【注目された記事2025】落書きの代償 国の重要文化財“萬代橋”に落書き 逮捕された男は修繕費を請求されて…(新潟)

2025年に注目されたニュース記事を年末にあらためて配信します。今回は新潟市の「萬代橋」の落書きについてです。4月、萬代橋に落書きをした疑いなどで逮捕された19歳の男。修繕費を請求された男は…。落書きがもたらす代償を取材しました。

国の重要文化財にも指定 新潟市のシンボル「萬代橋」

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長年にわたり新潟市のシンボルとして愛され続ける萬代橋。2004年には国の重要文化財にも指定されました。

しかし、市民が大切に守ってきたものが傷つけられたのです。

萬代橋に落書き

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事件が発覚したのはことし3月。

<記者リポート>

「この萬代橋、およそ100年に わたりこの場所を見守ってきた大切な橋ですが、あちらご覧ください真っ赤な、そして大きな字で落書きされてしまっています」

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赤や白のスプレーのようなもので描かれた落書きが発見されたのです。

大きさは縦1メートル、横4メートルにも及び、このほか欄干にも3か所、見つかっています。

新潟市で落書きが相次ぐ

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さらに同時期には千歳大橋や柳都大橋、関屋や古町などの周辺地区にも被害は広がり、警察が捜査を進めていました。

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ことし4月、逮捕されたのは、神奈川県に住む19歳の男2人で、免許合宿で市内に滞在中だったということです。

国の重要文化財・萬代橋に落書きをした文化財保護法違反などの疑いや古町地区のビルに落書きをした建造物損壊の疑いです(2人のうち1人は萬代橋への文化財保護法違反については不起訴)。

調べに対し、いずれも容疑を認めていて、1人は「以前からアートに興味があった」という趣旨の供述をしているということです。

落書きとアートの違いは

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彼らが真似したかった“アート”とは……県内のデザイナーを訪ねました。

ロゴや映像の制作を行いながら子どもたちにアートについて教えているビジュアルデザイナーの吉樂蕗(よしらく ふき)さんです。10代のころ壁などに文字や絵を描くグラフィティアートに魅了され本場のアメリカを訪れました。

現在は持ち主から依頼を受けて壁やシャッターに絵をかく制作活動も行っています。そんな吉樂さんに、萬代橋に描かれた落書きを見てもらうと……

【ビジュアルデザイナー 吉樂蕗さん】

「グラフィティってこんな汚いものじゃないです……読めるものでもないですしスプレーの使い方もできてないですし」

吉樂さんによるとグラフィティアートは元々アメリカで若者たちが社会への不満や自らの存在を証明する手段として電車や壁に自分の名前を描き始めたのが始まりで読み取れなければ意味を成さないといいます。

萬代橋の落書きにはいずれも「25」の文字

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吉樂さんの作品にも活動ネームの「KRAK」の文字。

さらに、グラフィティアートの巨匠ともよばれる「シーン氏」のサインからも「SEEN」とデザインされた文字が描かれています。

一方、萬代橋の落書きは

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萬代橋に描かれた落書きにはいずれも「25」の文字が読み取れます。

吉樂さんによると、これは「2025年に描かれたもの」という意味があるといいますが、グラフィティアートが本来持つメッセージ性がなく、ただの落書きだと憤ります。

【ビジュアルデザイナー 吉樂蕗さん】

「書いたらアートみたいに言われがちじゃないですか、いまの時代……落書きは明確な意図がない。アートはメッセージがのっている」

街中の建造物への落書きは「犯罪」

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萬代橋をめぐっては、過去にも落書き被害が相次いでいました。

そもそも、街中の建造物への落書きは、れっきとした「犯罪」です。

器物損壊罪は3年以下の懲役または30万円以下の罰金。また、萬代橋のような国の重要文化財の場合、文化財保護法違反となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

被害者から賠償金を求められるケースも

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さらに、被害者から賠償金を求められるケースも…

【牧野太郎弁護士】

「行為者の身元が割れた場合にはその人に対して請求は可能。そうでない場合は実費を負担してやる(修繕する)しかないということになってくる」

損害賠償に詳しい牧野太郎弁護士によると2019年には茨城県取手市所有の壁画作品に落書きをしたとして修繕費など457万円を市が請求したケースもあるといいます。

【牧野太郎弁護士】

「修繕費ってかなり特に文化財になってくるとより大きくなる傾向。美観、ものの見え方とか美しさまで修繕しなければいけないので……市の景観が崩れてしまいますよねっていうものはけっこう金額が違ってくる」

落書きとアートの違い

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ビジュアルデザイナーの吉樂蕗は、アートについて文化や背景などを学んでいれば表現の場を間違えることはないといいます。

【ビジュアルデザイナー 吉樂蕗さん】

「アートの境目っていうこともいま大人とか学生もそうだけど、しっかり学んでそれをしっかり伝えないとこういう子たちが生まれる。まずグラフィティは学んでください、勉強してくださいで勉強すると(落書は)やらないと思います。これをやる場所とやらない場所って絶対あると思うので……表現することと責任をセットにしておいてほしい」

繰り返される落書きの被害。その代償の大きさを理解しアートについて正しく学ぶ姿勢が求められています。

落書きを消す作業費用は?

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萬代橋の落書きを消すためにも多くの時間と労力が費やされました。

ことし4月、足場の設置を含めて3日間作業員と交通誘導員あわせて最大8人が稼働し、作業が行われました。

元の石を傷つけないよう慎重に……

専用の溶剤を塗ったあと重曹を混ぜたお湯を高圧洗浄機で吹きかけ地道に塗料を落としていました。

新潟国道事務所によりますと萬代橋の落書きを消す作業にかかった費用は2か所であわせて400万円ほどにのぼるということです(当時の見積もり)。今後、逮捕された男2人対し全額を請求する予定だということです。

新潟国道事務所は改めて「落書きは絶対にやめてほしい」と呼びかけています。

その後、八千代橋も落書き被害

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その後、11月になり、新潟市中央区の八千代橋で落書きが見つかり、市が警察に被害届を提出しました。

(リポート)

「信濃川に架かる八千代橋の下に人間の背丈ほどある大きな落書きが発見されました」

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アルファベットのようなものが書かれた落書き。

信濃川にかかる新潟市中央区の八千代橋です。

管理する新潟市によりますと、大きさは1つにつき縦2メートル、横5メートル。11月16日に通行人から警察へ通報があり、その後、市へ連絡があったといいます。

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16日に発見されたのは赤い字の落書き。さらに21日には工事業者が黄色い字の落書きを見つけました。そして26日、市が2つの落書きについて被害届を提出しましたが、裏にも紫の落書きが新たに見つかり、追加の被害届の提出を検討しているといいます。

〈市民〉

「(人目に)つきづらいと思います。夜もけっこう暗いと思うので、なんとなくあると治安が悪いのかなと思います」

「センスあんまりいいか悪いかよくわからないし何かいてんだかよくわからない。もうちょっと別のやり方でアートなりなんなり楽しんだ方が人に迷惑かからないでいいんじゃないかと思います」

“萬代橋で落書きの男はその後

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落書きをめぐってはことし3月、八千代橋の下流、萬代橋でも被害がありました。

萬代橋は国の重要文化財にも指定されていてます。落書きが発見されたあと、神奈川県相模原市に住む当時19歳の男が文化財保護法違反などの疑いで逮捕され家庭裁判所に送致されています。

修繕費を全額支払う

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新潟国道事務所によると、10月、男は修繕費全額にあたる約270万円を支払ったということです。

新潟市の中心部で相次ぐ落書き被害…

新潟市建設課は「信濃川の美しい景観を阻害されるだけでなく橋の維持管理をする上でも支障となるのでやめてもらいたい」とコメントしています。

※2025年5月13日・11月27日配信記事をもとに再構成しています