会の中心話題が「高市早苗の顔相」, 対日感情は一様ではない, 筆者が乗った日本行き飛行機は“ほぼ満席”

2025年12月17日、東京の首相官邸で行われた記者会見で発言する高市首相(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

日中関係が冷え込んでいる。

【写真を見る】街中のモニュメントには、「永遠に党に従う」というスローガンが

中国のテレビ番組では、日本を批判する報道が連日流れている。その際には「文化大革命」を思わせるような言い回しが繰り返され、例えば「日本の軍国主義が再燃している」といった表現が用いられている。

特徴的なのは、これまでの「日本批判」と違って被害者意識を強調するだけではなく、国民総動員で日本に対抗する雰囲気が濃厚であることだ。

12月初旬に中国福建省福州市に帰郷したが、筆者の周りでは「日本」と「高市早苗」という言葉が出るだけで人々の感情は時に高ぶるようにも感じた。

中国メディアが日本を痛烈批判

中国国防部の報道官は12月15日の記者会見でこう批判した。

「中国人民と中国軍隊は、歴史の悲劇が繰り返されることを決して許さない。各国人民と共に、軍国主義の亡霊の復活を断固阻止し、苦労して得た平和を守っていく」

さらに、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射の件および中国空母編隊の艦載機飛行訓練についても言及した。

「日本側は繰り返し自国民を欺き、国際社会を誤導している。中国の正常な軍事訓練を『安全保障上の脅威』と煽り、挑発者である自らを被害者に装っている。こうした行為は、高市首相の台湾に関する誤った発言が招いた重大な結果から世論の目を逸らすためではないか。戦後体制を突破し、軍事的制約を緩め、軍国主義の亡霊を復活させる口実を作ろうとしているのではないかとの疑念を抱かせる」

中国メディアは、高市早苗首相の「台湾有事」発言を契機に、揶揄や人格批判を交えた報道を展開している。国営メディアによる風刺アニメや「戦前回帰」論など、政治的・感情的な非難が目立つ。

中国中央電視台(CCTV)はAI生成アニメで高市首相を揶揄し、アメリカに依存する滑稽な存在として描いた。また、批判の歌「搞事的高市」(トラブルメーカーの高市)も登場した。「搞事」と「高市」は中国語で同音語だ。

お茶会の中心話題が「高市早苗の顔相」

中国メディアが日本を痛烈批判, お茶会の中心話題が「高市早苗の顔相」, 対日感情は一様ではない, 筆者が乗った日本行き飛行機は“ほぼ満席”

街中のモニュメントには、「永遠に党に従う」というスローガンが(写真:筆者撮影)

現在、中国における高市首相の知名度は非常に高い。ネットには批判が異常なほどにあふれ、揶揄や風刺的な言葉による攻撃も広がっている。

筆者の故郷の福州市では、日常的に茶を飲む習慣がある。友人に誘われて参加した民間のお茶会の中心話題は、驚くことに「高市早苗の顔相」だった。多くの参加者が彼女の顔相を「悪女」と見なして憤慨していた。

上海で大学教授をしている友人は、日中関係の現状について諦念を抱いていた。「高市早苗氏が在任している限り、中日関係の改善は難しいだろう。日本では彼女の支持率は依然として高く、近いうちに辞任する可能性は低い。したがって、両国関係の悪化はまだしばらく続くと思う」

対日感情は一様ではない

現在、多くの中国人の対日感情は厳しい状況にある。しかし訪日経験の有無によって、人々の印象には大きな差があるとも感じている。日本に憧れを抱き、環境や商品を好ましく感じる者も少なくない。

前述のお茶会で出会った40代男性は、私にそっと語った。「私は日本に行ったことがある。日本人はとても礼儀正しく、日本料理も気に入っている。たとえ日本の指導者が中国に不利な発言をしても、日本を完全に否定することはできない」

ある50代男性はこう話した。「高校2年生の娘は、日本のアニメが大好きだ。旅行で日本を訪れたこともあり、卒業後は留学を希望している。私は娘の選択を信じている。1年後には日中関係が改善することを願っている」

中国メディアが日本を痛烈批判, お茶会の中心話題が「高市早苗の顔相」, 対日感情は一様ではない, 筆者が乗った日本行き飛行機は“ほぼ満席”

社会主義の価値観が書かれている(写真:筆者撮影)

日本を訪れた中国人は、料理や医薬品、化粧品に憧れるだけでなく、次第に日本社会や人々の暮らし方にも魅力を感じはじめる。40年前に日中を仕事で行き来していた筆者の父(85歳)は、今でも日本に強い憧れを抱いている。

中国人の対日感情は一様ではなく、メディアの影響と個人の経験によって大きく左右されているのだ。

筆者が乗った日本行き飛行機は“ほぼ満席”

12月中旬、筆者は中国から日本に戻ったが、飛行機はほぼ満席だった。隣には若い中国人夫婦が座っていた。彼らは休暇で日本を訪れ、クリスマスを過ごす予定だという。会話の中で、私は日中関係について考えを尋ねた。

夫婦はこう答えた。「確かに現在の日中関係は険しい……年末に日本へ来るのは以前からの計画だった。政治には詳しくないが、両国が平和であることを願っている。中国と日本が争うことは望まない」

「私たちは何度も日本を訪れており、その環境がとても気に入っている。日本人の穏やかな暮らしぶりは羨ましく、中国よりずっと静かで休暇にふさわしい。私たちはただ、自分の考えに従って行動しているだけだ」

中国が高市首相への批判を煽るのは、国民の視線を国外へ逸らすためかもしれない。一方で、理性的で客観的な中国人も少なくなく、彼らは独自の視点を持っている。メディアや世論に流されることなく、自らの目で他国を見ることが何よりも重要だ。